警察庁がまとめた統計によれば、2025年の特殊詐欺被害額は前年比およそ2倍となる1414億円に達し、過去最悪を更新した。
直近でも、愛媛県に住む80代の女性が、警察官や検察官を名乗る人物からの電話に騙され、約12億円もの大金を送金してしまったケースが報じられた。
なぜこんなに特殊詐欺が流行ってしまったのか。ひとつは、富の非対称性だ。日本の中間層・若年層は貧しくなる一方で、高齢者を中心とした一部富裕層の金融資産は年々膨れ上がっている。富を持たざる者が、持つ者から奪うという構図があるのは間違いない。
もうひとつが、いわゆる“トクリュウ”(匿名・流動型犯罪グループ)の暗躍である。SNSの闇バイト募集を入り口に、見ず知らずの若者が末端の出し子や受け子として使い捨てられ、首謀者は海外などから自分の手を汚さずに指示を飛ばす。指示役は実行役の個人情報を握っており、「犯罪を実行しなければ、家族に危害を加えるぞ」と脅しをかけることもあるそうだ。
またテクノロジーの発達も、特殊詐欺の被害を増やしている。
たとえば生成AIを悪用したなりすましがあげられる。SNSに投稿された動画や音声から、ターゲットの子や孫の声をわずか数秒分でも入手できれば、AIは本人そっくりの音声クローンを生成できてしまうだろう。
アメリカでは、2023年にアリゾナ州で、誘拐された娘を名乗る「助けて!」という悲鳴の電話がかかってきた。声はまぎれもなく娘本人。
日本でも他人事ではない。「あなたに逮捕状が出ている」と警察官を名乗る電話がかかり、LINEのビデオ通話に誘導され、画面の向こうには制服姿の警察官が映っている。そんな手口がすでに発生している。その制服も、その顔も、生成AIで作り込まれたものである可能性は十分にある。
警察当局もAIを活用したサイバー対策や、AI悪用への防止策を進めているとされる。だが、攻撃側のツールが日進月歩で進化する以上、いたちごっこは当分続くと見ておいたほうがいい。
文:BEST T!MES編集部
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