スイスのダボスで毎年1月に行われる「ダボス会議」。その名前は教科書にも載っているぐらい有名だ。
■資本家が政治を動かす時代
ダボス会議の舞台裏には、世界の資本主義を煮染めたような光景が広がっている。ブースには各国の大臣たちが集い、金融や経済の未来を語るが、その背後には名もなき資本家たちの影が常にちらつく。南アフリカの非制限エリアブースでは、金融大臣をはじめとする政府要人たちが次々と現れた。しかし、群衆の中で一際異彩を放っていたのは、70歳を超えた謎の男だった。彼はダボス公式のバッチも付けておらず何の役職にも就いていないように見えたが、若い大臣たちの頬を撫で、従わせるその様子は明らかにただ者ではなかった。
そこに現代資本主義の真実——政治や政治家を操っているのは資本家である——を見た気がした。
イーロン・マスクがわかりやすい。彼は巨万の富を背景に、政策決定にも影響を与える存在となっている。このような流れは、今後アメリカ以外でも強くなっていくはずだ。
かつてはテレビや新聞などの大手メディアが世論を支配していたが、今やSNS広告やインフルエンサーの買収ができれば、簡単に世論が動かせるようになった。つまりお金だ。お金さえあれば、ゼロスタートの政治家であっても勝利は可能だ。
会議場には、未来を動かそうとする仮想通貨関連企業やAIのブースもあった。とくに目立ったのは仮想通貨の存在だ。
■草コインを操る詐欺師たち
仮想通貨の世界では、いわゆる「草コイン」が大きな注目を集めている。何も実態がないにもかかわらず、話題性や噂だけで価値が吊り上げられるその構造は、経済の新たなリスク要因となりつつある。例えば、「石丸コイン」といった架空のコインを発行し、何の裏付けもないにもかかわらず、人々が投資の対象としてそれを買いあさる。数万枚のコインが発行され、ただそれだけで価値が高騰していく。
コイン発行者は濡れ手に粟のように莫大な利益を得て、そのあぶく銭で堂々とダボスに姿を現す。だが、そこには詐欺師同然の人物も少なくない。非制限エリアのブースの空気には新しい資本主義の影が漂い、まるで一種の欲望の見本市のようだった。
かつての経済は実際の資産や企業活動を基盤としていたが、現代では目に見えない情報と話題性だけで富が生み出され、消えていく。この新たな資本主義の姿は、まさにダボス会議の裏側である非制限エリアを支える資金源そのものである。富裕層たちはこの情報操作と新興経済のルールを熟知し、さらなる富を得ようとしている。
政治家たちもまた、これら資本家に支援を求め、影響力の網に絡め取られている。ダボス会議は、そんな新時代の経済ゲームの最前線であり、そこで交わされる密談は、私たち一般人が知り得ない未来の決定を左右しているのだ。情報と資本が交錯するこの舞台で、誰が勝者となり、誰が敗者となるのか。その答えは、すでに決まっているのかもしれない。
AIのブースも活況だった。
一方で、最新技術を取り巻くスピードは凄まじい。DeepseekのようなAI技術のビッグニュースがダボス会議をきっかけとして次々と飛び交い、日々新しいブレイクスルーが報じられる。実は、私が経営する教育事業でもDeekseekを活用し、アメリカの大学入試向けの数学問題作成を開始している。計算問題の作成においてはChatGPTに比べて計算ミスが少なく、正確性が格段に向上していることが確認された。これにより、教育分野におけるAI活用の可能性が一気に広がった。
いずれにせよ、このダボス会議の裏舞台で語られ、決まった事項が次世代の世界を形作っていくことは間違いない。
p.s.ダボス会議の裏側(非制限エリア)でダボス会議の期間中1週間1億円でレストラン・会議室・ブースを含めた施設を目抜き通りで貸してくださるという物件オーナーを知っています。
日本人を代表してダボス会議にブースを出したいという方はyourmanifestojp@gmail.com
までご連絡ください。
(ダボス会議・世界経済フォーラムの正式メンバーでない企業の方は、ダボス会議・世界経済フォーラムの公式の支援・ブランディングは受けられないそうですが、とりあえずオーナーさんとのzoomミーティングを設定することは可能です)
文:林直人