それほど風呂好きじゃないという人物でも、それなりに風呂に一家言あるのが当たり前。そんなニッポン人のアツい想いやお風呂の習慣は諸外国の人々にどう映るのか。
はたまた、「ウチの国のほうがスゴイゼ!」という意見が飛び出すのか。日本在住の外国人の方々に集まってもらい、座談会形式で各国のお風呂感を徹底調査した。◆お互いにびっくり!? 意外と差のある各国の風呂習慣

 座談会のメンバーはモデルや俳優として活躍するこちらの4名。

●レバノン出身、フランスでも暮らしたメクダシ・カリルさん(57歳・在日23年)
●ネパール出身のカダカ・ジャガットさん(45歳・在日20年)
●フィンランド出身のトーマス・レフトラントさん(24歳・在日2年)
●ナイジェリア出身のミカイル・アーメッドさん(48歳・在日15年)

――まずは日本のお風呂でビックリしたことって?

メクダシ:バスタブの外で身体を洗うこと。私の国ではバスタブの中で全部済ませちゃうからね。
ミカイル:スポンジやタオルで洗うこと。ナイジェリアでは石鹸そのもので身体を洗うよ。
カダカ:石鹸をじかに? そういえばネパールには、日本のヘチマタワシみたいなのがあるよ。
ミカイル:あと、全裸で大勢の人と入るのにも驚いた。ひとりで入るもんだよね、お風呂は。
一同:そうそう!
カダカ:裸は恥ずかしいよ。ネパールにタトパニ温泉という人気スポットがあるんだけれど、集団で入っていても、サリーの中に浴衣を着たり、マスクをしたりしていたからね。


他3名:えっ、マスク!?
トーマス:フィンランドでは、みんな裸でサウナに入るけどね。それよりも日本は水道が臭くて驚いた。そのとき付き合っていた彼女はわからないって言ってたけど…

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フィンランドのみならず、ドイツなど他国でもサウナ文化が発展しているヨーロッパ。

カダカ:その彼女、何人?
トーマス:日本人(笑)。それに、フィンランドでは家賃に水道代が含まれているのに、日本は別料金なんだね!
メクダシ:とはいえ、日本は水、安いよね。レバノンは海水を淡水化して使うほど、水が貴重だから高かった。あとね、折角キレイに洗ったのに、日本人がわざわざ湯船に入るのが理解できなかった。

 

――湯船に入る習慣ってあるの? 日本に来て、それは慣れた?

カダカ:私の母国には菖蒲とかハーブを入れたお風呂もあるよ。
トーマス:今、住んでいるウチのマンションでは湯船は使わない。だって狭いんだもん。リラックスのために、お湯に浸かりたいけれど、ボク、脚長いからさ(笑)。
ミカイル:湯船に水をいっぱいためる時間がもったいない。

ねぇ、温泉のお湯って、すごく熱いよね? 入れる?
メクダシ:なんであんなに熱いの! オレは玉子じゃなーい、って叫んじゃうほど熱い(笑)。

世界と比べてみた! 日本のお風呂文化のスゴイところ、変なところ
モンゴル草原にはお風呂がないので、濡れタオルで身体を拭くだけ。トイレも草原で。

――自国の入浴スタイルは? 朝、夜、どっちに入るの?

カダカ:ネパール人は大抵、朝に入る。仕事の前にお寺に行ってお祈りをするから清めておかないとね。湯には浸からずシャワーで。でも土日はゆっくりと寝る前に。ハーブオイルでマッサージして、クミンとかスパイスも使って全身のアーユルヴェーダをね。
メクダシ:へぇ、さすが! 僕は朝、出かける前にシャワーだな。歯を磨いたり、顔を洗うのと同じようにササっと。ボクの親父も朝だったけれど、大工さんをやっていたオジさんは夜だった。ほら、肉体労働して汗かくからさ。


ミカイル:ナイジェリア人は、朝、シャワーを浴びて、夜も浴びる。休日は昼間も浴びる(笑)。
トーマス:暑いもんねぇ。ボクも朝と夜かな。時間があるときはシャワーのあとサウナに入って、そのあと冷たい水に入る。

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ナイジェリア人はシャワーをよく浴びる。コイン式シャワールームも一般的に普及。

――石鹸とかシャンプーは日本製と違う?

メクダシ:中東はオリーブ油入りね。ニオイを隠してくれる。
カダカ:ネパールはハーブのニムという石鹸が人気。あとはモロヘイヤみたいな草とか、栗とか。
トーマス:ナッツみたいなので洗ったりも。

髪にいいというタールのシャンプーも人気だったよ。
ミカイル:レモンとかフレーバーがあるのを使っていたな。

――日本のお風呂、好き?

カダカ:シャワーだけでもお風呂に入るっていうのが不思議だけれど…好き(笑)。
全員:うん、大好き!

〈雑誌『一個人』2018年2月号より構成〉

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