「誰も本当のことを言わないから、ブスで馬鹿な私が本当のことを言う!」と元祖リバータリアン(超個人主義的自由主義)でアイン・ランド研究の第一人者である作家・藤森かよこ氏がペンで立ち上がった。
 氏のものした『『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。

(KKベストセラーズ)は4刷を超え(以下、「馬鹿ブス貧乏」と表記)、多くの女性を勇気づけた「革命の書」である。アラフォー読者からの要請が殺到。今月21日より、第2弾『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つ ろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。が出版される。
 そこで、今回、藤森氏のご厚意に預かり『馬鹿ブス貧乏』の長いまえがきから第1章まで再構成し、「若いほど」役立つと低スペック女子が37歳までにやるべき本当のことを転連載で教えてくれる。まさに「馬鹿ブス貧乏」で生きるしかない女性が最高に幸せになる本当のサバイバル術である!



■たとえば上野千鶴子著『女たちのサバイバル作戦』

馬鹿な女子が上野千鶴子や田村麻美から学ぶには「ハードル」が高...の画像はこちら >>





 まてよ、著者は女性なのだから、女性の問題を論じた本を読むべきであって、男性が書いたものでは参考にならないのではないか?



 そう思った著者は、女性のための自己啓発書も随分と読んだ。中でも、上野千鶴子氏の著作は1980年代から随分と読んだ。



 厳密に言えば、社会学者である上野氏の著作は女性用自己啓発本ではない。あくまでも社会科学の面から見た女性問題を啓蒙(けいもう)的に分析するものだ。



 しかし、著者にとっては上野氏の著作は自己啓発本だった。女性がこの世界で遭遇(そうぐう)するであろうさまざまな困難が、より大きな政治や社会や経済の文脈の中で鮮やかに分析されていた。個人の努力では超えることができない問題にぶつかり、自責することしかできなかった女性たちに、上野氏の著述は、より大きな視野を与えてくれた。



 著者は上野氏の御著書を読むと、グジャグジャな脳の中がクリアに整理され頭が良くなったような錯覚を起こしたものだった。



 あなたが何歳であれ、女性としてのあなたが21世紀の今現在置かれている政治的経済的社会的状況を把握(はあく)したいのならば、上野氏の『女たちのサバイバル作戦』(文春新書、2013年)は必読だ。



『女たちのサバイバル作戦』には、1986年の雇用機会均等法の施行(しこう)から現在にいたる女性を取り巻く労働環境の変化と女性間格差拡大の問題が論じられている。決して楽観的にはなれない日本と世界の現在と未来において、女性がどうあるべきかという提言もなされている。



 上野氏は、もちろん政府や企業のすべきことも提言している。女性個人に対しては、経済的には「マルチプル・インカム」をめざすように提言している。要するに、いろんな方法で稼ぎなさいね、ということだ。



 上野氏は、自分自身の中に多様性を取り込むことも提言している。組織に終身雇用されて生きる従来の勝ち組の生き方は誰にとっても不可能になりうるという予測のもとに、さまざまなことをして稼ぎつつサバイバルしていくことを推奨(すいしょう)している。



 同時に、女性間格差を越えて社会構造的に弱者にならざるをえない女性同士の「共助(ともだす)け」を提唱している。



 とはいえ、著者は、上野氏の著作にいろいろ教えられながらも、「やっぱり私の求めるものとは違うなあ」と思わざるをえなかった。



 たとえば、いろいろなことができるようになってマルチプル・インカムを達成して稼ぐにしろ、「共助け」できる友人ネットワークを構築するにせよ、著者には無理だ。

不可能です。



 著者はブスで馬鹿で貧乏だから、いろいろなことができない。何をさせてもうまくできたためしがない。



 それから、ブスで馬鹿で貧乏なので、傷つきやすいことが多く、他人とネットワークなど作れそうもない。面倒くさい。そもそも他人があまり信用できない。



 ブスで馬鹿で貧乏だからこそ、著者は、人間というものが、いかに悪意に満ちたものであり、くだらない位(くらい)取り(自分のほうがここは上だとか、優れているとか、比較品定めすること)ばかりしがちなことを知っている。著者には、そういう人々の悪意や邪気を包み込めるような大きな人間愛はない。



 また上野氏の言う「共助け」とは、相互扶助とか互恵関係だと思われるが、著者は他人に有益な何かを自分が与えることができるとは思えない。



 ともかく、ブスで馬鹿で貧乏だと、ついつい自分自身にも他人にも過大な期待はしなくなる。ましてや政府や行政になど。





■たとえば田村麻美著『ブスのマーケティング戦略』

 ならば、もう少し敷居(しきい)の低い田村麻美の『ブスのマーケティング戦略』(文響社、2018年)ならばどうだろうか。



『ブスのマーケティング戦略』は、自分はブスであると早々と小学校時代に自覚した田村氏の青春の記録だ。『ブスのマーケティング戦略』には、自分を商品として査定し、自分が売れるマーケットを模索(もさく)し、豊かな性体験もキャリアも男も子どもも獲得し、ブログが認められ本まで出版する過程が赤裸々に楽しく描かれている。



 この本は実に面白い。無茶苦茶に面白い。これほどに正直で率直な女性用自己啓発本はない!すべての日本の高校は、女子高校生用課題図書として『ブスのマーケティング戦略』を選ぶべきだ。



 が、著者は、この素晴らしい現代日本女性の自己啓発本に対してでさえも引いてしまう。



 著者の田村氏は、単なるブス (写真で見る限りそれほどのブスではない)ではない。非常に頭のいい観察力のある女性だ。実行力も行動力も度胸もある。税理士という立派な国家資格も持っている。高校は埼玉県一番の進学校だ。立教大学経済学部出身で、立教大学大学院の博士課程前期(修士課程のこと)も修了している。

2018年現在で早稲田大学のビジネススクールに在籍中だ。MBA(経営学修士号)取得後は、税理士としてばかりでなく経営コンサルタントとしても活躍する予定の方である。



 ブルータス、お前もか。やっぱり、自己啓発本を書くことができる人は高スペックなのだ。



「自分にうそをつくな!かっこつけるな!好かれたいんだろう!セックスしたいんだろう!その愛欲・性欲を認め、エネルギーにするんだ!」と堂々と書ける女性は非凡に決まっている。



 著者には、自分を商品として売り出すマーケティング戦略なんて無理だ。そんな分析力も思考力も実行力もない。だって馬鹿だもん。



(第3回につづく『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』より再構成)

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