経団連は2020年10月8日、少子化対策の推進に向けた緊急提言を発表。不妊治療の保険適用や働き方の改革などに加え、新型コロナ感染拡大で婚姻数が減少していることを問題視した。

そこでなんと!若者の出会いの場として、「オンラインの活用拡大」を、経団連として初めて言及したのだった!



 一方、今巷で爆発的人気なのが「婚活アプリ」と「パパ活アプリ」の利用だ。コロナ禍による雇用悪化は、アルバイトや派遣労働、夜の仕事に従事する女性への影響が激しく、実際に失業者が溢れているのも事実。生活費が足りないために「パパ活」アプリを利用して一般の男性からデートや一緒に食事をする代わりにお金を援助してもらうという行為に盛んになっているのである。



 そこで、「男女の出会い研究」をフィールドワークにする文学者にしてライターの藤四郎(とうしろう)が、スマホの「パパ活」アプリを利用して体当たり取材を連続敢行。その一部始終から「パパ活」アプリに棲息する男女の生態を分析、暴露する!



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 先立って公開した記事はたいへん賛否が分かれたらしい。



「NHK『クロ現』でも特集の『パパ活ブーム』。そもそも『パパ活』とは何か?」(『ベストタイムズ 』2020年12月4日配信)



 いつから日本人は売春・不倫・不貞の類を「絶対悪」とみなすようになったのか??おそらく、叩く連中の大半はネトウヨだろう。己のしょうもない正義と道徳観で人に言葉の大便を放り投げるしか能がないのなら、それを仕事にでもしてみろ!(こっちは大便投げを芸にしているが、君たちには何か芸があるのか?)そんな半端な倫理観じゃ「向こうの国でご先祖が女を買った」という外交問題でも「向こう」の言いなりだぞ、わかったか!



 さて、日本は多神教の国であり、ほぼ何をやってもいいと思う。ただ、カネの受け渡しのアリ/ナシと関係なく、遊んでいる間が楽しければいいじゃないか。そして、遊びのルールはただ一つだ、「相手を傷つけない」ことのみだ。いくらスマホ時代とはいえ、礼儀は大事なはずだ。わざわざ時間を共有するのだから、不満を露わにしてもいけないし、相手だって何を思っているか判らない。

先の記事の経験を踏まえて、方針を変えることにした。



 まず、本義である「パパ」として振る舞うことにした。資金はそうあるものではないが、ある月はある。前回から少し間を置いた今、再度登録する。今度の目論みはこうだ。



◆同じ業界にいない、人間関係が遠い女



◆スレていない素人っぽさ



◆長く信頼関係を築ける



 まず、「同業は避けたい」はみんなに云えるだろう。どこでどう会うかわからないからだ。それに手の裡がバレまくるので、その女ごと買取らなきゃいけなくなっても困る。そして「素人ぽさ」、先述通り、自営の業者もいる。プロフとメッセで読み取るしかなかろう。最後に「信頼関係」これが最も難しい。お互いの面倒さや踏み込んではいけないラインは理解して、一方で利益とニーズは充足する。

そんな頭のいい女がスマホアプリなんかにいるのか?!ひとまず、行ってみよう!



 



■パパ活女子1人目◉ジェシカ 19歳 ファッション専門学生

経団連も推奨する出会い系アプリ!「パパ活」に棲息する男女の生態を大暴露【藤四郎】



 日本人以外のチャンネーとも遊んでみたい。そう考えていたらいいキャラがいた。アジア某国とのハーフのジェシカだ。顔立ちがハッキリしていて、グラマーな巨乳、そして透き通るような白い肌。全体的に白石某に似ている。それもいいが、僕にとって面白いのは「日本人の感性を殆ど持っていてない」ことだ。たいへん興味を持って吉祥寺駅に向かった。



  時は、緊急事態後。街には人の流れが戻って活気がある。僕もマスクはしつつも高鳴る鼓動を感じていた。初対面の高揚感を味わうためにこの修行をやっている気がする。ピンクのレザーコート、黒のスキニーパンツで現れたジェシカは、パッと見で業界人風だった。

