2025年参院選。われわれが現在見ているのは、日本の底が完全に抜けてしまった光景である。

連日のように嘘を垂れ流す参政党を応援すること自体に興奮する情弱信者の前で、われわれ日本人は一体何を語れるのか? 「人類はどこまで知性的なのか、世界レベルで確認を迫られている」と感じている音楽家近田春夫氏と、近代大衆社会の末期症状を描き出した『日本崩壊 百の兆候』(KKベストセラーズ)が絶賛発売中の作家適菜氏による異色LINE対談。連載「言葉とハサミは使いよう」第6回。



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■西田昌司と神谷宗幣の共通点

 



適菜:私は時評を書くのをやめたので、最近のニュースはあまり追っていないのですが、西田昌司と参政党については頭にきたのでツイッターに連投しました。どうしても気になってしまう。俗世に未練があるようでよくないですね。出家した後も都と行き来していた西行の気持ちがわかるような気がします。



近田:西田昌司は要するに引っ込みがつかなくなっちゃって、それでどんどん〝まとまる話もまとまらない〟って方向に突き進んでる感じよね。政治理念云々より、謝るのが何よりイヤっていう。人間としての部分が情け無いってことだね。



適菜:杉田水脈と同レベルです。西田の周辺もゴミばかり。積極財政とか言っている連中が、参政党というカルトに加担していますが、困ったものです。





2025年参院選の争点は、カルト参政党から日本を守ることができるかどうかである!(前編)【近田春夫×適菜収】
西田昌司



近田:参政党、大前提が問題外でしょ。ただ、それなりに支持する層もあるから、ホントアタマ痛いよね。



適菜:陰謀論者とカルトが集結した感じですよね。日本も完全に底が抜けました。



近田:政治家に対するファンっているでしょう。



適菜:ファンというのは盲目になることだから、政治家がその対象になってはまずいですね。参政党みたいなカルトの場合は、「ファン」みたいなのがたくさんいるような気がします。維新や安倍政権のときもそうでした。



近田:応援すること自体に興奮するって、その自覚さえない人多いし。



適菜:当時、「安倍さん以外に誰がいるのか」というのがありました。つるんで、充足して、興奮するんでしょうね。大人としてはみっともない。



近田:自分以外にも仲間がいるってのも大きいかも。



適菜:オルテガの言う大衆の特徴です。隣りにいる人間と価値観が同じであることに深く満足する。話が少しずれますが、自民党の加藤勝信が「落語ファン」を自称しているのですが、寄席を「よせき」と読んだんです。



近田: それ未曾有以下のレベルだよぉ。





2025年参院選の争点は、カルト参政党から日本を守ることができるかどうかである!(前編)【近田春夫×適菜収】
加藤勝信



適菜:自民党は粗忽長屋です。



近田:俺も結構間違って読んでいた字とかあったから、あんまり偉そうなことは言えませんけどね。



適菜:人の漢字の読み間違えを笑うのはいい趣味ではありませんが、政治家の場合は別です。言葉を扱う仕事なのですから。麻生太郎は財務大臣なのに、株の取引の前場(ぜんば)を「まえば」と発言しています。



近田:あの人は探せばまだまだあるはずよ。



適菜:山ほどあります。

以前、私は一覧にまとめました。



近田:それは受ける~。



適菜:私が好きなのは、松井一郎の「更送」です。「こうてつ」を「こうそう」と読んでいたわけですね。「こうてつ」と打ち込んで、「更送」に変換されるわけがないので、「こうそう」と読んでいたということです。



近田:それは絶対にそうだよね!



 



■選挙で人を選ぶときのポイント

 



適菜:政治もここまで腐り果てると手の打ちようもないので、政治に言及するのはやめました。今回の参院選でどうにかなるという話でもありません。それで新聞や雑誌の時評の類も全部やめた。SNSもやめる方向で縮小しているのですが、やはり参政党みたいなのが出てくると腹も立つので、ツイートしてしまう。そういう未練があるのが自分ながら嫌です。



近田:本当の気持ちを言うと、適菜収には、そこの未練は捨てないで欲しい。ある意味文章を書き続ける責任があると思っている。

「政治とは何なのか?」という抽象論でもオッケーだけどね。



適菜:そうですね。書くとしても少し抽象のほうにする予定です。時評はやめるということですね。



近田:時評はいらないよ。政治に関しては、人類がどこまで知性的なのか、そろそろ構造的な意味において、世界レベルで確認を迫られているような気がしてさぁ。人類がどこに向かって突き進んで行くのか。



適菜:近代とはひとつの方向性に向かうことであり、不可逆性の構造をもっている。だから近代に付随する負の側面も拡大していくと思います。その病は最終段階に入っているように見えます。



近田:そうなのよ。それは間違いないとして、どうやってその"終わり"までのFADE-OUTの角度を緩やかに出来るか。

多分、これからの政治に具体的に求められることって、その技術だよね。



適菜:そうだと思います。ソフトランディングかハードランディングの違いだけですね。それを緩やかにする努力をする政治家を選ばなければいけない。



近田:ですよね!



