類人猿が、実際には存在しない物体を想像しながら「ごっこ遊び」ができることがわかった。長い間、人間にのみ備わると考えられてきた能力だが、新たな研究でボノボが、見えない飲み物や想像上の果物を使った、子供のお茶会のような架空のシナリオを理解し、それに参加できることが判明した。
ジョンズ・ホプキンズ大学の研究チームは、ボノボの「カンジ」を対象に、綿密に設計された3つの課題でテストを行った。最初の実験でカンジは、空のカップと水差しが置かれたテーブルで実験者の向かいに座り、実験者が「想像上のジュース」を両方のカップに注ぐふりをした後、一方のカップから中身を捨てるふりをする様子を観察した。「ジュースはどこ?」という問いに対し、カンジは一貫して、想像上の液体がまだ入っているはずのカップを指し示した 。
2番目の実験では、実際のジュースが入ったカップと、架空のジュースが入ったカップが提示された。カンジは確実に実物のジュースが入ったカップを選択、これにより、カンジが現実と架空の区別を明確に理解した上で、前のシナリオに参加していたことが確認された。
3番目の実験では、研究者が空のボウルから見えないブドウを拾い、2つの瓶の一方に入れるジェスチャーをした後、その瓶を空にするふりをした。ここでもカンジは、ほとんどの試行で、架空のブドウがまだ入っているはずの瓶を正しく識別した。
研究チームは、これが単純な模倣である可能性を排除している。「実験者が行った『注ぐ』『拾う』といった複雑な動作に対し、カンジは『指をさす』という異なる動作で正解を示しており、単なる動きのコピーでは説明がつかない」 と結論づけている。
同研究の共著者でジョンズ・ホプキンズ大学のクリストファー・クルペニエ助教授は、「彼らの精神生活が、今この瞬間にある現実を超越していることは、まさに画期的な出来事だ」と述べている。
想像力は長い間、人間を定義する重要な要素とみなされてきたが、それが人類固有のものではないという見方が強まっている。動物行動学者のジェーン・グドール氏がチンパンジーの道具使用を発見し「人間」の定義を根底から揺るがしたように、今回の研究もまた、人間を特別にしているものは何か、そして他の生物がどのような精神世界を生きているのかを再考する強い契機となっている。
文:BEST T!MES編集部
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