ファッション系の学生にしてはシュッとしている。芥川賞芸人行きつけの喫茶店にでも行くとする。



  吉祥寺は賑やかだ。日当りのいい街を平日にぼんやり若いチャンネーとブラブラ歩いていると、会社員から解き放たれたような、心地よい気分になる。僕のようなフリーランサーでは常日頃なのだが、会社員諸兄も有給など取得して平日の無意味なデートをやってみるといい。ムカつく上司、使えないガキ、同期のデキるあいつ、全てに「勝った!やーい、やい」そんな気分になれるのでおススメする。



  話をジェシカに戻す。父なしで年の離れた弟が2人。悲しい家庭であるようだ。母はお水で働いており、大学に行けなかったことを嘆いていた。だが、その話をする彼女は天真爛漫で天性の頭の良さを感じた。巨乳に関心がない自分にとっては、その日本人女性離れして久しい、無邪気な笑顔と素直さに惹かれた。

そしてざっくばらんでひとつも私生活を隠さずに話していた。



「このサイトでおじさんに会ってみたけど、無言でご飯を食べる人がいたんだ」



 おしゃべり好きな彼女をホステスにしたかったのか。だったら僕とお話ししていよう、そう伝えると嬉しそうに握手を求めてきた。刹那的な都会の生活を送る僕にとって、ある種これからの移民社会化にしばしば見られるはずの社会の歪みを感じた、その一方でジェシカの天性の明るさには胸打つものがあった。そして、井の頭公園へ歩いた。この間、「オトナ」の交渉などなく、貧乏で旅行に行ったことがないので連れて行って欲しいなどと話していた。



 「今月、子宮の病気で入院しなきゃいけなくて。その前に会えてよかった」



  ジェシカの病気はメッセで聞いていた。おそらく本当のことだろう。疑うことは男の道義に反する。体を慮りながら、彼女とは再会を誓った。だが、彼女とは数回その後は連絡をとったものの、入院を機にLINEがくることはなかった。

どういう心境の変化か、体調の悪化かは判然としない。たかがデート代持たせて遊ぶ程度の女だったのかも定かでない。ただ、僕は今でも彼女が笑顔でいることを願っている。



 



■パパ活女子2人目◉しおり 22歳 ネイリスト

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「小柄・痩せ形・24歳まで」縛りでもう一人。都下から都内に出て一人暮らし、ネイル学校出たあとは雇われる。彼氏はおらず、愛犬を飼って愛情を注ぐ。弟が一人だが不仲。私立中学まではエリートに乗るが、自然体さから美容に進む。ジェシカと違い、画像の加工が強いが、美人と云われれば美人かもしれない。 



「エステに行った帰りだからかな・・・化粧してないんだ」



 中央線沿線で落ち合うのも小慣れてきた僕が、開口一番、画像と顔が違うことを指摘すると、こう言い訳をかましてきた。化粧せずに男に会う女がいるわけがないだろう。とかいいつつ、イジリ相手には面白いので居酒屋に向かう。

飲み方がよく、居酒屋程度でおごる身には気分がいい。話もブルジョワ娘らしく、サクサクしている。そして、社会性があり、大人には感じのいい22歳だ。 



 こんな連載が始まることがわかっていれば、もう少し会話を記憶していたが、徹夜明けで失念している。それほどしおりがスッと懐に入ったのだろう。逆にいえば、先述のジェシカのような強い印象もない。喫茶店では距離を詰めて2ショット画像を撮った。ジェシカともこれをやってみたのだが、何故かオッサンと撮っているだけなのに女の子は写メにテンションが上がるらしい。この無意味な2ショは今後の好例行事にして写真集にしたいくらいだ。



 少し経って、次は都心に行く運びとなる。そして「オトナ5」を明確にLINEで確認した。日に数回LINEが入るタイミングもなんとなく把握している。ネイルサロンの休憩時間に5、6メッセージを連投してくるのも楽しみになっていた頃である。だが、僕を逆撫でする一言があった。



「わたし、お金貯めて整形手術したいんだー」 



 これは前回の連載で紹介したパターンである。貧者の核兵器、整形手術である。社会的な立場を自力で手に出来ない学歴がない人間、主に女性や芸能系の人間にとって、整形手術はもはや自分の格を上げるための鉄板の手段なのだろう。それは意味がない、というかマトモな上げ方がたくさんある旨を年輩者として伝えると、素直に従う返事が来た。ただし、ここからが問題である。



