れいわ新選組の大石あきこ議員は先般行われた総選挙で初当選をした新人議員だ。しかし、新人ながら一部の政治ウォッチャーから注目を集めている。
その理由は、彼女が今話題の文書交通費について維新の会の副代表の吉村洋文大阪都知事が衆議院議員時代に行った行為を白日の下に晒したからである。それは吉村府知事が議員辞職した日が月頭なのに文書交通費遠満額受け取って寄付も返済もしていなかったことだ。ご存じのように維新の会は文書交通費を日割りにして領収書も公開するように求めている。その矢先にブーメランが刺さって格好だ。
その件がきっかけで橋下徹元大阪市長からTwitterでバトルを仕掛けられるも、一歩も引かずにやりあった。
そして大阪府庁で公務員をしていたときには、当時の橋下徹大阪府知事にマスコミのカメラがある前で正面から意を唱えたこともある。
この二つの事実が筆者が大石あきこ議員に取材をしたいと思ったきっかけだ。大阪に住んでいながらこれだけ維新の会や橋下徹氏に堂々と戦ってきた人を知らなかったからだ。どんな戦いをしてきたのか? これかられいわ新選組の議員としてどんな訴えをしていくのか? 本人に話を聞いてみたくなり取材をお願いしてみた。
そうしたら快く引き受けていただき、これまで維新の会、いや橋下徹氏と戦ってきたことや、これから国会議員としてやりたいことを聞いてきた。
今回は前編に引き続いて後編をお届けします。
■「積極財政で国民を助けろ!」が我々の言いたいこと
今回選挙で3議席いただいたれいわ新選組は国土交通委員会と内閣委員会に籍を置くことになりました。
そんなのではなく一律給付金とかにお金を使って国民を懐を厚くしろと。岸田首相は介護とか看護師の給料上げるって約束しましたよね? それがたった月9000円って「しょぼいやないか!」ということですよ。今よりも月10万くらい上げて平均給与にまで戻せよって話をやっていきたいんです。
もちろんコロナ対策の給付や福祉予算だけにお金を出せなんて言いません。大阪は土地柄どうしても治水対策が必要です。でも、国が治水対策の予算をめちゃめちゃ削りました。そのせいで地方も予算を削ってしまって今、豪雨災害がもの凄いでしょ? だからそちらにも予算増やせと言います。急には増やせないので長期的に元の額へと戻していく。当たり前でしょ。
でもね、いくら国会で「給付金出せ!」「治水対策の予算増やせ!」と言っても通りません。結局ポピュリズム戦略で与党の人とか維新の会みたいなのが文通費100万円だとか、せこい事を取り上げて人の目を違う方向に誘導しようとしていますよね? そんな中で方向性を変えるのはれいわみたいな少数政党だけでは無理です。私たちの声を聞いてもらうためにどうしたらいいのか考えたら、人々が関心を持っている事象とウチが元々持っている政策部分のクロスするところを狙うしか変えようがありません。だから国会の質疑では人々の関心のあるところから取り上げてこじあげていく形になると思います。
常に主張したいマニュフェストはあるけどその時々で人々の関心のあるところを世論次第で取り上げていく形です。国土のことも、災害対策、治水対策もあるし、原発廃止を国の責任でやれとも言っているので、公共事業が必要な政策ばかりだからチャンスをうかがって「今だ」というときに入れるのが理想だと思います。
■れいわの声を大きくするために必要なこと
我々は衆議院3議席、参議院2議席しかない弱小政党です。主張を通すために立憲民主党や自民党にも超党派でお願いに行くことがあるかもしれません。多数派工作とか政治でよくあることもオプションとして否定はしませんけど、でもね、自分がこれまで社会活動をしてきた経験から、上層部に何を言ってもあかんというのが私の中に染みついているんです。
それは社会運動全般がそうで、何が変えるためには現場の人の声を集めるしかないんですよ。例えば、野党共闘もそうだったじゃないですか。
だからその人達が寄って立つ有権者やグループが考え方を変えて「お前等ちゃんとやれよ」と「立憲民主党ちゃんとやれ」という流れを作らないと、上層にいる人達を動かしようがないんじゃないかな。だから野党共闘がれいわとして上手くいくとすれば、れいわの支持が国民の末端にまで広がることが重要です。そうなれば「ここはれいわの統一候補にしよう」ということが、平場で決められるようになったら食い込んでいけると思います。
今の時点で他の党の上層にいる人達に説得へ言っても、自分の足元がスカスカなら交渉にならないですよね? 「お前等数少ないから黙っておけ」で終わりですよ。立憲さんや共産党さんもそうですし、それは与党にも同じ事が言えます。れいわの言うことを無視し続けたら世論持って行かれるという状況を作ることのみが、れいわの力を強くすること思います。どうやったら世論を持っていくのかというと、ちゃんと地域に根差していくことです。
これから地方議員も生んでいかないといけないと思いますし、山本代表もそういう風に言っています。でも、住民運動とか市民運動とれいわが繋がっていればもしかしたら地方議員出さなくてもいいかもしれません。つまり、より細かくみんなの意見を吸い上げる人が国会議員以外にもいて欲しいわけです。その意味では地方議員というのは有効だと思います。
私は政治家というのは特別だと思っていません。3年前に大阪府庁辞めたのは大阪都構想とカジノを止めたいからです。止めるために、議員になるのは意味が大きいと思って立候補しました。
だから地方議員を育てて行く、一緒に作っていくのは大事だと思います。ただね、私、地方が国政よりも通りやすいなんて思ってません。市議選で何十人も出せるならまだしも、大阪市議会議員選挙だとほとんどが小選挙区と中選挙区の間の人数なんですね。私が無所属で出た大阪府議選なんか定数が2人なので、立憲民主党はどうせ通らないから元々出さない。
