大阪のワインショップ「mista」で店長をしている、ソムリエの竹内香奈子と申します。
いよいよ今週末はクリスマスですね。街中がイルミネーションに包まれ、キラキラと光り輝き1年の中で一番ロマンチックなとき。
様々な場所でクリスマスソングが流れ、街中はクリスマスムード満点。
大切な人と、あま~いクリスマスを過ごしたいですよね。
そこで、今回はクリスマスの甘さを倍増させてくれるアイスワインについてのお話と、オススメのアイスワインをご紹介します。
ちなみにアイスワインと言えば、毎週火曜日放送の人気ドラマ「逃げ恥」こと「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS)第7話(11月22日放送)のワンシーンで登場していましたね。
登場していたアイスワインの銘柄「ノーザン・アイス ヴィダル・アイスワイン」は、私が働いているショップでも販売しておりましたが、注文が殺到してすぐに売り切れとなってしまいました。輸入元でも欠品になっているほどの人気ぶり!
高級ワインにもかかわらず、逃げ恥の人気はすごいですね。◆アイスワインってどんなワイン?ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」にも登場したアイスワイン
そもそも、アイスワインってどんなワインかご存知ですか?
トロっとした上品な甘さで、まるで高級スイーツを味わっているような極上の甘口ワイン。
デザートワインの一種で、ワインを凍らせたものではなく、凍った完熟ブドウから造られています。
よく、ブドウを収穫してから人工的に凍らせると思われがちですが、実は樹になっている状態のブドウが氷結してから収穫をしています。
つまり、自然環境で凍ったままの状態のブドウを収穫するのです。
自然にブドウが凍るということは、寒い地域でしか造れません。
それに、アイスワインは醸造方法が定められています。
ブドウが自然の状態で凍ったものから造られているということ。
ブドウを収穫する際の気温は、-8℃を下回らないといけないということ。
ですから、アイスワインはどこの国でも造れるというわけではないのです。
有名な生産国は、ドイツ、カナダ、オーストリアです。

アイスワインは、200mlで安くて4,000~5,000円ぐらいはします。
200mlで?と思ったあなた。
そうなんです。通常のワインはフルボトル750mlですが、アイスワインの場合200mlでこの価格帯なのです。
その理由は、ブドウの収穫時期と特別な醸造方法にあります。
通常のワイン用のブドウは9月ぐらいに収穫をしますが、凍ってから収穫をするアイスワイン用のブドウは12月から1月の寒い、寒い、真冬に収穫をします。
だんだん寒くなり、ブドウは凍結と解凍を繰り返すことによって少しずつ水分がなくなっていきます。そうすると、ブドウはどんどん凝縮され糖分が高まっていくのです。
そして、気温が-8℃以下になってから凍ったブドウを選果し、一房ずつ丁寧に手摘みしていきます。

