*掲載されている情報はすべて編集部調べです。諸説あるものはその代表例を取り上げています。ご了承ください。写真を拡大 現在日本のファッションシーンでも取り上げられている10の民族柄をピックアップ。それぞれの生まれた国ごとに分類し、そのルーツを徹底解剖!北欧を中心に育ったフォークロアと
過酷な歴史も背景にもつエスニック
地域や家族単位で暖かく育まれたフォークロアに対し、エスニックはネイティブ・アメリカンや移民たちのたどってきた厳しい現実との戦いを背景に生まれたものが多い。それゆえアジアやアフリカの一部には呪術的な意味を持つ柄も多く存在しているのだ。
セラぺ serape●原産国…メキシコ全域
●発祥時期…不明
●使用民族…メキシコ先住民


メキシカンボーダー(=メキシコの民族衣装に見られる5つの色をベースにするマルチカラーボーダー)と同義で使われるが、正確には真ん中に穴を開けて上半身を覆うラグのような布=セラペに使われる柄のことを総称したもの。
チマヨ chimayo●原産国…米・ニューメキシコ州
●発祥時期…1700年ごろ
●使用民族…チマヨ村の住民


チュロと呼ばれる、毛が長い羊の毛を使って織られるチマヨ織の代表的な柄のひとつ。幾何学的なひし形モチーフが特徴的で、最近では類似した型全般を指す。
トライバル tribal●原産国…米・アラスカ州●発祥時期…紀元前以前?
●使用民族…ハイダ族


ネイティブアメリカンに語り継がれる伝説に由来
アラスカの原住民に伝わる「ワタリガラスの伝説」がベースとされ、カラス(知恵)ワシ(勇気)ハチドリ(幸運)などのモチーフが使われる。
*トライバルは部族柄の総称。 モン刺しゅう mon'sembroidery●原産国…タイ、ベトナムなど
●発祥時期…不明(紀元前1500年頃?)
●使用民族…モン族


中国から東南アジアに移住し、「モン族」と名乗った民族の伝統的な刺しゅう。クロスステッチと藍染めを基本にする工芸品で、象の足跡を象ったと言われる独特の渦巻き模様が特徴的。なお「メオ」とも呼ばれるが蔑称なので注意。
ゲーリー gary●原産国…ネパール
●発祥時期…不明
●使用民族…特定の民族なし


フェアアイル柄を思わせる幾何学的でカラフルな配列のデザインと、厚みのある素材感が特徴的なネパールの伝統的な生地のことで、転じてその柄を指す。特定の民族が作った柄ではないが、市場など現地に深く根づいている。
ハレ・ラマ harerama●原産国…インド●発祥時期…不明
●使用民族…ヒンドゥー教徒全般?


ヒンドゥー教のお経やインドの神様をデザイン
ハレ・ラマとは、インドの国教であるヒンドゥー教のマントラ(呪文)の一部であり、「ラマ」はヴィシュヌ教のことを指す。最近のファッション用語では本来の意味をやや離れてお経や神様をデザインした柄の総称になることも。
カンガ kanga●原産国…東アフリカ全般
●発祥時期…19世紀ごろ
●使用民族…スワヒリ族など


ケニアを中心に民族衣装として使われる綿製の布の名称であり、そこで使われる柄のことを指す。カンガとはスワヒリ語でホロホロチョウのことで、それをデザインした布のことをカンガと呼ぶようになったと言われる。
ノルディック nordic●原産国…スカンジナビア地方●発祥時期…不明
●使用民族…北欧の人々全般


北欧の自然と密接に結び付く伝統のデザイン
ノルディックは北欧を意味しその地域で古くから着用されているセーターに使われる柄のことを言う。雪柄やトナカイ、星など動物や植物、自然のものをモチーフにしている。
フェアアイル fairisle●原産国…シェットランド諸島・フェア島
●発祥時期…諸説あり(16世紀以前)
●使用民族…フェア島の住民たち


地元の編み物から特産品へ、有名人着用で世界進出!
バイキングによって伝えられた編み物技術が起源とされ、19世紀中頃に島の産業として成立。1921年にのちの英・ウィンザー公が着用したことから、世界的なヒットアイテムに。
チロリアン tirolean●原産国…アルプス・チロル地方●発祥時期…不明
●使用民族…特定の民族なし


メルヘンなニュアンスのチロリアンテープが有名
アルプス山中全域を指すチロル地方に伝わる民族衣装を指すが、ファッションシーンではそこで使われていたパイピングの柄を「チロリアンテープ」と称することが多い。ちなみに赤・黒・緑の三色の組み合わせがベースとされる。