大学准教授(教員)吉野由美子氏は、18歳から現在に至るまで、杖が欠かせない生活を送って来た。その彼女が圧迫骨折をきっかけに出会った「電動車いす」の性能は、従来の概念をはねのけるほどの衝撃的なツールだった。
■エレベーターに鏡がある本当の理由は?
ところで皆さんは、(車いすマークのついている)エレベーターになぜ鏡がついているのか、ご存知でしょうか?
一流ホテルの職員の方と話してみても、「何で付いてるのか分からない」と答える方が多いようです。
私のように車いすを日常に使う者にとって、エレベーター内の鏡はとても重要。ドアを背にして乗り込んで、そのまま後ろを向いたまま降りるときに、後ろを確認するためなのです。
それがないと、検討をつけてバックしなければならず、あちこちに車いすをぶつけてしまうのです。
一流ホテルや大きな駅のエレベーターなら、乗ってから車いすを回転させて、前を向いて下りられるけれど、小さなビルのエレベーターでは回転ができません。
鏡には防犯の目的もありますが、このことを知らない方がとても多いのは無理もありません。私も「電動車いす」に乗って生活するまでは、ほとんど意識してませんでした。
確かにこれで外出すると、いろいろなことが起こります。
① ちょっとした溝に気づかずに片方の車輪を落としてしまい、横倒しになって肘や手のひらをすりむくこと。
② 坂道を登り切ることができなくて、ふらふら横にそれて止まってしまうこと。
③ちょこちょこと2歳ぐらいのお子様が飛び出てきて、危うくぶつけそうになったこと。
④勢いをつけて電車に乗ろうとして、目の前を横切ったおばあさんにぶつけてしまったこと。
……などなど。今でもハラハラするような失敗をいっぱい起こしています。だから電動車いすが「絶対に」安全だとは言いません。
でも健常の方でも、外に出て歩いていたら、いろいろなことが起こりうると思いませんか? 窓から物が落ちて来るとか、飛び出してきた自転車にぶつけられるとか……。
それを全部避けようと思ったら、家に閉じこもっていなければ無理なのです。交通ルールが理解でき、普通に人混みを歩ける人なら、高齢者が乗っても決して危険ではありません。業者のしっかりしたサポートもあるし、運転技術も段階を踏んで勉強すれば、普通に歩くのと、そんなに変わりません。
電動車いすは「安全な乗り物」だと思っています。
■電動車いすが私の翼になる!
「電動車いす」とは、通常の「車いす」が筋力を使うのに対して、動力に電動モーターを使用しています。
これに出会う前の私は、杖をついて長い距離を歩けたけれど、歩く速度も遅いし、外出は相当な負担でした。
そんな時、電動車いすに乗れば、大体時速4キロぐらい。つまり障害のない人が普通に歩く速度と同じ速度で移動できるし、1日広い会場を見て回っても、疲れを知らずにすごく快適なことを知りました。
一日中、デパートの中を見て回りたいと言うのが、その頃の私の夢。じっくり洋服とかアクセサリーとか、好きなだけ眺めて、おなかがすいたらレストランへ。最高ではないか。歩いて行けば、疲れて2時間も持たないけど、これさえあれば、1日いっぱい楽しめるのです。
圧迫骨折で4ヶ月近く病院へ通っていた時は、歩くと痛みがひどくて外出をせず、家に閉じこもるだけの毎日。
そんな時、昔、国際福祉機器展で乗った電動車いすのスピード感を思い出し、「ぜひ手に入れたい」と思うようになりました。
■介護保険で選べる機種は少ない
介護保険で訪問リハサービスをうけていたので、担当のケアマネージャーに「電動車いすを使いたい」と相談したところ、介護保険の制度の中で、1ヶ月3000円ほどの低額で借りられることを教えてもらいました。
そこで借りることを前提に、業者に介護保険で借りることができる機種の中から、私に合いそうなものを2種類持ってきてもらうことにしました。
自分の体に合わせて工房でオーダーメイドすることも考えましたが、1台最低50万円もするので、あきらめました。
業者が持ってきた2種類のマシンは、いずれもヤマハ製。詳しいスペックは、それぞれの説明を見ていただけると良いと思います。
https://www.yamaha-motor.co.jp/wheelchair/lineup/
まず試したのは『JWアクティブ PLUS+ Pタイプ』。
車輪が大きく、手元で手動と電動に切り替えることができて、電動で動かすのが難しい時に、手動にして動かすことができます。後輪が大きいだけあって、安定性もあります。
しかし重量が重く、折りたたんでタクシーに乗せるときに積み込みが難しくなります。そのため私は、こちらを選びませんでした。
■氏が相棒に選んだ最強のマシンは?
そこで私が選んだのは、もう一つの『タウニィジョイX PLUS+』。
一人で動かすと言うよりも、介護する人が後ろでパネルを操作して、介護者が「車いすを押す大変さを軽減する」ことを狙ったものでした。
車輪が小さくて、乗り手が手動で動かすのは無理なものでしたが、この機種はバッテリーをつけたままで32キログラムと、電動車いすにしては軽量。しかも、その場で360度回転することができて、小回りも効き、狭い通路でも入り込めるという特徴に優れていました。
それと私は見た目で『タウニィジョイX PLUS+』が気に入り、この日から我が相棒となりました。乗り始めて3年半になります。これに出会ったおかげで、私の生活は圧迫骨折前の活動的な生活に戻り、精神も健やかになりました。
一人で自由に外出できる喜びは、半端ありません。
高齢になって、膝や腰が痛いとか、骨折の後遺症で前ほど自由に歩けないとかいうことで、外出できなくなった方たちにとって、電動車いすは再び世界を広げてくれる「有効なツール」だと思っています。
月に1度、メンテナンスに来てくださっているメーカーの方が、「経産省が『のろーよデンドウ車いすプロジェクト』を始めたよ」という情報を教えてくれました。
このプロジェクトに、とても期待していましたが、どうも内容をじっくり読んでみると、私の思惑との「大きなズレ」に気付きました。
そこで正直な私の思いを、書いてみたくなりました。
(後編へ続く)
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