AI時代に生き残るリーダーは、どのようなリーダーか?
ますます、機械ができること、人間にしかできないことが区別されていくこれから。機械にもできる仕事をやっているリーダーは評価されなくなり、機械に取って代わられるのは間違いありません。
しかし「過去も現在もそして未来も変わらなく必要な能力」と「これから必要になる能力」は存在します。
1万5000人以上のリーダー育成を支援してきた鳥原隆志氏の新刊『AI時代のリーダーの原則』より今回は、「これからも必要な能力」として【自己管理能力】【自燃力】【仕事を楽しむ力】について述べたいと思います。■自己管理能力~これからは自己管理の世界

 働き方が多様化し、これからはオフィスにみんなが揃って働くという光景も珍しくなってきます。それぞれ、端末を通じて結ばれて、ある人は自宅から、ある人はサテライトオフィスからという風に、一人ひとりの働き方は激変するからです。

 実際に企業の多くもテレワークの導入などを検討していたり、地方にサテライトオフィスを導入する動きが活発です。

 一見、自宅で仕事をしたり、上司から目の届かないところで働くことは楽しいように思える方もいますが、私は全く逆だと思います。

 なぜなら、自分自身をコントロールできない人はこれから仕事が出来なくなるからです。

 私は前職でスーパーバイザーという仕事をしていた時期があります。いくつかのお店を巡回し、店舗指導をするのですが、誰も管理をしていないので、はっきり言って、お店を回ったふりをしてパチンコしていてもわかりません。

 自己コントロールできないと仕事が進まない環境なのです。

 自己コントロールは怠慢のコントロールだけではなく、仕事のし過ぎもコントロールしなければなりません。多くの仕事を抱えて苦しんでいる人は、ある意味自己コントロールができない状態なのです。

 そのほか、精神状態のコントロールも、時間管理も、そして人生設計も自分自身でコントロールして計画的に進めなければ、いずれかは体調に不調をきたしてしまうのです。

 人はコンピュータと違いリセットすれば元通りになる物ではありません。
 何かをすり減らしながら生きています。ですから、リーダーには自己コントロール力が必要なのです。

 ■自燃力~リーダーに必要なモチベーション
10年後のリーダーの必須能力。「自燃力」とは?の画像はこちら >>
モチベーションは誰かに与えられるものではなく、自分の内に持っておかなければならない。 (写真:フォトライブラリー)

 次にモチベーションの保ち方としての「自燃力」についてです。

 パフォーマンスの高いリーダーは、モチベーションの維持が上手です。

 よく勘違いされるのですが、パフォーマンスの高いリーダーはモチベーションが下がらない、と思われがちですが、実はそうではありません。

 ただ違うのは、一度下がったモチベーションを回復させるのがとてつもなく早いのです。

 人がモチベーションを維持する際によくあるのが、誰かに元気づけてもらうという方法です。

 例えば上司から褒められたらモチベーションが上がったり、本を読んでモチベーションを上げたりするという方法です。

 しかし、これからのリーダーに必要なのは、自分自身で自分のモチベーションを上げ続ける力。

すなわち“自燃力”です。

 上司から褒められたいと思って仕事をしていると、評価されていないとわかるなり、モチベーションが下がる人が多いはずです。これは他人にモチベーションのコントロールを委ねている証拠なのです。

 周りからの刺激がなくても、自分自身で燃え続けることのできる力を持っているリーダーは、モチベーションが一時的に落ちたとしても、すぐに立ち直ることができるのです。

 そのためにも他人にモチベーションの向上を依存するのではなく、自分自身の力で回復させることが重要です。

 では「自燃力」はどのようにつけていくのか? それは“ミッションやビジョンを明確に持っていること”が大前提になります。

 板前の見習いが過酷な環境の中、頑張れるのは、「将来は一人前の板前になる」、だとか「自分の店を持つ」などの夢があるからです。

 先輩から厳しい叱咤を受けてもそれを前向きに捉えることができるのは、「自燃力」です。

 “褒められて伸びるタイプです”というのは、メンバーまでの捉え方です。
 自分のモチベーションの上げ方を知り、他人に依存しないで自分自身で回復させる「自燃力」をぜひつけてください。

■仕事を楽しむ力~脅威と機会は表裏一体

 これからは、より「仕事を楽しむ」能力も必要になってきます。

 競争は、ビジネスの世界では切り離せません。

社内でも昇進昇格などの競争があり、社外ではライバル社との競争など、ビジネスの根本が競争なのです。

 出来るだけ競争を避けようと考えるのは戦略の概念ですが、一方で競争を楽しむ感覚を持つこともこれからのリーダーに求められる資質です。

 なぜなら競争は成長の源であり、競争に勝ち残るために私たちは学び続け、トレーニングを続けるからです。

 私の研修でも同じゲームを使って研修をしますが、競争を楽しむか、苦痛に感じるかで、その習得するものが大きく異なります。

 そもそも、参加者のスタート時点の能力値はほとんど変わらないのにです。

 つまり、物事を「機会」と捉えるか、「脅威」と捉えるかはその方の考え次第であり、表裏一体なのです。

 競争の場を「失敗を生み出す場」と感じるか、「成功を生み出す場」と感じるかによって得られるものは異なります。

 競争を楽しみながら学べるリーダーを目指しましょう。

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