タイヤメーカーによって考案された『ミシュランガイド』は、いつしかフランスのみならず、審査の対象を全世界へ足を伸ばした。これは料理人全ての目標となり、高いモチベーションを産み出すきっかけになったのは、紛れもない事実である。

ところがここで、「世界のミシュラン三ツ星レストランをほぼほぼ食べ尽くした男の過剰なグルメ紀行」の著者である藤山氏は、とある疑問点を投げだした。



■世界中のレストランの味を、いったい誰がどう評価しているのか

《美食バカ一代》大きな疑問★星の数は誰が決めているのか?【ミ...の画像はこちら >>



 実は、ジャン・リュック・ナレ氏の「ミシュランガイド」拡大政策は、この時、たくさんの読者に、大きな問題提起をすることになった。それは、「誰がいったい、ホテルやレストランの格付けをしているのか」という疑問だった。



 もちろん、それは最初から秘密であった。



 しかし、『フランス版』、『ヨーロッパ大都市版』の発売までは、それほど大きな問題にならなかった。というのも、フランスが本社である「ミシュラン社」が、地元を中心に、ヨーロッパ近隣諸国の格付けをしているのだから、読者も納得していたのだ。



 だが、『ニューヨーク・シティ版』が出はじめた頃から、おかしくなった。



 少なくとも、『フランス版』で格付けを担当している調査員が、ニューヨーク中の店を調べているわけがないからである。そのうち、『東京版』は出る。『香港版』は出る。しかも、それが全部、フランス料理ならまだわかりやすい。



 ところが、『日本版』の寿司も、日本料理も、ラーメンまでも星が付くとなれば、「おいおい、ちょっと待てよ。

いったい誰が星を付けているんだよ」ということになる。



《美食バカ一代》大きな疑問★星の数は誰が決めているのか?【ミシュラン完全制覇への道】



■ミシュランの星をつける者、それは……

《美食バカ一代》大きな疑問★星の数は誰が決めているのか?【ミシュラン完全制覇への道】



「東京の三ツ星フランス料理店とパリの三ツ星レストランは同じ調査員が食べて判断したのか」



 同じではないだろう。現在の『日本版』の調査員はほとんど日本人のはずだから。百歩譲ったとしても、こういう疑問が湧いてくるのは、当然のことだ。



 もし、同じなら、逆に素晴らしい。パリの本店が三ツ星で、東京の支店が二ツ星でも納得がいくし、ひょっとして、同じ調査員が審査して、本店より支店の方が格上だったら、日本人シェフも鼻高々、いわゆる「出藍(しゅつらん)の誉(ほまれ)」(弟子が師匠より腕がいいたとえ)である。



 では、実際はどうなんだ。世界中のレストランの味を、いったい誰がどう評価しているのか、藤山なりに調べてみたので、あえてここで紹介しよう。



《美食バカ一代》大きな疑問★星の数は誰が決めているのか?【ミシュラン完全制覇への道】



 基本的には、極秘なので、藤山の想像も含まれている部分もなきにしもあらずだが、以下の藤山情報は、かなり信ぴょう性が高いと思っていい。



 まず、調査員。これはすべて、『ミシュランガイド』の社員で構成されている。フリーランサーなど入れたら、すぐに秘密は漏洩(ろうえい)されるからである。



 では、どんな社員か。彼らは、ほとんどが元ホテルか、元レストランの従業員である。



 これも、藤山にしてみれば、「なんだかなあ」と首を傾げる。ホテル従業員に、高級レストランの味を格付けするという、そんな才能があるのだろうか。



 まあ、いいか。(次回へ続く)

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