【相関判明】「スマホ依存」で子どもたちの学力が暴落!さらに「...の画像はこちら >>



学ぶ環境は整っているのに、令和の子どもたちの学力は一昔前に比べて落ちているという。その原因はスマートフォンの過剰使用による「認知機能の分断」にあると、『スマホ認知症』(ベストセラーズ)の著者・西岡壱誠氏が警鐘を鳴らす。

「スマホ認知症」とも呼ばれる症状の恐ろしさとは。学習意欲の低下、思考の浅さ、記憶力の衰えから回復するには。同書より抜粋編集して配信する。





■はじめに



 みなさんは、20年前の子どもたちと今の子どもたち、どちらのほうが「賢い」と思いますか?



 おそらく多くの人が、「今の子どものほうが、環境が良いはずだ」と答えるでしょう。



 実際、今の日本の学習環境は過去になく整っています。質の高い参考書は無数に出版され、GIGAスクール構想によって全国の小中学校では1人1台のタブレットが配布され、どの地域の子どももデジタル教材を使って学ぶことができるようになりました。



 さらに、EdTech(エドテック)と呼ばれる分野の進歩により、暗記アプリや映像授業、AIドリルなど、「効率的に学ぶためのツール」は驚くほど多様化しています。まさに、学ぶための条件だけを見れば、これほど恵まれた時代はありません。



 それにもかかわらず、実は昔と今で比べると、令和の子どもたちのほうが学力的には低くなっているというのが実情です。



 文部科学省が毎年実施している「全国学力・学習状況調査」(いわゆる全国学力テスト)でも、近年、明確に「低下傾向」が見られます。2024年度の調査では、2021年度に比べて平均スコアが大幅に下がり、特に国語・算数(数学)における「思考・判断・表現」領域の正答率が落ち込んでいることが報告されています。



 しかもこれは、コロナ禍だけが原因ではありません。

長期の休校やオンライン授業の影響が一時的なものであったとしても、その前後を比較しても日本の子どもの学力は一貫して下降線をたどっているのです。



 実際、私たちが学校の先生から現場で耳にするのは、「最近の子どもたちは学力が下がっている」「集中力が続かない」「考える力が弱くなっている」という嘆きの声ばかりです。



 では、なぜか。



 なぜ「学ぶ環境が整ったのに、学力は下がる」という矛盾が生まれてしまったのか。





■スマホが奪った「考える時間」



 私は、その最大の原因が「スマートフォンの登場」だと考えています。



 2010年代以降、スマホは瞬く間に生活必需品となり、今や小学生の過半数が自分専用のスマホを持つ時代になりました。



 SNS、ゲーム、動画、メッセージ、ニュース――。スマホは、あらゆる欲望を数秒で満たしてくれる「魔法の箱」です。



 しかし、この便利さこそが、人間の思考力を静かに奪っています。



 TikTokを開けば、何も考えずとも次の動画が流れ、YouTubeショートやInstagramリールでは指一本動かすだけで、終わりのない情報が次々と自分の好みに合わせて流れてきます。



 今や「検索」すら必要ない。AIがあなたの興味や嗜好を学習し、あなたに〝最適化された〞情報だけを提示してくれる。



 それは便利であると同時に、恐ろしいことでもあります。



 なぜなら、そこには「偶然の発見」や「自分で探す喜び」が存在しなくなるからです。



 スマホの進化によって、私たちは「考えなくても済む世界」に生きるようになってしまいました。



 そして、その結果として、子どもたちの「考える筋力」が急速に衰えつつあるのです。





■「スマホ認知症」という新しい現象



 そして昨今、医学や教育心理学の分野では、近年「スマホ認知症」という言葉が使われるようになりました。



 これは、スマホの過剰使用によって注意力・記憶力・思考力が著しく低下する現象を指します。



 たとえば、東北大学加齢医学研究所の研究結果では、スマホを1日4時間以上使用する若者の脳画像に「前頭前野の萎縮傾向」が見られることが報告されています。







 前頭前野は、人間の「思考」や「判断」、「記憶」や「感情制御」などをつかさどる部分です。そこが機能低下を起こすということは、「考える」「覚える」「判断する」といった行為の基盤そのものが脅かされているということです。



 スマホは私たちの脳を〝常に刺激し続ける〞構造を持っています。通知音、スクロール、更新、いいね――。それらはすべて、脳内のドーパミンを分泌させる「快感のスイッチ」です。

つまり、スマホは「依存を生み出すように設計されている」わけです。



 その結果、授業中でもスマホを気にして集中できない、暗記してもすぐ忘れる、論理的な思考ができない……といった問題が広がっています。



 学習意欲の低下、思考の浅さ、記憶力の衰え――これらはすべて「スマホによる認知機能の分断」と密接に関係しているのです。







■スマホ禁止では解決しない 



 とはいえ、私は「子どもからスマホを取り上げるべきだ」と言いたいわけではありません。



 なぜなら、それは「自動車が危険だから馬に戻ろう」と言うのと同じだからです。



 時代はもう変わってしまった。



 スマホなしでは生きられない社会の中で、私たちは「どう付き合うか」を考えなければならないのです。



 現代の学校や大学では、授業の出欠確認も課題提出もすべてデジタルで行われます。



 WordやPowerPointでレポートを提出し、クラウドで共同作業を行う――。



 中学生はおろか、小学生ですら、GoogleフォームやTeamsを使いこなす時代です。



 そんな環境で「スマホを一切使うな」というのは、もはや非現実的です。



 大切なのは、「禁止」ではなく「設計」です。



 どう使えばいいのか?
 どの時間に使うのがいいのか?
 どの距離感で持つのがいいのか?
 親御さんはそれをどのように管理すればいいのか?



「スマホとの付き合い方」を、家庭・学校・社会全体でデザインし直すことが必要なのだと思います。





■だからこそ、「考える力」を取り戻す

 



 本書『スマホ認知症』では、スマホに関わる諸問題・子どもに対する悪影響を、単なる警告としてではなく、「どう向き合えばいいか」をテーマにしています。



 スマホが悪いのではなく、「考えないまま使うこと」が問題なのです。



 本書の目的は、スマホと共存しながら「思考力・判断力・集中力」を取り戻すための方法を提示することにあります。





文:西岡壱誠



《『スマホ認知症』より構成》

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