ビットコイン採掘活動が減少したのに、価格には追い風?その理由とは

ビットコインの採掘活動が最近鈍化する中、これが中長期的には価格にポジティブなシグナルとなり得るとの分析が示された。

資産運用会社ヴァンエック(VanEck)の報告書によると、採掘活動が減少した局面の後、ビットコインがむしろプラスの収益率を記録したケースは、過去において比較的多かったという。


ヴァンエックは「Mid-December 2025 ChainCheck」報告書を通じ、ビットコインは歴史的に、採掘活動が低下した後の局面で価格が上昇する可能性が高かったと指摘した。

報告書によれば、2014年以降のデータを分析した結果、ネットワークのハッシュレートが減少する期間では、その後90日間のビットコイン収益率がプラスとなった割合が65%に達した。一方、ハッシュレートが増加する期間では、同期間にプラス収益を記録した割合は54%にとどまった。

ヴァンエックはこの点について、「ハッシュレートの低下は、長期保有者の観点から強気のシグナルとして機能し得るという経験的な根拠がある」と説明している。採算性の低いマイナーが市場から撤退する、いわゆる「マイナーの降伏」局面では、価格の底が形成されるケースが多いとの見方だ。

今回の分析は、足元でビットコインのハッシュレートが再び低下傾向にある点でも注目される。ヴァンエックによると、ネットワークのハッシュレートは約1か月で4%減少しており、これは2024年4月以降で最大の下落幅となる。報告書は「ハッシュレートの圧縮が長期化するほど、その後の収益率はより高頻度かつ大きく現れる傾向がある」と付け加えた。

採掘業界の収益性は、最近のビットコイン価格の調整とともに悪化している。ヴァンエックは、中世代機器であるAntminer S19 XPを基準に算出した損益分岐点の電力単価が大幅に低下したと分析した。2024年末には1kWhあたり約0.12ドルだった損益分岐電力コストは、現在では約0.077ドルまで下がっている。これは、より低い電力コストを確保できるマイナーのみが収益性を維持できる状況を意味する。


一方、ビットコイン価格は史上最高値を記録してから約1か月が経過し、約8万1000ドル台まで調整した後も、方向感に欠ける値動きが続いている。

ヴァンエックは、マイナーが圧迫を受ける一方で、長期視点の機関投資家が供給を吸収していると評価した。特に、デジタル資産トレジャリー(DAT)企業が価格調整局面で買いを強めている点を強調している。直近1か月間でDAT企業は約4万2000BTCを追加購入し、総保有量は約109万BTCに増加した。

ヴァンエックは今後、DAT企業が普通株発行に代えて優先株発行などを通じて資金調達を行い、その資金をビットコイン購入に充てる戦略へ移行する可能性が高いとの見通しを示した。
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