1980年代にデジタルコミュニケーションの新しい表現として誕生した顔文字。(※欧米と日本での顔文字の誕生については第3回をチェック!)。
欧米式の横顔文字 :-( :-) ;-P に日本式の縦顔文字 (^_^) (-_-;) (*‘ω‘ *)、そして近年人気を博した特殊顔文字 ლ(◕‿◕。)ლ ٩(๑`ȏ´๑)۶//  ( ͡° ͜ʖ ͡°) など、わずか30年で顔文字文化は著しい発展を遂げてきました。今回はそのバリエーションを詳しく見ていきましょう。〈連載「絵文字進化論」第4回・前編〉。■欧米式顔文字の数は1500個前後?

 まず、欧米式の顔文字から。一体どれくらい種類があるのでしょうか。

 

 正確な数字を出すのは簡単ではありませんが、1997年に出版された“Smileys”という顔文字辞典のような本のカバーには、650個以上の顔文字が収録されている、とあります。

*<|:-) ←この顔文字の意味は?ヒントはクリスマス。の画像はこちら >>
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David Sanderson “Smileys” (1997) のカバー

 また1994年から2008年にかけて James Marshallという人物があらゆる顔文字を集めて、ウェブ上でまとめています(☞ http://marshall.freeshell.org/smileys.html)。このJames Marshallの顔文字リストにはトータルで2231個の顔文字が収録されています。しかしその中には日本式の顔文字やその影響を受けた顔文字が混ざっていて、純粋な欧米式顔文字の数は1500個前後といったところでしょう。 

 次にJames Marshallのリストを参考にしながら具体的な顔文字のバリエーションを見てみましょう。まず定番の、感情を表す顔文字から。

:-)    笑顔
:-(    悲しみ
:,-(  :' (  泣き
;-)      ウィンク
:-0        驚き
:-D     口を開けて笑っている
;-P     舌を出してウィンク
8-)        眼鏡をかけてスマイル

 これはわかりやすいでしょう。実際の表情をあらわしていますね。

■*

 では次はどうでしょうか。両方とも今の時期「クリスマス」に関係するものです。 

1. O:-)

2. *

 それぞれ何をあらわしているかわかりますか?

 

回答:

1. エンジェル

2. サンタクロース

 です。ところでエンジェルがクリスマスと関係あるの? と疑問を持った方もいるかもしれません。しかしクリスマスは元々イエスキリストの誕生を祝う宗教的な祭りで、欧米ではエンジェルが普通に登場するんですよ。

 さらに難易度を上げて、こんな顔文字はどうでしょうか。

1. @>-->--
2. (O)-3. 8^

回答:

1. バラ ここまで来ると、かなり想像力が要りますね。@はバラのつぼみで、> の部分は、刺にしては大きすぎるので、葉ですね。

2. 宇宙飛行士 これもちょっと複雑そうですが、(O)の部分は宇宙服のヘルメット、

3. 鶏 頭を左に90度に傾けてよーく見てみてください。8は目、^ はくちばしに見えていませんか? 個人的にはこの顔文字に感心しました。

まさに顔文字のミニマリズムといえるでしょう。

 さらに見ると、日本の顔文字の影響を思わせる例もいくつかありました。

1.    ^L^   ハッピーフェース
2.    ^)^  ^(^   二人の人が話している様子。

 括弧は鼻を表していますが、やっぱり鼻が大きいのは西欧的ですね。

 こうして見ると、欧米式の顔文字も種類が多いように見えますが、実際に現在まで使われ続けているのは :-)  :-( ;-P 、数個のベーシックな顔文字くらい。そこから新しいバリエーションはあまり生まれていないのが現状です。結局、欧米式の顔文字の場合は横向きのため表現に限りがあるのです。カラフルで入力も簡単な絵文字に感心が移ったことも一つの理由でしょう。

後編では、日本の顔文字のバリエーションを見ていきます。
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