矢内東紀(以下:矢内) 「最近、企業が2%以上、障碍者を雇わないといけないということになったと。アレ、はっきり言って、精神障碍者は雇われないじゃないですか。身体障碍者ばっかり雇われてる。で、精神障碍者の場合は、入ったら邪魔だっていうのもあるんだけれども、そもそも、制度として、おかしくないですか? というのは、私、双極性障害と発達障害っていう診断をされてるんですけど。週5日、1日8時間なんて、とてもじゃないけど働けない。だから、そんな制度に障碍者雇用という枠を設けて、健常者と同じ時間、働かせようというのは土台無理」
和田秀樹(以下:和田) 「おっしゃる通りだと思いますよ。
矢内 「私、2019年12月に『「NHKから国民を守る党」の研究』を刊行しました。この“N国党”の立花っていうのは、双極性障害と統合失調症というふうに自分で言っているんですね。双極性障害と統合失調症の代表者としては、よく国会議員になったなと、ホントに思うんだけど。だから、NHKをぶっ壊すとかじゃなくて、障碍者の代表として国会に行ったと考えれば、すごく納得ができるんだけど。ただ、立花さんが残念だったのは、少し金を持っちゃって。
和田 「そうだ。そのとおりだ。だからさ、高田がんとか、昔の泡沫議員というのは、ホントにもう、絶対勝てないのがわかっていて、貧乏をやりながら活動していたの。そういう面では、高田がんってじつは立派な人でもあったわけです。」
矢内 「やっぱり、お金って、結構、人を狂わすじゃないですか。それが何億で狂うのかっていうのが、その障害度によるというか。僕の友達に、幸福の科学総裁の大川隆法氏の長男で、宏洋(ひろし)さんという方がいるんですね。彼は、もう、“幸福の科学が嫌だ”っていうので、数百億の遺産というか、財産を放っぽって出てきたわけだけれども」
和田 「たいしたものだよね」
矢内 「もう、完全に、いくらもらおうが、“絶対、幸福の科学になんか帰ってやらない”と言う。でも、(大川総裁が)死んだ時は、“絶対に遺留分は分捕ってやる”と言ってるわけだけれども」
和田 「大川氏については、いろんな説があるから、ホントかウソかはわからないけど、人間って、金持ち出してくると、狂いだすんだよね。ただ、宗教って、やっぱり、始める時は、わりと純粋な心の人が多いわけよ。ちょっと、発達障害がかかってるからさ。あと、昔はパラノイアっていう診断名があってね。要するに、もう、自分は天才だと信じ込むとか、神様のことを信じ込むとか、霊言を信じ込むとかさ」
矢内 「“大川隆法は金儲けのためだ”とかって、宏洋さんなんかは言うんだけど。
和田 「だから、少なくとも初期は、そうだったと思うよ」
矢内 「はい、そうだと思いますね。逆にいえば、金がすべてになってしまうなら、幸せを楽しむ能力がなくなってしまうということですね。僕とか宏洋さんの強みはですね、二世であるということなんですよ。要するに、金で狂った狂人を親に持っているという。だから、その先がね、どうなっていくのかなっていうのが、私自身も、ちょっと、わからなくて、不安ではあるんですけれども」
和田 「僕なんかはね、たとえば、アスペルガーは、たぶん、かなり克服できたと思うんですよ。精神科医の仕事をやってさ。まあまあ、勉強してるうちに、多少は人の気持ちがわかるようになったしさ。あと、いろいろオルタナティブに考えられるようになって、感情のコントロール力も、前と比べたら、全然ついてるからさ。だけど、ADHDは治んないですよね。でも、アスペのほうは、たぶん、治ったと思うんだけどね」
矢内 「治ったというか、もう、メタ認知ができてますもんね」