適菜:それでも、政治にはあまり期待はできませんが。



近田:それは期待する方が間違い。だから真面目な人間は神をどうしても求めてしまうのでは?



適菜:私も神様にお祈りをしています。「世界人類が平和になりますように」と。私は博愛主義者なので。



近田:今、政治のマッチングアプリのようなものがあるでしょ。



適菜:はい。でも、政策だけで支持政党を決めるのは危ういところがあります。

参政党の政策も中にはよさそうなものもありますが、発言をコロコロ変えたり、都合の悪い過去の動画を消しまくったりしているカルトが、公約を守るわけがないですからね。選挙は、その人物の立ち居振る舞いがまともかどうかで選ぶべきだと思っております。



近田:そういう意味では、ネガティヴチェックして行くと、政治信条はともかく人間的には、共産党が一番まともなのかも。



適菜:そうですね。政策的にも共産党が一番保守的でまともなような気がします。構造改革路線を急激に進めてきた自民党を批判してきたのも共産党だし、維新の会が大阪市を解体しようとしたときに、地域を守れと立ちあがったのも共産党ですからね。しんぶん赤旗は自民党の闇を暴いてきましたし。



近田:名前だけ変えりゃ問題ない気がするのよ。例えば"協賛党"とかに!



適菜:私も以前、共産党の国会議員に直接そう言ったのですが、名前にこだわりがあるのか、かたくなでしたね。党名は絶対に変えたくないみたいな。



近田:なるほど



  



■参政党と保守党が全く信用できない理由

 



適菜:近田さんは参政党についてはどのように見ていますか?



近田:人間としての徳が感じられない気がするのよ。あの代表の人ね。



適菜:あちこちのカルトやいかがわしい人物を利用して、渡り歩いてきた神谷宗幣ですね。森友事件の籠池泰典に取り入ったり。今、メディアがファクトチェックに追われていますが、神谷は連日のように嘘とデマを流しているのでいたちごっこですよ。どう見ても確信犯でしょう。反発があったとしても、参院選まで社会に一定の割合で存在するバカを騙し切ればそれでいいという算盤勘定でしょうね。



近田:保守党も、信用出来ないわ。



適菜:保守党も政党助成金を狙っているんでしょうね。百田はクズですが、単なる銭ゲバで、日本に対する根本的な悪意はないように見えます。参政党のほうが危ないですね。社会に蔓延する悪意をくみ取って拡大している。



近田:保守党のほうが間抜けな分だけ参政等よりは可愛げはあるね。



適菜:百田も「バカを騙して何が悪い」みたいな感じなのでしょうが、立花孝志とか神谷宗幣とかもっとゲスいのが出てきて、埋もれてしまったのは少し気の毒です。



近田:そういう奴らが成り立つ国って、なんか情けないけどさぁ、そんなもんなんだよね、この国の民度って。この間まで消費税云々って言ってた奴らがこぞって外国人問題にポイントシフトしているし。



適菜:本当にデマばかりですよ。「外国人からは相続税が取れない」もデマだし、「彼ら(多国籍企業)はいろんなことをやります。パンデミックを引き起こしたということも噂されています」と根も葉もないことを言ったり。本来なら、自民党の裏金問題と官房機密費問題と統一教会問題についての選挙になるはずでしたよね。それが参政党というカルトが出てきて、カルトから日本を守るのかどうかという問題になってきた。参政党、社会にとって害しかありません。



近田:うん。



適菜:そういえば、参政党の神谷が、次の解散総選挙で与党入りを目指すと言い出しましたね。7月13日の発言ですが、次期衆院選で与党入りを目指すとのこと。つい先日まで「参政党を批判するのは自民を利するだけ」みたいな情弱・カルト信者がたくさん湧いていましたが。バカは何度も騙されます。



近田:さっき千葉参政党の千葉の候補者とN党の候補者をテレビで見たけどさ。選挙は水もんって言うけど、つくづくあらためてそう思う。



適菜:どこまで落ちるのかという話ですよね。「さや」という参政党から出ている女も怪しいですね。公職選挙法違反の疑いを指摘されているホストクラブの件で注目を浴びましたが、田母神や日本会議とのつながりの件も出ています。実在しない大阪芸大ピアノ科の話を始めたり、ロシアのプロパガンダメディア「スプートニク」のインタビューに答えたり、完全に一線を越えています。



近田:みんな怪しいんだけど、本人本気なのよね。田母神とかいまだ通用しているってホント平和だよね日本。ま、我々の写し鏡って常に自覚してないとね。



適菜:平和というか平和ボケですね。安倍政権や維新は最悪でしたが、N党や参政党は論外です。ここ30年にわたり日本は解体されてきましたが、壊れた後にハイエナみたいな連中が、おこぼれの死肉をあさっている状態です。(後編へ続く)



 



文:近田春夫×適菜収

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