いつまでも忘れてはならない安倍晋三の言葉。今回はそれを「世界に広げていきたい」という安倍昭恵さんの願いを受け、多くの人々が衝撃を受けた「主人の言葉」をピックアップした。
■家庭内事情を暴露してきた昭恵さん
「プロ私人」として八面六臂の活躍を続ける昭恵さん。先日は民間人の立場でトランプと面会。帰国後は「本当に暖かいお二人(トランプとメラニア夫人)とお話できて、きっと主人も喜んでくれているはず…ありがとうございました!」とSNSに投稿。
昭恵さんといえば、奔放な性格で有名だ。そして家庭内の話もいろいろ漏らしてくれる。
「日本の精神性が世界をリードしていかないと地球が終わる」(「BLOGOS」2016年11月9日)という記事では《なぜあれ(麻)をずっと使っているかって、それなりに「波動の高い植物」だからだと、私は思うんです》《主人自身も特別な宗教があるわけじゃないんですけど、毎晩声を上げて、祈る言葉を唱えているような人なんですね》。毎晩声を上げて、祈る言葉を唱えているのは、どう考えても「特別な宗教」だろう。
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2020年8月、安倍は東京・信濃町の慶應義塾大学病院を訪れ、その後、再訪。持病の潰瘍性大腸炎が悪化したという説や、検察の捜査(公職選挙法違反)から逃れるための入院の準備といった説も流れた。周辺の連中はメディアに事前リークして病院通いを大々的に報道させた。
首相動静を見ると、安倍は辞任直前まで会食を繰り返していた。持病の再発の兆候があったと主張する6月以降も、高級レストランで宴会三昧。自民党議員の政治資金パーティーに連日駆け付け、夜の会合にも出席。谷口智彦内閣官房参与(当時)の証言によれば辞任後の9月11日にも安倍はコース料理を完食し、酒まで飲んでいる。
こんな話もある。
《持病の潰瘍性大腸炎の経過を気づかう声に、「新しい薬が効いているんで、もう大丈夫になりました」と安倍は笑顔で答える。すると、隣の昭恵夫人がこんな軽口を叩いた。「主人はお芝居がうまいから。アハハ!」》(「週刊現代」2021年8月21・28日号)。
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以前、私が『安倍でもわかる政治思想入門』(KKベストセラーズ)という本を出したとき、昭恵さんに献本したが、丁寧な御礼の返事をいただいた。それで昭恵さんには少し親近感を持っている。
そこで「世界に広げていきたい主人の言葉」を紹介する。
■心に残る「主人の言葉」
「ウラジーミル。君と僕は、同じ未来を見ている。行きましょう、プーチン大統領」「ゴールまで、ウラジーミル、二人の力で、駆けて、駆け、駆け抜けようではありませんか」
主権問題を最初から棚上げ。プーチンに会えば、体をくねくねと動かし、瞳を潤ませ、全力で恭順の意を示したが、北方領土をむしり取られただけだった。もはや売国奴ですらない。国土に熨斗(のし)をつけてロシアに献上したのだから「献国奴」である。
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「今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します」
反日カルト統一教会の広告塔だった安倍晋三。
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「なぜゴルフをするのか。北朝鮮からミサイルを撃ち込まれたら日本は打撃力がないから米大統領に電話して、『報復してくれ』と頼む。報復するかもしれないから北朝鮮はミサイルを打たない。私がトランプ大統領としょっちゅうゴルフをしたのは、こんなに仲がいいから『安倍が電話をしたらトランプは報復する』と抑止力のためにゴルフをやっていた。ご理解いただきたいと思います」
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こんな話を得意げに話す精神の幼児。人治国家か。ゴルフ仲間という理由で他国のために軍隊を出す国があるはずがない。
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「北朝鮮の問題、拉致問題は私自身の責任で解決しなければいけないという強い使命感を持っている」
2018年6月16日にはこう言っておきながら、同年9月14日には「拉致問題を解決できるのは安倍政権だけだと私が言ったことは、ございません」。毎回このパターン。「私の世代が何をなし得るかと考えれば、自衛隊を合憲化することが使命ではないかと思う」と言っておきながら、「(自衛隊を)合憲化するということを私は申し上げたことはありません」。
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「累次にわたる言わば国連決議に違反をしたのはイラクでありましてそして大量破壊兵器がないことを証明できるチャンスがあるにもかかわらずそれを証明しなかったのはイラクであったということは申し上げておきたい」
アメリカの最終報告書は、大量破壊兵器は存在せず、具体的開発計画もなかったことを明らかにしている。これは「悪魔の証明」問題。ないことの証明はできない。挙証責任は当然イラクにはない。安倍はイラク戦争についてまったく理解しないままイラク侵略を正当化した。
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「シリアからの難民、現政権にも大きな原因がありますが、同時にイスラム国、ISILの振る舞いにも大きな原因があるわけでありますし、トルコからの難民はまったくそのとおりであると言ってもいいと思います」「ISILがトルコ、イラクに侵入して行った結果、多くの難民が発生した」
意味不明。トルコは難民の受け入れ国である。当時、シリア内戦を逃れて、トルコに非難したシリア人は250万人を超えていた。
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「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」