 なんと愛犬がソファから飛び降りて骨折したと連絡が来た。これはデジャヴか。本当のことらしい。僕に動物愛護の心が少しでもあれば、共感も出来たかもしれないが、犬は興味がないに近い。形式的に慰めていたら、それを察したのか70万の治療費が必要だと云う。また、既に一度怪我していたため、ボルトの入った状態からの完全骨折と。「もう無理だろ、それ」とかは言えない。



 今、しおりはキャタピラー化した愛犬を抱いて暮らしている。



  



■パパ活女子3人目◉レイナ 20歳 地下アイドル

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「俺はトラブル抱えた美女に縁がある男だ」



 そう、うそぶいていたのは漫画「シティハンター」の冴羽遼だが、このサイトは直接の社交が希薄になった現代を冴羽的に埋めてくれる。レイナはオタク相手に稼ぎ倒す新進の地下アイドルだ。所属先など詮索しないが、ひとまずこの時期はウェブでライブを行うことでむしろ経営良化しているとのこと。顔は明石家さんまの娘に似ているがあっちより美人。江戸っ子気質で金離れよく、タクシーを乗り回して麻布や新宿で飲み倒れるのが日課。酒乱の気あり。レイナは酩酊状態で電話をかけてきた。



「いま、知らない家のインターフォンを鳴らしまくって、警察から逃げてきたの」



 都内の外れの住宅街で何やってんだと笑ったが、メンタルを失調した女性にはありがちの行動である。芸能系には特に。こういった時は咎めるでなく、その狂人ぶりを讃えてやるのが一番。大物だ、もっと暴れて来い。しかし、シラフの彼女は小市民的で、アイドル稼業もたまたまオーディション受かったからやっているだけだと飄々としている。



 一度だけ会ったのは、私が徹夜明けの電車に揺られていた時に丁度、同じ駅にいるとLINEした時だった。やはり酩酊している彼女を最寄りの24h営業の安居酒屋に連れて行くと、「合コンの連絡係をしている」とかどうでもいい話を聞かされ、徹夜明けに笑顔すら出なかった。この日は初対面にはタイミングが悪かったかもしれないが、偶然のこれもまた必然だった。



 当初はメッセージのやりとりではかなり気に入られた気がしたんだが、どうも噛み合ない。段々と面倒になってきたので、彼女の肩を抱いて早々に切り上げ、喫煙所に向かった。セックスさせろなど冗談でいうほどには打ち解けていた。



「わたしで何か文章を書いてよ」



 そう言われて、駅で別れた。「まだ、ネタが足らないのでもっとくれ」と返した気がする。お望み通り書いてやった。会っても疲れるだけ。それ以来、連絡を取ることはない。



 



■パパ活女子4人目◉あすか 25歳 看護師

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 あすかはこのサイトでは年増の部類である。北陸の田舎から国立医学部の看護を出た秀才。母親を多感な時期に亡くし、勉強でそれを乗り越えたという。古着好きで前髪パッツン、一目見てサブカル系だが、そこまでサブカルにのめり込んだ形跡もない。目立つ長身美女だが、さすがに庶民の範疇。男性経験は大学の同級生のみ、自分の話が下手なせいで飽きられたという。 



 女を連れて高円寺に行くのは何度目か判らなくなった。古着好きでサブカル気質の女性の登竜門、ただのシンボルである。あすかから行きつけの古着屋に連れられるのが初対面だった。これまで紹介した女性よりも、やや田舎臭さがある。これまでの自意識系整形女、業界系、美容系は首都圏に親のある女ができること。浮き沈み激しい仕事は地方人には余程のバックアップでもないと厳しいだろう。あすかにはその点、土臭さがある。



 やはり、元カレと同様、お喋りがヘタで暗い印象を受けた。喫茶店に入ってもピークがなく。私も喋り倒す話し方が苦手であるため、相手と呼吸を合わせてしまうのが災いしてか、盛り上がりに欠ける。こういった子は一杯飲ませるのがいい。しおりと行った居酒屋にわざわざ向かう。ラブホテルが近いからだ。ことばの交流に限界が来た時は、肉体の交流が効率良い。ある時期までの男子が、喧嘩して仲直りすることでより仲良しになるようなものだ。うん。 



