和田秀樹(以下:和田) 「僕は、自分はタバコを吸わないのに、タバコを吸うヤツの味方だしさ」
矢内東紀(以下:矢内) 「和田秀樹先生は、どういう理屈で、喫煙者の味方なんでしたっけ」
和田 「僕が若い頃ってさ。精神病院に入ると、1日タバコは2本しか吸わせてもらえなかった。なんかさ、“それって、どうよ”って思ったわけよ。そしたらさ、この人も、たぶん、発達障害だと思うんだけど、石川信義さんという方がいて。この方は、東大の経済学部を出て、安田火災海上保険に入ったのに、ある日、突然、東大の医学部に入り直して、全共闘の運動もして、精神病院を開業するわけですよ。元々、金融機関に勤めてたから、そういうの、うまいんだろうね」
えら 「ああ、経営が…」
和田 「うん。
矢内 「まあ、だから、要するに、その、自分たちが、いじめられているような感じがしてくるというやつですね。少数者に対する、その、正義の名のもとの迫害みたいな。それは、すごく、よくわかります。
和田 「WHOはね、ずーっと酒を叩き続けていて。それで2003年から、もう4回くらいにわたって、各国のテレビ局とかに“CMを自粛しろ”、酒屋に“安売りをやめろ”とか、“11時以降は酒を売るな”ってやっていて。もう、ほとんどの国が、11時以降、酒を買えないのね。で、バーも2時までしかやってない。あと、酒の広告自体は禁止されてないんだけど、タバコと一緒で、酒を飲んでるシーンの広告が、ダメなんですよ。ところが、日本だけはさ、数人殺したくらいで、テレビ局はボロンクソに叩くくせに、アルコールのテレビ広告って、ベストテンに3社くらいが入っている。アルコールで年間5万人も死んでるんだけど、テレビ局員は自分たちの年収1500万円を守るためだったら、WHOになんといわれても、平気なんだよ。だから、結局、タバコは負けちゃったから、アルコールの会社を電通とか博報堂はさ、守ろうとしてるね」
矢内 「いや、なんていうか、その、イスラム教っていうのは、酒が禁止なわけですけど。中田考先生がいっていて、すごく面白かったのは、聖典というのは、豚肉が食えないとか、酒が飲めないというので、不自由だっていうふうにいわれるんだけど、じつは逆で、不自由な範囲をここまでにするという約束でもあると。だから、聖典には、タバコがどうとか書いてないから、タバコを新たに禁止するなんていうのは、シャリーア(イスラム法)に反しているんだと。だから、その、タバコが禁止になったと。まあ、おそらく、今後、禁止の方向に向かっていきますよね」
和田 「おそらくね。
矢内 「で、酒もダメになってきて。じゃあ、次は何なのっていったら、たとえば、排気ガスだとか、電車もなんとかだ、なんていって、どこまでも、どこまでも、いってしまうと。それっていうのは、ホントに、息苦しい社会になってしまうよなあ、という」
和田 「そう。だから、そこは息苦しい社会になるんだけど。ただ、唯一、日本の取り柄は、とにかくテレビ局に勤めてるヤツらはさ、年収1500万のためだったら、どんな汚いことやってもいいっていう教育が行き届いてるから。だから、酒は大丈夫だし、痩せすぎモデルは、絶対、追放しない。痩せすぎモデルだって、毎年100人、拒食症で死んでるわけだからさ。それこそ、『チャップリンの殺人狂時代』じゃないけど、1人や2人殺したら大悪人だけど、万単位で殺したら、正義の味方だからさ」