安倍はニューヨークの証券取引所でこう発言。さらには、2014年のダボス会議で徹底的に日本の権益を破壊すると宣言。電力市場の完全自由化、医療の産業化、コメの減反の廃止、法人税率の引き下げ、雇用市場の改革、外国人労働者の受け入れ、会社法の改正などを並べ立て、「そのとき社会はあたかもリセット・ボタンを押したようになって、日本の景色は一変するでしょう」と言い放った。実際、日本の景色は一変した。現在、われわれは破壊しつくされた日本の姿を眺めている。バカは手遅れになった後に騒ぎ出す。
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「有権者は議会も行政も非生産的だと思っている。衆院と参院を一緒にして一院制にすべきだ」
安倍は保守思想の「ホ」の字も理解していなかった。人間の判断は万能ではないので、慎重にものごとを決める仕組みが必要になる。権力の集中は必然的に全体主義に行き着く。
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「(政府が飛行)中止を申し出た」
沖縄県沖で米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が墜落。安倍は「(政府が飛行)中止を申し出た」と述べたが、真っ赤な嘘だった。
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「日教組どうするの日教組!」
国会でヤジを飛ばした理由について「日教組は補助金をもらっている」と説明。しかし、日教組は補助金を受けていなかった。安倍は息を吐くように嘘をつく。
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「採択されている多くの教科書で、自衛隊が違憲であるという記述がある」
デマだった。文科省教科書課は「違憲であると断定的に書いている教科書はない」と否定。
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「また、妻(昭恵)が名誉校長を務めているところはあまたの数あるわけだが、それそのものが、今まで行政等に影響を及ぼしたことはない」
嘘だった。森友学園と加計学園の二つしかなかった。
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「土砂投入に当たって、あそこ(名護市辺野古の埋め立て区域2―1)のサンゴは移している」「絶滅危惧種が砂浜に存在していたが、砂をさらって別の浜に移していくという環境の負担をなるべく抑える努力もしながら行っている」
嘘だった。「琉球新報」は社説で「一国の首相が自らフェイク(うそ)の発信者となることは許されない」と批判。
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「(原発の汚染水の)影響は、福島第一原発の港湾内の0・3平方キロメール範囲内の中で完全にブロックされている」
嘘だった。東京電力は「完全にブロック」発言を事実上否定。
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「議会についてはですね、私は立法府、立法府の長であります」
アホ。立法府の長は衆院と参院の議長であり、総理大臣は「行政府の長」である。
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「(桜を見る会事件に関し)後援会としての収入、支出は一切なく、事務所側が補填したという事実も全くない」
嘘だった。
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「(新型コロナに関し)休業に対して補償を行っている国は世界に例がなく、わが国の支援は世界で最も手厚い」
嘘だった。ドイツもイギリスも休業補償を行なっていた。
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「主の大御神様、救い主様、聖珠様、教え主様、立教五十周年大祭がこうして盛大に開催されましたことを心からお喜び申し上げる次第でございます」
安倍はカルト体質。手かざし宗教の崇教眞光の教団本部で行われた大祭で祝辞を述べた。「お告げ、悪霊祓い、手かざし」を行う「慧光塾」とも深い関係にあった。
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「ポツダム宣言というのは、米国が原子爆弾を二発も落として日本に大変な惨状を与えた後、『どうだ』とばかり(に)たたきつけたものだ」
ポツダム宣言は7月26日、原爆投下は8月6日と9日である。義務教育レベルの常識。これは単なる言い間違えではない。アメリカが日本に原爆を落とした経緯を理解していれば、このような発言が出てくるわけもない。
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「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、憲法上は。小型であればですね」
とりあえず、大きさは関係ない。
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「天皇皇后両陛下には、末永くお健やかであられますことを願って……あらされますことを願っていません」
御代替わりを前に執り行われた「退位礼正殿の儀」での発言。「願って已みません」を誤読したのではないかとの指摘が広がったが、該当部分は「『や』みません」とひらがなだったと官邸は説明。だから誤読ではない。本音が出たのだろう。
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安倍は行政府、立法府の掌握を進め、司法府にまで手を伸ばそうとしていた。
「私は総理大臣としてありえないとこう言っているんですから。間違いありませんよ」
「私は総理大臣ですから、森羅万象すべて担当しておりますので」
神にでもなったつもりだったのだろう。幼児的万能感にあふれた妄想と現実の区別もつかないこのホラ吹きは、見事に日本を下品のどん底に突き落とした。なお、ここで紹介したのは安倍がついた嘘、流したデマのごく一部である。詳しく知りたい方は、拙著『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)を読んでほしい。
文:適菜収