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◾️謎キャンセルに謎スルー、基準はどこに

 



 2025年は芸能界にとって激動の年だった。『週刊女性』12月23日号の『2025年「衝撃の芸能ニュース」ランキング』(調査対象は20~60代の男女500人)では、1位に「中居正広 フジテレビ問題で芸能界引退」が、2位に「国分太一 コンプライアンス違反で活動休止・TOKIO解散」が選ばれている。







 どちらもよくわからない流れで、大物タレントが突然、一発退場的に消えることとなった。中居の場合は、トラブルについて、



 「示談が成立したことにより、今後の芸能活動についても支障なく続けられることになった」



 という声明を出した2週間後に、引退。一方、国分の場合は「コンプライアンス上の問題行為」によって活動を休止したものの、どんな言動がそれにあたるのか本人ですら知らされていないため、5か月後に会見で「答え合わせをしたい」と繰り返した。





2025年の芸能ニュース総括、令和式「可愛い」が氾濫するなか、人気者が次々と消え「娯楽の王様」は晩年を迎えた【宝泉薫】
国分太一



 なお、この記事で筆者はコメントを求められ、その取材日が11月25日だった。つまり、それ以降の芸能ニュースは反映されていないわけだ。そして、激動の年を象徴するように、年末にも気になる出来事が起きた。



 たとえば、スカイハイ(SKY-HI)こと日高光啓の女性スキャンダル。プロデューサーとしても活動するこのアーティストは、17歳のアイドルを深夜に複数回、自宅に呼び出していたことが報じられ、12月25日に謝罪コメントを発表した。



 そのなかで、年内の一部音楽番組、ライブ出演を見送ることを明らかにしたが、いわば1週間の謹慎でケリをつけたともいえる。ネットでは、18年に起きた山口達也の未成年アイドルとのスキャンダルを引き合いに出して、スカイハイの対応を批判する声も飛び出した。







 また、大晦日の『NHK紅白歌合戦』では、韓国の女性アイドルグループ・エスパ(aespa)の出場をめぐって物議が醸された。中国人メンバーのニンニンが22年に、原爆のきのこ雲を思わせる形状の卓上ランプの写真を「かわいいライトを買ったよ~どう?」と、SNSに投稿。

これが蒸し返されるかたちで、出場への批判が続出し、反対署名は14万人を超えた。



 結局、NHKはエスパの出場を強行したものの、ニンニンはインフルエンザ感染を理由に欠場。三人だけのパフォーマンスになったうえ、その扱い方がまた、話題となった。司会陣のなかには、広島県出身の有吉弘行と綾瀬はるかがいて、エスパとの絡みはなし。歌唱前のグループ紹介もされず、歌唱後に鈴木奈穂子アナが、



 「エスパのみなさん、ありがとうございました」



 と、締めくくるだけにとどまった。





2025年の芸能ニュース総括、令和式「可愛い」が氾濫するなか、人気者が次々と消え「娯楽の王様」は晩年を迎えた【宝泉薫】
aespa



 とはいえ、中居正広や国分太一のスキャンダルに比べたら、スカイハイやエスパのそれは大事にいたらなかったといえる。コンプラ云々をめぐっても、福山雅治の「フジテレビ不適切会合参加」騒動(前出のニュースランキングでは、5位)に関しては、本人が週刊誌のインタビューに登場して語ることによって、鎮静化した。





2025年の芸能ニュース総括、令和式「可愛い」が氾濫するなか、人気者が次々と消え「娯楽の王様」は晩年を迎えた【宝泉薫】
福山雅治



 キャンセルされる人とスルーされる人の違いは何なのか。謎キャンセルと謎スルー、というのが、2025年の芸能界をめぐる筆者のモヤっとした感想である。



 



◾️令和の魔女化現象と無敵フェミ

 



 ただし、モヤっとしたままでもいられない。こうしたスキャンダルには、令和の魔女化現象とでも呼びたい問題が関係したりしているからだ。



 早い話、中居正広を引退に追い込み、フジテレビを震撼させたのは、X子という名の元・女子アナだった。

花形職業でもある女子アナのなかには、のちにキャラが激変する人がいて、小島慶子や小林麻耶、菊間千乃らが当てはまる。



 折りしも10月から12月にかけて、アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の再編成版が放送された。この作品において、祈りや希望から生まれた魔法少女は、やがて呪いや絶望を溜め込むことで、魔女化する。女子アナの一部も、これと似た感じで、笑顔をふりまくかわりに、他者への批判性などを増していくわけだ。



 もっとも、かつてのヨーロッパにおいて、魔女は狩られる対象だった。それが令和の日本においては、火あぶりになるどころか、一定の保護を受けることになる。X子の場合も、メディアは腫れ物に触るように扱い、その実名による仕事や言動もほぼ好意的に報じられてきた。



 そのかわり、狩られるのは中居のような存在だ。構図としては、フランス革命における王族や貴族の立場に近い。長年おいしい思いを味わってきたと見なされ、市民の不満や鬱憤の爆発によって、ギロチンにかけられてしまった印象である。



 その不満や鬱憤には、おそらく反権力的な感情も含まれていて、それゆえ、正義感と結びつき、暴走につながりやすい。令和の日本もまたしかりだ。

特に最近、厄介なのはフェミニズムというやつだろう。



 これは男性全員を長年おいしい思いを味わってきた権力者と見なし、女性全員で叩き、罰していこうという思想なので、とにかくスケールが大きい。また、男性と仲良くやれている女性、たとえば高市早苗のような人を敵視するという傾向もある。



