米連邦準備制度理事会(FRB)が、ブロックチェーン技術を金融システムの核心インフラとして組み入れる構想を正式に発表した。ステーブルコインや実物資産のトークン化(RWA)、トークン証券(STO)を中心に金融産業の構造転換を主導する方針で、ウォール街の主要金融機関もFRBの動きに歩調を合わせ、「オンチェーン金融」の競争に相次いで参入している。
◇「あらゆる金融資産がブロックチェーンで取引される時代が来る」
21日(現地時間)、ワシントンDCで開催されたFRB主催のカンファレンスで、クリストファー・ウォーラーFRB理事は開会の辞で「分散型台帳技術(DLT)と暗号資産が決済・金融システムに急速に浸透している」と述べた。
さらに「FRBもトークン化(Tokenization)やスマートコントラクト(Smart Contract)に関する実務研究を通じて、民間の革新を積極的に支援する」と強調した。
今回の会議は、FRBが公式に「トークン化」を議題として扱った初の事例であり、FRB内部だけでなくウォール街全体で、ブロックチェーン金融を既存決済網に統合する議論が本格化した点で大きな意義がある。
◇ブラックロック・JPモルガン・フランクリン・テンプルトンなど、「RWAエコシステム構築を加速」
カンファレンスには、ブラックロック、JPモルガン、フランクリン・テンプルトン、DRWトレーディングなど、グローバル資産運用会社や投資銀行が多数参加し、ブロックチェーン金融の青写真を提示した。
フランクリン・テンプルトンのジェニー・ジョンソンCEOは「2020年にリリースしたオンチェーン・マネーマーケットファンド(MMF)を通じ、投資家は保有時間に応じて秒単位で収益を計算・分配できる」と説明。
ブラックロックのロブ・ゴールドスタイン最高執行責任者(COO)は「デジタル流動性ファンド(BUIDL)は運用資産が29億ドルに達し、トークン化証券の中核インフラとして定着している」と述べた。
DRWのドン・ウィルソンCEOは「預託決済機関(DTCC)が国債をブロックチェーン上で管理・取引し、仲介リスクを排除。USDCは現金ブリッジとして機能している」と明かした。
JPモルガンは機関投資家向けドル預金トークン(JPMD)をイーサリアムレイヤー2「Base」ネットワークで試験発行し、トークン化担保ネットワーク(TCN)サービスを運営している。
◇「RWA金融」規制の明確化が普及の鍵
専門家らは、トークン化金融が本格的に普及するには規制の明確性(Regulatory Clarity)が不可欠だと指摘する。
ウィルソンCEOは「FRBが証券取引委員会(SEC)などと連携し、政府横断のタスクフォース(TF)を構成してトークン化担保の基準と法的解釈を明確化すべきだ」と提案した。
現在、米国内ではトークン証券(STO)や実物資産トークン化(RWA)が既存の資本市場法体系のどこに位置するかについて活発な議論が行われており、FRB、SEC、財務省間の調整結果次第で、グローバルなトークン化市場の勢力図は大きく変わる可能性がある。
◇今後5年で「オンチェーン金融の大転換期」へ
業界では、今後5年以内に世界の金融商品の多くがブロックチェーン基盤のオンチェーン決済方式へ移行すると見ている。
分散型技術を吸収することで、取引効率性・透明性・安全性が同時に向上するとの期待が高まっている一方、技術の進展に比べ法整備が遅れている点は課題だ。金融当局の理解と協力がなければ、トークン化市場は依然として「絵に描いた餅」にとどまる可能性があるとの指摘もある。

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