「なぜ彼女たちは裸になったのか」など、性を売る側の女性にばかりが注目されがちな売買春の現場だが、もう一方の当事者である男性側に目を向けることによって、見えてくるものはあるのか!?「見えない買春の現場 『JKビジネス』のリアル」を2月9日に刊行。「性の公共」をつくるという理念の下に、現代の性問題の解決に取り組んでいる坂爪真吾氏に語っていただいた。
JKリフレは婚活の場!?「中年男性、JKの双方が抱える孤独感...の画像はこちら >>
 ■JKリフレで婚活は可能か?

 度重なる規制強化によって、表面上JKビジネスは健全化された。JKブランドを売りにしている多くの店舗では、実際に働いているのは「JKあがりたて」と呼ばれている高校卒業直後の18歳以上の女の子になっているそうだ。
 お話を伺ったのは、JKビジネスの情報サイト『合法JKナビ』を運営されている桑田さん。『合法JKナビ』は、「宇宙最強のJK情報サイト」と称して、店舗データベースや利用体験談等、合法・非合法を問わず、JKビジネスにまつわる様々な情報を掲載している。

 桑田さんによれば、同じJKリフレ店(=ハグや膝枕、添い寝といった風営法に抵触しない程度のふれあいサービスを提供する店舗)でも街によって男性客の属性は変わるという。
桑田「秋葉原のお客様は比較的草食でおとなしいですが、金払いは悪い。自己承認欲求が強くコミュニケーションの下手な方が多いので、そうした男性をうまくのせることのできる女の子が人気になっていく。

 池袋や新宿は、普通に働いているサラリーマンがふらっと入ってくる場合が多い。オタク系ではなく、わがままな男という感じ。金払いはそれなりに良いですが、本番を強要したり、自分に間違った自信を持っている男性もいる。女の子に対する態度は最悪ですね。そうした男性を、女の子たちは『仕事はできるんだろうけど、モテないだろうな~』という目で見ています。


 あくまで私の印象ですが、既婚者と未婚者の比率は、3対7程度。もっと既婚者が少ないかもしれません。未婚者の中で本当に多いのが、結婚相手を探している人。素人の女の子をあわよくば結婚相手にしたいという目的で来ています。一部の有名店では、店自体が『婚活の場』みたいになっています」

 中年の男性客とJKリフレで働く女の子との間には、20歳くらいの年齢差がある。独身の中年男性と女子高生、普通に考えても結婚相手として成り立つはずが無い。男性客は、「婚活目的でJKリフレに通う」という自分の行動に疑問を抱かないのだろうか?

桑田「女の子は男性をそういった気にさせるのが巧いんですよね。店側も『この子と家庭を持ったら幸せになれる』と客に思わせるような接客をするよう指導している。一方で、本当に男性と恋愛関係になって店を辞める子もいる。変な話ですが、ちょっと夢があるんですよ」

■中年男性とJKのいびつな共鳴 

 JKリフレで働いている女の子たちは、学校や家庭に居場所が無い、社会的に疎外された子も多いため、彼女たちの抱える孤独感が中年男性の抱える孤独感と共鳴する場合があるという。

桑田「親からも社会からも認められない。学校に行っても居場所が無い。

こんなダメな私を、この人は全然タイプじゃないけど、無条件で認めてくれる…。この人だったらどんなわがままを言っても離れないだろうなという実感が得られると、女の子は男性についていく。女の子側も『買ってくれる男』を必要としているんです。
 未成年の働いているアンダー店で意外と多いのが、学費を稼ぐために働いている子。JKリフレの子はひとり親家庭が多い。家庭が機能していないため、自分を必要としてくれる男、生活必需品を買ってくれる男を求めている。

 女の子たちはよく、『家や学校での関係は、みんな上っ面』だと言っているんですよ。逆に変な話、リフレ店で演じている自分、源氏名の自分の方が素になってしまう。クラスのイケイケでチャラチャラした人たちと遊ぶのも好きだし、そんなカッコいい人たちと遊べる自分も好きだけど、なんか疲れる。彼女たちは見た目は若くても、精神的にはかなり疲れきっている。
 彼女たちが同世代の男の子と付き合わないのは、単純にお金の問題。同世代と付き合っても、『なんでこんなに遊んでいるのに、この人は私にお金をくれないんだろう』と思ってしまう。

リフレの客はお金をくれるけど、同世代の男の子はくれませんから」

 こうした人間関係への期待値の低下、及び金銭感覚の変容は、未成年の少女がJKビジネスで働くことの大きな副作用だろう。当然ながら、彼女たちがこうした副作用に見舞われてしまうのは、男性客からの影響が大きい。好むと好まざるにかかわらず、「お金を払って未成年の女子高生とエッチなことをしたがる中年男性」という、大人の男性に対する期待や信頼が蒸発するような現実を連日見せられるのだから。
 男性が金銭を介して女性と恋愛関係を築こうとすること、そして女性がそれに応えようと演技することは、道徳的な是非論を抜きにしても、双方にとって相応の精神的負担を伴う行為であることには間違いない。まして女性側が未成年であれば、前述のような副作用がその後の彼女の人生に大きな悪影響を与えてしまう。

桑田「JKリフレで働いている子の中で、見た目と同じように中身もキャピキャピしている子は一人もいないんじゃないかと思います。店長や男性客も黒い部分を抱えているので、彼らの色に染まってしまう。
 店には、どうやっても店長個人の色が出てしまう。その女の子のことを知りたければ店長のことを知ればいい、と言われているくらいです。下半身にだらしない店長だったら、そういう子ばかり集まる。金に汚い店長だったら、そういう子ばかりになる。
それまで全然裏オプ(=ハンドサービスやオーラルセックス、本番行為などの裏オプション)をしなかった子が裏店に入ってしまうと、いつの間にか染まってしまう。

待機室で皆がタバコを吸っていれば、自分もいつの間にか吸っちゃう。店長の影響力は学校の教師のように大きいので責任重大です」
「見えない買春の現場 『JKビジネス』のリアル」より構成)

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