なぜ「早稲田大学」公表?神野藍×イシケン対談で“ほどく”AV...の画像はこちら >>



8月19日、本屋B&B『カウンターエリート』(文藝春秋)を上梓したコメンテーターの“イシケン”こと石田健一氏と、『私をほどく AV女優「渡辺まお」回顧録』(ベストセラーズ)を上梓した神野藍さんによるW刊行記念イベントが開催された。テーマは「キャラクターとして生きる」。

石田氏の鋭い質問によって、神野さんが「渡辺まお」として活動していた当時の真相や心境が次々と明かされていった。



■AV女優時代に「早稲田大学」在学を公表した理由



 今回のテーマである「キャラクターとして生きる」は、先日二人がYouTube共演をしたあとに自然と浮かび上がってきた視点だという。



 石田氏は「現代社会はSNSもあって、ナラティブの時代・キャラクターの時代だなと思っていた。そして神野さんは実際に本人が(AV女優という)キャラクターを経験したり、そのキャラクターを俯瞰して今(書籍や連載を)書いているので、このテーマがいいなと」と説明、それに神野さんも頷いていた。



 本編では、石田氏の切れ味鋭い投げかけから、「渡辺まお」として活動していた神野さんのAV女優時代が次々とほどかれていく。



 神野さんは、AV女優時代に早稲田大学の学生であることを公表していた理由についてツッコまれ、「身バレもしてしまったし、私の口から大学名を言わないと整合性がつかない状況だったんです。メーカーの方も『名前も出した方が売れるから』『もうパッケージにW大学って書いてしまいましたよ』って。そんな感じのやり方でこられてしまった」と、身バレと商業的な理由が大きかったことを明かした。



 これに石田氏は「確かに早稲田大学というインパクトは強いですよね」とし、映画、プロレス、ブレイキングダウンも持ち出しながら「(虚構と現実が)オーバーラップしている物語がいまめちゃめちゃ求められているんだろうな。AVはその極地と言える」と納得していた。





■「視聴者受けをよくするには、いかにウソをつけるか」



  一方でAVでは、例えば看護師などの役割が与えられて、現実では全く経験したことがない虚構の役割を演じることも求められる。



 その中で「視聴者受けをよくするには、いかにウソをつけるか」の世界になっていることも神野さんは明かした。

そして「優等生である『渡辺まお』がギャル役を演じることもある。色々な役と自分を照らし合わせていました。その過程で自分との“ズレ”がどんどん生まれていった」と振り返った。



 石田氏は「演技をしている時はポジティブなのか、ネガティブな心境なのか。ネガがうっすらあったんじゃないか」と深堀り質問。



 これに神野さんは「仕事ができる=演技ができるという意味ではポジなんだけど…やっぱり自分の作品が世に出てよくわからない(視聴者の)妄想が返ってくると、ああ始まったなと。気持ち悪いコメントが返ってくる中で気疲れが蓄積していった」と告白。



 続けて「当時は女優としての『渡辺まお』と普通の大学生としての『私』がいた。私の場合は大学名を出していて『私』と『渡辺まお』がかぶっている部分が多かった。『渡辺まお』という盾を使ったとして結局自分に返ってきてしまう。そうすると疲れていって、結局こういう形の本になった」と語り、「『渡辺まお』として演技をすることはポジではあるけれど、個人の『私』としてはネガだったのかな」とまとめた。





 トークショーでは石田氏の内面がほどかれる場面も。

今、ニュース解説者“イシケン”として各メディアで活躍してるが「そもそも解説という行為自体が暴力的だなとは思います。オリエンタルな場所に行って笑う欲望と解説は根本的に変わらない。そういう意味で自分の中に悪辣なものがあるなとは思っています」と自己分析していたのが印象的だった。



 また神野さんからも終盤、イベント参加者との応答から、AV出演、エッセイ執筆に続く新境地を予感させる発言が飛び出して…最後まで見逃せない2時間となった。



取材・文:BEST T!MES編集部



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