私は比例で通りましたけど地方選はそんなもんありません。だから簡単に地方議員が生まれるなんて思ってないんですよ。必要だから、足元を固めたいから出すんです。
■政治に対するステレオタイプを壊したい
今、政治に魅力がないと思います。かしこまって、あなた達ウソついているよねって議員ばかりですよね。自民党も公明党も立憲民主党も維新の会も違う人って感じ。議員になった瞬間に議員の顔になるというか。私は「なんなん自分ら?」と思うから、日常と地続きの政治みたいなものに造り替えるというのをやりたいですね。すごく難しいとは思いますけど、やれるとしたら、れいわだと考えています。
NHK党(NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で)ってあるじゃないですか? 私は全然いいとは思わないけど、小学生には大人気になりましたよね。一時期小学生が「NHK」と聞いたら「ぶっ壊ーす」と教室で言っちゃうくらい人気になった。
私はNHK党には嫌悪感ありました。だけども彼らは既存の政党がやらないようなことをやって支持を得たわけですよね? その方法が正しいがどうかはわからないけど見習う点はあります。最初出てきたときは大人として嫌悪感が凄かった。無理無理無理。ある意味維新よりも無理って。でも見慣れたら見慣れてしまうし、大人が顔をしかめてしまうことをできちゃうのは凄いです。
私が選挙に当選したら「議員になったのだから議員らしくしなさいよー」「口よくしなさいよー」という声がツイッターとかで味方からも上げるわけです。そんなのを聞くと「それなんなん?」と思っちゃう。だってその時点で生活から遠くなると思うんです。だから今ある政治のステレオタイプみたいなものをぶっ壊したい。今は政治というイメージがステレオタイプに捕らわれていて硬直化していると感じます。
色々なアドバイスも最低限のことはやるけど、如何にもステレオタイプのものは政治を多くの人から縁遠くしているんじゃないのかと思うんです。だからステレオタイプとどれだけ上手く融合できるかが課題かもしれません。山本太郎は大きく崩したけど、まだまだ我慢していると思います。だって元々パンツ一丁で踊っていたような人間ですよ! 相当セーブしているじゃないかなあ。政治家なんだからってことでお笑いの要素は、ほんの少ししか入れずに真面目にやっているじゃないですか。ホントは馬鹿らしいことをたくさん言えると思うんです。でも彼は政治のステレオタイプを壊して新たに切り開いたんですよ。
それでも支持者も含め、「こうでなくてはならない」「ちゃんとしなくてはならない」といった政治というものに対するステレオタイプというのはまだまだ根強いと思います。だからぶっ壊していかないとあかんと考えています。もちろんNHK党とは違うベクトルで(笑)。
あんなやり方をしなくてももっと普通に政治を面白くできると思うんです。だから悪い意味で凝り固まった意識を壊すことも考えながらやっていきたいですね。人間くさい政治に。人間くさい国会に変えられたらと思います。
今は、国民民主党が維新の会と手を組んで憲法改正について国会で連携取るなんて言っていますけど、あれは想定内でしたね。国民民主党自体れいわ新選組よりも比例票は高かったわけですけど「何がいいの?」と。私には全然魅力には感じませんでしたね。それで維新と組む。やたらと共産党が憎い。その辺りの意味もわからない。
れいわと違って連合の一部が支援しているみたいですけど、右派というか保守という人たちの支援がほしいから共産の悪口はずっと言っておくみたいにしか見えませんでしたね。
それで憲法改正について自民と維新がリードして立憲民主も憲法改悪につながる法案に賛成し、共産党も野党共闘があるから批判をしない。社民党も同じようになっています。野党統一をするという目的によって、日々の立憲とか共産の主張の違いとか批判をしない。それって野党の存在意義がないと思うんです。大政翼賛会の完成が近づいているんじゃないかなと感じるときがあります。
私はレフトですけど、左にこだわって左で活動している人でなんか「自己満足かー」みたいな「あの敵に勝つ気あるのかよ?」みたいに感じるときがあります。すごく頑張っているのは民族右翼だったり、辺野古の基地止めるのも右派だったり、興味深いので「何でだろ?」とは思うけど、ガチで筋を通すのであれば思想の右左関係なく共闘できるんでしょうね。
だからみんな原点を見直して、まずどこの誰と戦っているのかを共有しつつそっちに組みする動きは互いに批判しないといけない。最近はすごく大政翼賛会的だと思っていて怖いくらいです。台湾有事と称してアメリカの戦争に巻き込まれて世界戦争になっちゃうという懸念があります。それを止めたいから色々と抗います。
だから全体主義的な空気を打破するために空気を読まずに正しいと思うことをれいわのみんなと主張していきます。
(後編終わり)
〈プロフィール〉
大石あきこ
1977年大阪府大阪市生まれ。小学生の娘と夫の3人暮らし。大阪大学工学部、大阪大学大学院経て2002年に大阪府に入庁(騒音、大気汚染などの環境職)。2008年橋下知事就任時、サービス残業に抗議し話題に。2018年10月末退職。2019年4月大阪市淀川区から大阪府議会議員選挙に無所属で立候補。13,702票を得るも落選。2021年10月総選挙でれいわ新選組の公認候補として大阪5区から出馬し、近畿ブロックの比例復活で当選して衆議院議員となる。
◉聞き手
篁五郎
1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。
(文:篁五郎)
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