収穫したブドウは凍った状態で搾ります。
凍ったまま搾汁するので水分が氷として残り、搾り出されるのは凍っていない甘みと香りの凝縮された糖分の高い果汁となり、とても濃厚で強い味わいになるのです。
その果汁の量は、ブドウ一房からスプーン約1杯、ごくわずか!
まるで、ひとしずくの宝石のようです。
通常のワインと比べると10分の1ほどの果汁しか絞ることができないのです。
つまり、通常のワインの約10倍ものブドウが必要となることになります。
また、真冬の明け方、極寒の中での収穫から圧搾などの手作業。すごく大変な仕事となりますよね。
それに、収穫時期が遅いため、腐敗や動物による被害で収穫量はごくわずか。だから、アイスワインは高級ワインとなるのです。
このように手間ひまかけて造られた希少性の高いワインですので、昔は一部の貴族しか飲むことが出来ず「貴族のワイン」とも呼ばれていました。
そんなアイスワインが生まれたのは、ある偶然の出来事からです。
遠い昔、ドイツのフランコニア地方でワイン用のブドウを栽培していました。
ある年、突然の霜によりせっかくの熟したブドウが凍ってしまい処分することになりました。
しかし、どうしても無駄にしたくなかった農民たちは、その凍ったブドウでワインを造ったところ、とても甘みと香りの強いワインに仕上がったのです。
捨てるはずのブドウから奇跡的に生まれたワインが、アイスワインなのです。
アイスワインは、トロリとしたハチミツのような甘美な味わいと酸味とのバランスがよく濃厚な極甘口が特徴。
ですから、料理とマリアージュして楽しむというよりは食後にゆっくりと会話をしながら楽しむのがオススメ!
また、デザートワインとして愛飲されているのでデザートと一緒に、またはデザート代わりに飲むのも◎
アイスワインが美味しく飲める温度は、3℃~7℃ぐらいであまり冷やすと香りが立たなくなると言われていますが、私はよく冷やして飲むのが好みなので、いつも冷蔵庫でキンキンに冷やしています(笑)
冷蔵庫で3~4時間あればしっかり冷えますよ。
冷やすことによって甘さと酸のバランスがよくなります。
ワイングラスに注ぐときには、少量にしてグラスの4分の1ぐらいにしておきましょう。
アイスワインは、ゆっくりと少しずつ嗜むものですし、あまり注ぎすぎると温度が上がってしまい味わいがぼやけてしまいます。
よく熟れたマンゴー、いちじくのドライフルーツ、レーズン、桃のコンポート、アップルパイ、チョコレート、クリームをたっぷり使ったスイーツ、マカロンと相性抜群!
ちなみに私は、ビスコッティ(イタリアの固いビスケット)をアイスワインに浸して食べるのがお気に入りです。
通常のワインは抜栓してからの賞味期限は冷蔵庫で保管して3~5日ぐらいですが、アイスワインは冷蔵庫で保管して軽く3週間はおいしく飲めます。
長持ちなので、ゆっくりちょっとずつ時間をかけて楽しめますね。
Northern Ice Cabernet Sauvignon Icewine 200ml
(ノーザン・アイス シグネチャー・シリーズ カベルネ・ソーヴィニヨン アイスワイン)

逃げ恥のワンシーンで登場したアイスワインと同じワイナリーで造られた赤バージョン。赤のアイスワインです。エチケットには同じようにシロクマと月が描かれています。
プラムやストロベリー、クランベリーの果実とラズベリーを煮詰めたようなジャムの香りがします。トロリとしたコクと酸のバランスから高級感が溢れ出る味わい。
とろける上品な甘さにうっとりします。クリスマスディナーの後にこのアイスワインと、まったり愛を語ってみては。
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タイプ:赤ワイン
産地:カナダ オンタリオ
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニヨン95%、ドルンフェルダー5%
価格:4,720円(税抜き)
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※記載の商品価格はすべてWINE SHOP mistaの価格です。
Reif Estate Vidal Icewine 200ml
(ライフ・エステート ヴィダル アイスワイン)

エチケットには、アイスワインを想わす夜明けの月とともに凍ったブドウが描かれています。アプリコットやマンゴーの香りがします。
飲み込んだ後の余韻が甘い世界に連れて行ってくれますよ。クリスマスケーキやデザートと合わせて甘いクリスマスに!
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タイプ:白ワイン
産地:カナダ オンタリオ
ブドウ品種:ヴィダル
価格:4,000円(税抜き)
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いかがでしたでしょうか。
今回頭に入れていただきたいのは、以下の3つです。
①アイスワインは人工的に凍らせたブドウではなく、樹についた状態で自然に凍ったブドウから造られる。
②よく熟れたマンゴー、いちじくのドライフルーツ、レーズン、桃のコンポート、アップルパイ、チョコレート、クリームをたっぷり使ったスイーツ、マカロンと相性抜群!
③アイスワインは、抜栓してから3週間は十分おいしく飲める。

アイスワインは、大人の極上スイーツ!
クリスマスはちょっと贅沢に!アイスワインでまったりと甘いひとときを過ごしませんか。
優雅でリッチなクリスマスが楽しめますよ。
これから、このような具体的なシーンを通して、ワインの楽しみ方、そして何よりワインの美味しさをお伝えしていきたいと思います。
次回をお楽しみに!
*この連載は隔週水曜日更新予定です。