■700億円の賭けに未来はあるのか? 「ジャングリア」に潜む驚愕の現実
2025年夏、沖縄北部のゴルフ場跡地に忽然と姿を現した「ジャングリア沖縄」。恐竜、ジップライン、大自然・・・。
主導するのは、USJ再建の立役者と喧伝される森岡毅CEO。だが、その「成功体験」は、果たして未来を保証するものなのかーー。
■“予測済み”の未来という名の思い込み
森岡毅CEOはインタビューで、自信満々に「すべて計算が終わっている」と断言した。日割りで需要予測を済ませ、レストランの肉の仕入れ量まで決まっているという。
だが、この精緻すぎる計算こそが、破綻の予兆だ。
予測不能なパンデミックや国際情勢の変動、旅費高騰ーーその「数学」では想定できない現実が、観光業にはいくつも存在する。現に、オープン直後から外国人観光客は大ブーイング。森岡氏の理論は、机上の空論に過ぎないのではないか?
■沖縄北部を“人柱”に? インフラ整備は他人任せ
「需要が先にあれば、インフラは後からついてくる」ーーこれは森岡氏の言葉だ。
しかし、これはあまりに無責任だ。地元住民が抱える公共交通・宿泊施設の不足問題を棚上げにしたまま、自らのプロジェクトを「起爆剤」と言い張る構図は、企業による地域の私物化に他ならない。
仮にパークがコケた場合、取り残されるのは誰か?
地域経済を“活性化”するどころか、“振り回す”ことになるのではないか。

■「パワーバカンス」という詭弁
「ディズニーは幸福を売り、USJは興奮を売る。ではジャングリアは? “パワーバカンス”だ」。
まるで何かの宗教用語のように響くこの造語に、具体性は一切ない。
結局、内容は「興奮・贅沢・解放感」の寄せ集め。つまり、既存テーマパークの模倣に過ぎない。それをあたかも“革新”のように語る手法は、まるで詐欺的マーケティングと呼ばれても仕方がないのではないか!?
■“世界展開”の野望に潜む国家依存モデル
「このモデルが成功すれば、アジア各地に10カ所作り、オリエンタルランドに匹敵する規模にする」。
まるで帝国拡張計画だ。しかし、このビジョンには自助努力を超えた国家的な支援依存の匂いが漂う。
国内外からの補助金や観光施策、インフラ投資なしでは到底実現不可能な話だ。
果たしてそれは“ベンチャーの挑戦”なのか? 民間の皮をかぶった公共投資吸収装置ではないのか!?
■“沖縄への愛”の裏にある、欺瞞のストーリー
森岡氏は「10年前に地元に謝罪して回った」と語り、「今回はその約束を果たす」と美談を繰り広げる。
しかし、そこにあるのは“地元への配慮”ではなく、“地元の信用を盾にした資金集め”という側面も見え隠れする。
実際、オリオンビールや地元不動産会社の出資により、民間資金の大半は地元が担っている。
■これは“夢の国”ではない。“虚構の王国”である
700億円を投じて作られたのは、地元を「起爆剤」として利用する巨大な実験施設。もし失敗すれば、地元経済と投資家を道連れにしかねない。
「ディズニーを超える」どころか、地元の信頼と資金を食い潰す“ジャパン・エンターテイメント型リスク”の象徴となる可能性すらある。
森岡氏が語った「挑戦」の真の意味を、いま一度問い直すときである。
文:林直人