私たちの骨や筋肉を作るのは、食事を通して体に取り込んだ栄養素。糖質を取り過ぎれば糖尿病をはじめとする生活習慣病のリスクが高まるように、毎日の食事で必要な栄養素をバランスよく摂取していないと病気や不調を引き起こす原因になる。そこで注目を集めているのが、サプリメントも用いた適切な栄養摂取で細胞の働きを向上させるオーソモレキュラー療法(栄養療法、分子整合栄養医学とも呼ばれる)だ。
「血液検査をすると、どんな栄養素が足りないかがよく分かります。不足している栄養素を補給すると、慢性的な肩コリや腰痛などの不調は多くの場合、改善します。つまり、食生活を改めれば、細胞レベルで体調を改善することができるわけです」
と、オーソモレキュラー栄養医学研究所理事で管理栄養士の大柳珠美さんは語る。しかし、栄養に関する正しい情報はまだまだ浸透していないのが現状だという。
「たとえば、コレステロール値が上がるからと、あんこうの肝やたらこ、すじこなどを食べない人がいますが、それはひと昔前の情報で大きな間違い。コレステロール値は食事で変化しないことは、2015年に厚生労働省と動脈硬化学会が発表しています。コレステロールを多く含む食品は、細胞の代謝を活発にするほか、老化予防になるビタミンEも豊富に含むので、中高年こそ積極的に取りたい食品。筋肉のコリや痛みなど、ビタミンEの摂取で改善されるケースもあります」
筋肉のコリや痛みの主な原因は、同じ姿勢でいることによる血行不良。
「抗酸化物質を豊富に含むビタミンEは、老化防止の必須栄養素。血管を若々しく保ちながら血行促進ができるため、間食をするなら甘いものよりアーモンドを。色の濃い野菜を毎食取るように心がけるだけでも体調は変わってきます」
栄養補給にはうなぎがイチオシ!免疫力を維持するビタミンAは卵の約6倍。B1、B2、B6、B12、D、E、ナイアシン、ミネラル(鉄、亜鉛、カルシウム)がバランスよく含まれ、血液をサラサラにしてくれるDHA、EPAも豊富。アンチエイジングに作用するコラーゲン、コエンザイムQ10、消化吸収を助けるムコ多糖類も含まれている。
ひざ関節痛には「甲殻類を殻ごと食べる」より「 サプリメントを取る」正解!ひざ関節痛の緩和に効果があるといわれるグルコサミンとコンドロイチン。これらは、合わせて摂取することで効果を発揮する。グルコサミンは甲殻類から抽出されるため、エビやカニなどを食べれば摂取できるように思えるが、残念ながら人が持っている酵素では分解されない。ひざ関節の痛みを改善したいなら、サプリメントで補うのが正解だ。
監修/大柳珠美さん
オーソモレキュラー栄養医学研究所理事。管理栄養士。
〈「一個人」3月号より〉