料理の腕を磨いた魯山人
美食家で芸術家の北大路魯山人は、美味しいものに人一倍貪欲で、こだわりも強かった。なかでも有名なのが「魯山人すき焼き」。
まだ無名時代、石川県加賀市の山代温泉に滞在中の魯山人は、自ら近江町市場で食材を買い込み、京で学んだ料理を作って振舞っていたという。漢学者・細野燕台の家の食客として訪れた山代温泉だが、たびたび魯山人が料理を手伝い、逆にテキパキと指示を出していたようだ。その家のおかみさんや女中は、とても助かり感謝していたというエピソードが残っている。白山連峰と日本海に囲まれた豊かな加賀の食材は、魯山人の舌を唸らせ、飽くなき好奇心から料理の腕前も各段に上げたのだろう。
そんなこともあって、加賀の食材である新鮮なカニや牡蠣、鴨などをこよなく愛したそうだ。
そんな魯山人が好んで食べたのが、ほうれん草。鍋にもよく使い、山代温泉に滞在中は鴨肉とも合わせていた。鴨鍋のときは「わさび」をつけて食べるのも魯山人のこだわり。これなら、簡単にマネできそうだ。