沖縄の新たな目玉として、華々しくオープンしたテーマパーク「ジャングリア」。しかし、その裏側では、消費者を無視したずさんな運営、そして安全性を疑う声が続出している。

今回は、先行プレオープンに参加した一般来場者が体験した“カオス”な一日を、インタビューをもとに赤裸々に再現する。



【特集】プレオープンで露呈した「ジャングリア」の実態――親子...の画像はこちら >>



■ プレミアムチケットを持って“1時間待ち”? その先に待つのは「汗まみれのヘルメット」



 先行プレオープンの初日、来場者は胸を躍らせてゲートをくぐった。手にはプレミアムチケット。特別待遇を期待するのは当然だろう。だが現実は、幼児連れの来場者が1時間の行列にバギーごと並ばされるという理不尽な洗礼から始まった。



 やっとの思いでアトラクションの乗車口にたどり着くと、スタッフが差し出したのは前の客の汗が染み込んだヘルメット。さらに、水分補給用の飲み物もスマホもすべてロッカーに預けさせられ、「乗車中は一切連絡も補給も取るな」という有様だ。





■ バギー故障続出! まるで「走る棺桶」――運営は“走って対応”



 アトラクションのメインコンテンツであるバギー体験では、1人のスタッフが5台を同時管理する体制が敷かれていた。しかし、死角の多いコースでそんな管理が機能するはずもない。



 1周目、先導バギーの後続が突如姿を消す。3台目が機材トラブルで停止、スタッフはバギーを放り出してコースを全力疾走。止まった車両は“手押し”でコースアウト。

再開後も、今度は4台目が石に乗り上げて立ち往生。これもまた“人力”でコースに押し戻される始末。



 運営側の準備不足は明らか。監視員もいなければインカム連携もない。事故が起きるのは時間の問題と語る来場者の声は、決して大げさではない。





■ 子どもたちが“灼熱のベンチ”で熱中症寸前――屋根も水もない「地獄絵図」



 さらなる問題は、施設設計の致命的な甘さだ。屋外の待機場所にはまともな日陰がない。唯一の遮光は、風になびく“薄い幕”のみ。炎天下の中、熱中症でぐったりした子どもを看病する母親たちの姿がいたるところにあった。



 「クーラーがあるのはレストランとお土産ショップ、そしてスパだけ。あとは全部、外」と語る体験者。家族連れは汗だくでぐったり、ベビーカーの列は動かない。

あまりの設計ミスに、ある母親は「このままじゃ誰か倒れる」と怒りをあらわにした。





■ これが“30倍の水”? 失笑レベルのウォーターショー



 ジャングリアが自信満々にうたう「日本最大級! 30倍の水量を使ったウォーターショー」。だが、実際に目の当たりにした観客は開いた口がふさがらなかったという。



 「台湾の遊園地で本物を見てきた私たちにとっては、まさに“失笑レベル”の演出。なにが30倍なのか、まったくわからなかった」と語る参加者。打ち上げられる水の勢いも、演出の構成も稚拙。子どもすら「これで終わり?」と戸惑うレベルだったという。





■ SNSは“子連れで大満足!”の声? 実態は削除された“星1レビュー”の山



 ネット上では、「子連れで最高だった!」という絶賛レビューが踊っている。しかし、当日の参加者は首を傾げる。「小学生低学年でも、身長制限でほとんどのアトラクションに乗れない。『まちくーたー』(=沖縄方言で“待ちぼうけ”)してる子ばかりだった」と語る。



 さらには、不満を投稿した1つ星レビューが大量に削除されていたという証言も。

「リアルな声を抹殺して“夢の国”を演出したいんでしょうが、あまりにも姑息です」と怒りをにじませる。





■ 最後に――「このままじゃ、2年もたない」



 「地元としては応援したい気持ちもある。でも、今のままでは本当に2年もたないと思いました」。



 運営の甘さ、安全対策の欠如、熱中症リスク、そして子どもすら楽しめない設計。華々しい広告の裏で、現場では悲鳴と怒号が飛び交っている。政府や自治体の支援があった以上、これは消費者だけの問題ではない。いま必要なのは、見かけ倒しのテーマパークではなく、命と笑顔を守る運営責任だ。





文:林直人

編集部おすすめ