スタイルも生き様もすべてがかっこいい、伝説の男のファッションの秘密に迫る短期連載。
第3回は、来年で没後30年を迎える中、今なお絶大な影響を与えるカリスマ俳優、松田優作の魅力に迫る。本物を追い続けたストイックな役者人生
1949年9月21日、山口県に生まれた松田優作は、1973年に出演した刑事ドラマ『太陽にほえろ!』の殉職シーンで話題になる。その後『蘇える金狼』『野獣死すべし』など数多くの映画に出演、ドラマ『探偵物語』で若者から絶大な人気を獲得する。1988年には映画『ブラックレイン』でハリウッドデビューを果たすも、翌年急逝。享年40歳。長男龍平、次男翔太は俳優として活躍している。
Photo by AFLOトレンチ、ジーパン、サングラス…。何でも日本一似合う”松田優作”としてのファッションというよりも、ドラマや映画の作品内の役柄での印象の方が強い。事実彼も、ファッションに関しては全く興味がなかった。ドラマ『太陽にほえろ!』での柴田 純 (ジーパン刑事)のワイルドなジーパン姿や、同じくドラマ『探偵物語』の工藤俊作が着ていたタイトスーツセットアップにカラフルなシャツ、はたまた映画『ブラックレイン』の佐藤浩史が颯爽と着こなすトレンチ姿など、カジュアルでありながらどこかシャープな雰囲気を兼ね備えたタイトな着こなしや色使いは、2018年においても通用する普遍的なものがある。ヒステリックグラマーの北村信彦やサトルタナカの田中 了といったファッショニスタからも支持されたゆえんは、こういった”単純なカッコ良さ”にもあるのだろう。また役柄がバラバラなのに、彼が着るとどれも同じカッコ良さが見られる。
「強烈なカリスマ性、アクションシーンにスタントマンを使わない、役のために歯を抜いたり整形したりと、とにかくストイックすぎる」(Sさん・ファッションデザイナー)
「『探偵物語』での彼が持っている空気感は、たまらなくカッコよかった。それに、『ブラックレイン』の存在感にしびれました」(Aさん・スタイリスト)
「独特の雰囲気と卓越したセンスは今見ても人を引き付けるし、リスペクトしている日本人男性も多いはず。抜群の個性を持った男」(Tさん・スタイリスト)
「少しやんちゃなところもカッコ良く見えるのは、ズルいですね(笑)。ふたりの息子が活躍しているのも、偉大さを証明していると思う」(Uさん・ファッションデザイナー)
多くの若者がサングラスをしてヴェスパに乗った彼の役柄で最もファッショナブルかつ影響を与えたのが、ドラマ『探偵物語』で見せたモッズ・スタイル。スーツに軍物のパーカ、サングラスでヴェスパに乗る姿に、多くの若者があこがれた。ヴェスパとは、イタリア製のスクーターのことで、1960年代イギリスのモッズが愛用したことで知られる。
そんな彼のスタイルで欠かせないのが、シャツ×タイのトップスレイヤードだ。タイトめトップスシルエットも彼の真骨頂で、今も古臭さを感じさせないのがすごい。

また、ヘアスタイルに目を向けると、晩年は短髪だったが、彼と言えばやはりサイドに広がる無造作なカーリーヘアがシンボリックである。
松田優作をもっと知るためには?
まず、伝記『松田優作クロニクル』は必読。映画やテレビ、音楽など、松田優作の全足跡を網羅。