近年では、鉄道趣味の細分化や深化により、これらの『時刻表』に載らない路線も、鉄道路線の一部、あるいは鉄道に準じた存在として仲間入りをさせる向きも出てきた。例えば、森林浴発祥の地で木材輸送をしていた長野県の赤沢森林鉄道(あかざわしんりんてつどう)や、鉱山輸送の歴史を持ち、走行日は本当に1円で乗車できる兵庫県の明延(あけのべ)1円電車など、おもしろい路線にあふれている。なかでも、富山県の「立山砂防工事専用軌道(たてやまさぼうこうじせんようきどう)」(以下、立山砂防)は、鉄道ファンの間で「一生に一度、乗れるか乗れないか」といわれている。なぜなら個人では抽選に当たった選ばれし者しか乗れないからだ。
立山砂防は国土交通省が管轄する工事用の路線で、全国有数の急流で暴れ川としても知られる常願寺(じょうがんじ)川沿いにあり、土砂が下流に流れないようにせき止める砂防ダムのメンテナンスと、資材を輸送するために建設された。なんと、沿線には38か所ものスイッチバックがあり、最も急な勾配は83・3パーミル! 全区間の高低差は640メートルに及ぶという。立山砂防では、他では味わえないここだけのスペシャルな乗り鉄体験ができるのだ。
工事用の資材や人員を輸送する目的で運転されている鉄道なので、本来なら一般の人は乗車できない。でも、7月から10月にかけて立山カルデラ砂防博物館が主催する「野外体験学習会」(以下、学習会)の「トロッコ個人コース」か「トロッコ団体コース」のいずれかに参加することにより、上り・下りのどちらか片道に乗車することができる。立山カルデラや砂防ダムを周知することを目的に実施されている学習会なので、トロッコの乗車時間よりも学習・見学の時間が長く、鉄道ファン向けのツアーというわけではない。それでも乗車できる唯一の方法のため、この幻のチケットを手にしようと抽選に運を賭けるのだ。
もちろん鉄道好き以外の参加希望者も多いため、応募多数の場合は抽選を勝ち抜く必要がある。
■ついに驚愕のトロッコ体験
参加者全員が揃ったことを確認すると、ディーゼル機関車はエンジン音を上げながら加速していく。全長18キロ、高低差640メートル、1時間45 分の乗り鉄が始まった。出発直後、カルデラを一望できるポイントで一時停車。見学会の行程で何度も見た立山カルデラだが、鉄道の車内から見ると額縁が付いてさらに雄大な光景に見えるから不思議だ。これは日本でも有数の「絶景車窓」といえるのではないか。進行方向左側には崖、右側は絶壁。よくぞこのようなところに線路を敷いたものだと感心する。
事前に調べたところ、立山砂防の下り列車の最高速度は時速15キロ。信号機が設置されていないので、急ブレーキで止まれる範囲のスピードに抑えているそうだ。そのため、ゆっくりと山を下っていくのだろうと漠然と考えていた。
ところが実際に乗車してみると結構なスピード感。連続するカーブ区間では車体が左右に揺れ動くため、そのたび乗客にもGがかかる。だけど、線路やバラストは定期的に交換されているようで、全体的な乗り心地は決して悪くない。
■一生分のスイッチバック
出発して約8分。いよいよ樺平(かんばだいら)の18段連続スイッチバック区間に入った。鉄道ファンにとっては、ここからの約15分が最大の見どころとなる。ジグザグと前後に進みながら勾配を緩和する施設だが、18段にも及ぶスイッチバックは世界的にも類例がないとされている。地球上にここだけ。そこに今いる優越感がたまらない。
まず驚いたのは、方向転換までの時間が短いこと。一般の鉄道のスイッチバックは、運転士が前後の運転席に移動する必要があるので最低でも1分程度はかかるけど、ここではポイントの切り替えも自動化され機関士がリモコンで操作しているので、ものの3秒程度ですぐに折り返す。また、1段あたりの走行時間も短い。下車後にYさんが計測していたと知り、聞くと40~90秒とタイムを教えてくれた。まさか秒数まで測っていたとは。その鉄道愛に脱帽である。
スイッチバック区間に入ると車内にいても体が前に後ろに反れて、急勾配区間を走行していることを体感できる。速度の遅いジェットコースターのよう。なんといってもここは日本一の急勾配なのだ。また、スイッチバックの折り返し地点には「樺平18」のように、名称と段数の番号が記された標識が設置されている。これを見ると全体のどのあたりの位置にいるのか一目瞭然。アナログのGPSだ。
窓から下方を眺めるとこれから進む区間のレールがつづら折り状に連なっていて、「いいね!」がたくさんもらえそうなインスタ映えを誇っている。線路脇には雑木林が連なっており空気も心地よい。木々の切れ目からは立山連峰の名峰・薬師岳(やくしだけ)が見える。
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