「大切な人の自死」を本にした意味。随想録『逝ってしまった君へ』の反響から見つけた、悲しみとの向き合い方【あさのますみ】



 けれど、そういうときにきっと、私は今回のことを思い出す。



 たくさんの人が、思いつめたまなざしで、辛い経験を話してくれたこと。その言葉の一つひとつが、暗闇からすくい上げたような切実な光を放っていたこと。自分のすぐ隣にいる人が、実は同じような痛みを感じていたこと。その痛みに共鳴して、私の目頭が熱くなったことも。



 心の柔らかな部分を言葉にするのは、とても勇気がいる。時間もかかる。けれど思い切って伝えることで、案外なにかが変わるのかもしれない。手を伸ばしてノックをしたら、閉ざされたように見える目の前の扉は、開くのかもしれない。そして扉の向こうから、暗闇を照らす一筋の光が、差すことがあるかもしれない。



 生きることは、別れや痛みとともにある。そんな私たちにとって、その光が唯一、ここから先の道を照らす灯になるのだと、今私は思っている。





文:あさのますみ



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