 そういえば先日、別の仕事のために読み返した『紅一点論 アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』(斎藤美奈子)も今さらながらそういう内容だった。それこそアニメ『宇宙戦艦ヤマト』のヒロイン・森雪についても「どうしても必要な人材ではない」「自国の存亡を担っているにしては色恋ボケ」などとこきおろす。連続アニメ版を見たうえで書いているようだが、その最終回において、森雪が仮死状態になりながらヤマトの、ひいては地球の危機を勇敢に救ったことは無視したいようだ。



 そもそも、フェミニズムの首魁というべき上野千鶴子が「嘘はつかないけど、本当のことを言わないこともある。(データを出さないことも?)もちろんです」などと言っているくらいなので、そういう戦略なのだろう。



 それゆえ、簡単に負けを認めないし、謝ることもしない。たとえば「草津町虚偽告発事件」において、冤罪被害に遭った黒岩信忠町長は「会うつもりはない人」として、こんな例を挙げている。



 「フェミニストの北原みのり氏。彼女は犯行現場とされるガラス張りの町長室も見て、そこでの犯行が不可能なことを確認していますが、それでも非難を続けていました」



 北原は女性町議がレイプの告発をした際『まるで現代の魔女狩り? 性被害を訴えた草津町議会女性議員へのリコール』という記事を書いた。

その記事は今も「AERA DIGITAL」に掲載されている。



 また「結果として草津町長をはじめ関係者の皆様にご負担をおかけしたことを、心よりお詫び申し上げます」というコメントを発表した全国フェミニスト議員連盟にしても「結果として」「ご負担」という表現に謝罪の念が感じられないという指摘が出た。たしかに昔、会見で「反省してまーす」とゆるゆるの謝罪をやって叩かれたスノーボーダーもいた。「心より」の「お詫び」かどうかは、自然と伝わるものなのだろう。







 それはさておき、狩られる心配のない令和の魔女は無敵だ。その一方で、この時代に狩られてしまう女性というのは、逆に魔女性が低いのではという仮説も成り立つ。「185キロのスピード違反などで活動休止」(前出のニュースランキングでは3位)の広末涼子や「田中圭との不倫疑惑」(同じく4位)のあたりは、X子に比べたら可愛いものだという気がしなくもない。







 



■「可愛い」の氾濫と「娯楽の王様」の晩年

 



 可愛いといえば――。近年は、その表現や活用の方法が大きく変化した。



 これはフルーツジッパー(FRUITS ZIPPER)やキャンディーチューン(CANDY TUNE)をはじめとするカワイイラボ(KAWAII LAB.)のアイドルグループが連発した可愛いソングによるところが大きい。フルーツジッパーの出世作『わたしの一番かわいいところ』が象徴するように、女の子の可愛さを全肯定していこうという方向性は、ポジティブな多幸感をもたらしているが、圧の強さやそのテイストの濃さが、さながら「可愛い」の氾濫みたいな状況も出現させている。





2025年の芸能ニュース総括、令和式「可愛い」が氾濫するなか、人気者が次々と消え「娯楽の王様」は晩年を迎えた【宝泉薫】
FRUITS ZIPPER



 やたらとカラフルでボリューミーな衣裳などには、アイドルがアニメとも連携しながら目指してきた可愛さの極致という見方もできる一方で、圧のひかえめな、淡いテイストの可愛さというものが隅っこに押し流されてしまっているのではないか。

それでも、カワラボ的な「可愛い」はアイドルシーンをしばらく席巻していくことだろう。



 その強みとしては、ネットとの相性のよさ。そもそも、ここまで席巻できているのは、SNSで「可愛い」を存分にアピールしたい令和女子の感覚にフィットしたからだ。逆に乃木坂46のイメージが、可愛いのにSNSとかはやっていなさそうな子の集まり、だとしたら、坂道系が今、失速気味なのも仕方ない。



 そして、失速気味どころの話ではないのがテレビだ。「娯楽の王様」と呼ばれていたのが嘘のように、衰退、いや、崩壊が始まっているのかもしれない。



 国分太一を追放し、TOKIOを解散に追い込んだ日本テレビが『ザ!鉄腕!DASH!!』をやめないのも、コンプラ云々は怖がりつつ、長寿番組の安定感にはすがりたいという未練がうががえる。仕切り直しをして、新たなコンテンツで勝負する気概も能力ももはや失われているのだろう。



 同じことがフジテレビにもいえる。松本人志の冠番組だった『酒のツマミになる話』を、千鳥の大悟を代役にして続けていたが、大悟が松本のコスプレをした回を放送中止にしたことで、千鳥が降板を申し入れ、ついに終わった。年間を通しても、ドラマやバラエティーのヒットはなく、注目されたのはあの長時間会見くらい。実際、年間最高視聴率を記録したのもあの会見だ。

再生を目指す重役たちが、躍進のきっかけであり、アイデンティティでもあった「楽しくなければテレビじゃない」からの脱却を宣言した時点で、テレビ局としては死んだという感もある。







 一方、松本人志は吉本興業が立ち上げた配信サービスを使って復活を遂げた。前出のニュースランキングでも「ダウンタウンプラス(DOWNTOWN+)で復帰」が6位になっている。当人にとっては不本意な、世間的にも不可解なかたちでテレビから消えていた大物芸人が、ネットで復活してまずまずの成果をあげているわけだ。のちのち、時代の変わり目を示す出来事となるのかもしれない。



 何はともあれ、テレビ、さらにはすべてのオールドメディアが晩年を迎えていることは間違いなさそうだ。





文:宝泉薫(作家、芸能評論家)

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