祭りの季節がやってきた。
子どもに人気の「わたあめ」は、西日本では「わたがし」といわれることが多い。ざらめを機械で糸状にし、割りばしなどの棒に巻きつけたもので、現在ではSNS映えするカラフルなものも登場。この昔ながらのお菓子は、アメリカの菓子製造業者が19世紀末に考案したとされるが、日本ではこれより前にわたあめの存在が確認されている。
『中洲雀』(1777)という洒落本には、立売でわたあめが売られている様子が記載されている。これが現在のものと同じかどうかは定かではないが、当時はすでに飴細工職人が活躍していたことから、技術的には不可能ではないだろう。
◆かき氷は?夏といえば、ほてった体を冷やしてくれる「かき氷」も忘れてはならない。あずきや宇治金時といった伝統の味わいだけでなく、イチゴやレモンなどのフルーツフレーバーはカラフルで、祭りの夜に華を添える存在でもある。
このフレーバーのなかで、原材料が想像できないものがある。それは「ブルーハワイ」だ。
このブルーハワイは、ブルーキュラソーを使ったカクテル「ブルーハワイ」に由来しているという説がある。ブルーキュラソーとは、オレンジを使ったリキュールで、これをラムやパイナップル、レモンジュースと合わせるのが一般的だ。
シロップの場合はどうだろうか。果汁を使ったものはほとんど見られず、香料などで味を決めているようだ。「ピーチの香り」をうたうメーカーもあれば、「ソーダ水用のシロップ」として販売するメーカーもある。味や風味の表現は製造業者によって異なり、明確な定義がないのかもしれない。
子どものころから当たり前のように食べていると、何の疑問も抱かないかもしれないが、その歴史について調べると意外なことがわかる。新たに登場した屋台だと思っていても、じつはほかの地域の定番ということも。現在はスマートフォンもあり、気になったことをその場で調べることが可能だ。身近なものほど調べてみると、新たな事実を知ることができるかもしれない。