 酒を飲んだあすかは母親の思い出を語った。少し涙ぐんだ目で画像を見せてくれたが、女優にもなれそうな美人だった。彼女が必死に勉強して、医療に進んだのは、人の死に向き合うことで母の死を自分から遠ざけることにあったのではないか。酒で饒舌になったあすかは語るに落ちた感じがした。



 「このごろ、患者のおじいさんにおっぱいを触られるんです。ハイハイ、何やってンので済ましてますよ(笑)」 



 普通に聞けば、ただのエロい迷惑じいさんの話であろう。しかし、私には彼女が「人生の終末」と向き合うことを日常にしていると感じた。死を日常にすれば母親のこともその一つだったと構えられる、そう思うと、なんて健気な子なのだろう。焼鳥を食べるのも命を奪っているような気がして、手をとってラブホテルへ向かった。もはや、僕が言葉を欲していないのだから。



 僕に感じるものがあったのか、顔が好みだったのかわからない。ベッドでは、やや肉付きのいい身体と顔が紅潮して、整った目鼻が動揺を隠せないでいた。彼女の剛毛から過剰な愛液が出ているのは「体質」と言っていたが、確かに何度もオーガズムを感じていた。死の匂いに敏感なせいか、しつこい愛撫をしたせいだろうか。この「オトナ」にお金の授受はなかった。 



 その夏、もう一度会ってやはり同じ居酒屋からのホテルの流れになった。夕方の会社終わりの時間帯、雑踏多く気が散って、あの時に感じた「死の匂い」は緊張感が解けた二度目のせいか感じられず、やや失敗の「オトナ」に終わった気がする。申し訳がなくなって、少し小遣いを渡したり、謝ったりした記憶がある。



 それから何度か連絡があった。タイミングさえ会えば彼女のいる宿舎近くまで行こうとはしたが、僕自身が「死」を思うようになってきた。その他の人間関係や仕事もあったのかもしれないが、あすかに思うところもあった。



「このままあすかと一生連れ添うか、それとも死ぬか」のような。その気分をダイレクトに伝えた。



 「私はもう一度、お会いしたいです」



 そうLINEをくれた時には、会いに行く気力はなかった。しばらく人と会うことを止めて、静養することにした。コロナ疲れもあったのだろう。パパ活サイトとは人は人、あまりに強い女と会うのもまた精気うばわれるものがある。都会に変死する若い女や男がいるが、こういったSNSや出会い系とメンタルの問題が一定数あるのではないか?そう勘繰りたくもなる。



 



 これらの経験から得たことは、「そう簡単に友達や恋人に準じた長期的人間関係はできるもんじゃない」だけである。ましてコロナ期であり、人々は人間関係を整理しだしている。どこまで本当か知らないが「危険」な時期において、それを乗り越えて会おうとする相手はよほど、自分の欠落を埋めてくれる人でなければならない。それが「金銭」と「オトナ」だけでは収まらない関係を作ろうと思ったら、そして、トラブル続きの女ならば、近づき過ぎてはならないだろう。



 どうもこのパパ活アプリ、バカで軽いふざけた者同士でないと上手くいかない気がする。なまじ賢く、なまじ器量がいいと浮いてしまうようで、根っからのすっからかん人間が時々カネを授受して、適当にまぐわって、そしてプレゼントで塩漬けにして間を持たせる。それくらいしかやれることないのではないか。



 僕は作家・野坂昭如先輩のある言葉を思い出した。



 「やらせてくれる女が、いちばんいい女」 



 そうだ、いくら可愛くて、着飾っていようとも、自分に呼び水すらない女など、そんなの関係ねえ!ではないか。つまらぬ駆け引きや生活をかなぐり捨てて、今の自分を肯定してくれる女をベッドに引きずり込み、強い力で抱き合い、まぐわう事に歓喜の雄叫びをあげる、ある時期までの長渕イズムで生きるべきだ。



 すべての問題は、常に自分自身にある。



文:藤四郎(とうしろう)

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