東北・上越・北陸・北海道新幹線などが発着するJR東日本の東京駅で、日本人からは「すごい!」「神業!」、外国人から「ソークール!」と賞賛され、毎日行われているのが新幹線の車内清掃です。
折り返し時間は12分。降車に2分、乗車に3分かかるので、清掃に費やせる時間はわずか7分間。
この7分間に清掃員たちが完璧な清掃を行い、それはまるでパフォーマンスを見るかのようで「新幹線劇場」ともいわれています。
主人公はJR東日本テクニカルハートTESSEI(テッセイ)の車内清掃スタッフたちです。
1チーム22人。
1両約100席のゴミをかき集め、座席の進行方向を変えると同時に座席のテーブルをすべて拭き、窓のブラインドを上げ、窓枠も拭き、汚れた枕カバーを交換します。
もちろんトイレも清掃し、どんなに汚れがひどくても、7分間できれいな状態に戻します。
終了するとスタッフがホームにずらりと整列し、一礼をします。ときには、乗客たちから拍手がわき起こることもあります。
テッセイのスタッフは礼を欠かしません。
降車する乗客には「お疲れさまでした」「ありがとうございました」とやさしく声をかけます。
作業終了後の一礼では、ホームで乗車を待つ乗客へ「お待たせしました」と礼を尽くします。
これは「お客さまに気持ちよく新幹線をご利用いただいてほしい」というスタッフ一同の気持ちの表れです。
また、この整列には、ほかの意味もあります。東京駅のホームには、一部に安全柵もありますが、列車の入線時は動いている車両に接触する危険があります。
そこで、テッセイのスタッフは、列車入線時に整列してガードすることで乗客の身を守るという、日本の鉄道には欠かせない安全第一の考えが根底にあるのです。
また、スタッフは、清掃だけでなく重たい荷物で困っている乗客の荷物を率先して運んだり、子どもたちにポストカードを配ったりと、乗客のために最善を尽くす「おもてなし」業務を心がけています。
そればかりではありません。
テッセイはきれいな制服がとても印象的で、帽子には季節により桜、鯉のぼり、ハイビスカスなどが飾られていますが、これらはスタッフのアイデアです。
テッセイは「エンジェル・リポート」というスタッフのよい行動を褒める制度を習慣化しており、表彰も行われ、「たかだか清掃員」というマイナス意識を「リスペクトとプライド」に変えています。
スタッフはイキイキと働きモチベーションも高く、それが安全で快適な日本の新幹線への一助となっているのです。
テッセイの取り組みやスタッフの活躍はテレビなどメディアでも紹介され、海外からの取材も多くなっています。近年はツイッター上で、その「すごさ」がつぶやかれ、フォロワーは数万人におよんでいるそうです。
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