(『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』より引用)
例えば借金がある、DV癖がある、浮気をする、実は前科があるなどの訳あり物件の男性を『クズ男』と総称するとしよう。でも中には表面的に分かりづらいけれど、そのクズに到達していないけれど、人間としての危険性をはらんでいる男がいる。その本性がほんのちょっとした言動や風貌で「(……この男、なんかおかしくないか?)」と、第六感を刺激してくる男を何人か見てきた。
そういった男を総称して個人的に『あかん男』と呼んでいる。中でも、その言動が分かりやすかった数名のエピソードをランダムに紹介していきたい。
未然に男性災害を防ぐための、防御策をどうぞ。
“あかん男”たち⑦
【メール返信が遅い男】▼信用度が低い▼きっと彼はこんな感じでパソコンを眺めているはず…(笑)。
ライターという職業柄、一日に送受信するメールは多い。書くだけではなく、編集業や撮影コーディネートなど食いっぱぐれのないよう、あちこちに予防線を張って仕事をしているので、さらにメールの量は増える。
「ロケのケータリングを連絡して、原稿ネタを送って……」
フルタスクで10年以上働いていると、10件以上の案件が脳内を往来していてもパニックを起こさなくなった。慣れたものだ。ただミスはたまに起こす。
これは自慢をしたいのだけど、メールは即返信するように心がけている。個人事業主になる際、すでにフリーで活躍している人たちにも失敗しないコツのリサーチをかけた。その時に同じライター業の先輩から伝授されたのは
「メールはとにかくすぐに返信しろ」
だった。この教えだけは忠実に守っている。まとめて後から返信すると、それだけ進行が滞るので自分も損をするから、なるべくためない、止めない。
その心得から連絡が遅い人に会うと仕事ができない気がしてならない。ほんの少しの作業なのに、それができない ? よく彼氏からのメール返信がないと
「休憩時間の1分で送ることができるのに!」
と怒る女性の気持ちとどこか似ている。
メール返信の遅い男性を本当にたくさん見てきた。全員のエピソードまですべて紹介をすると、この本が300ページを超えるので今回は割愛するが、男性だけではなく女性もいた。
遅いだけならまだしも、返信のない人もいる。他に見張りをつけるためCCメールで送っても無視。メールが続いても、電話をかけてもなしのつぶてである。
一度、あまりにも返信がない仕事相手の男性を捕まえて、その理由を問い詰めたことがある。
「ひとつの連絡に対して、何度もメールや電話をするのは時間のロスです。こちらが下請けということで、後回しにされているんでしょうか?」
一応伝えておくと、私が本気で怒るとむちゃくちゃ怖い。親父も男子大学生もビビらせて、泣かせたことがある。
「そんなことは……ないんです。送ろうと思うんですけど……すみません……」
理由はないらしい。それならこれは癖だと、あきらめがついた。他にもヒット企画を持っているのに、原稿料の支払いを滞らせてスタッフを激怒させている編集者も知っている。社内でも厄介者になっていて、各部署をジブシーのように異動させられていた。
質のいいアイデアを出せ、と言っているのではない。それはもう能力の問題だ。メールを返す、連絡をする。そして使った金を清算する。誰もができることを怠るのは、もうその人の『感覚』なのだと思う。よく忘れ物をしてしまう小学生の習性が直らないことと同じだ。相手の信用が低くなるなんて、当人の発想にはない。最近はその手の人種を追いかけることはやめて、こちらも返信をしないように対処している。
そして他にメールの送受信で気づいたのは、多忙な人ほどメールの返信が早いこと。受信をした知らせだけを送ってきて
『詳細はまた改めて送ります』
という人もいる。ここで信頼度はめきめきと上昇する。

ではここらでもう一度、メール返信の遅さを恋愛の観点から考察してみよう。その昔はメール返信の速度で駆け引きをする、という恋愛の法則があったけれど、読めば既読まで知らせてくれるのだからもう古い。その既読がネックになって、
「彼から返信が来ない」
胸をざわつかせる女性が多い。この世には信じたくないけれど、LINEが100件近くたまっていても平気な男性、いや人間がかなりいる。彼らに悪気はなく、自分のタイミングのいい時に内容をチェックしたいだけ。彼らにその理由を聞いても、答えることは難しい。それが『感覚』なのだから仕方ない。そこで正論を並べる時間がムダだ。
つき合った男性がこの一派で、あなたがメール即返信派だったら、割と厄介なことになる。相手は飄々としていても、こちらは返信の遅さに辟易する日々。相手が松坂桃李さんならまだ理解の余地はあるが、おそらく普通の男性だろう。
恋愛が燃え上がっている最初のうちはいい。LINEも秒速で返ってくることだろう。ただいずれ時間が過ぎて、彼の『感覚』が馬脚を現した時、返ってこない返信量と同等のストレスをためることになるのを忘れないで。