そんな中、製パン最大手・山崎製パンのトラックドライバーの「神対応」がインターネット上を中心に話題となり、その後各メディアでも大きく報じられた。
2月16日、中央自動車道が積雪のために通行規制され、道路上で動けなくなったドライバーたちに対して、居合わせた同社の製品を運ぶドライバーがパンを無償で提供。配給を受けたドライバーの一人が、その様子を写真付きでTwitterに投稿したところ、瞬く間にネット上で広まり、24時間で約1万9000回リツイートされるなど話題になった。
無償配布をしたドライバーも、またその許可を下した本社も、その行為は称えられてしかるべきであることに異論はない。
●添加物の多さを指摘され続けている山崎製パンしかし、配られたパンに目を向けると、添加物をたっぷり使用しているとして、多方面から安全性に数多くの疑問を投げかけられている山崎製パンの製品である。
もちろん、法律で使用を禁止されている薬物が入っているわけでもなければ、残留農薬等が基準値を超えているわけでもない。すべては厚生労働省の定める“安全”の範囲内に収まっている。
とはいえ、同社製品に対する疑念の目はどうしても拭い去られない。

2009年9月30日付ニュースウェブサイト『My News Japan』記事「山崎製パン ためらわずに添加物をガンガン使う会社」では、「無添加でいいものはつくれない」との飯島延浩社長のコメントを紹介するなど、同社の企業姿勢を批判している。
また、『ヤマザキパンはなぜカビないか』(渡辺雄二/緑風出版)においては、具体的に同社製品において使用されている添加物を挙げて、危険性を訴えている。
例えば、パン生地改良剤として使用されている臭素酸カリウムは、世界中で使用が禁止されているが、日本では残留が確認されないことを条件に使用が認められている。ところが、実際に使用しているのは山崎製パンだけであるという(同書より)。
また同書によると、臭素酸カリウムは、加熱することで分解され、製品中からは検出されないという。
さらに、年間約4億個も製造・販売されているという同社の人気シリーズ「ランチパック」についても言及している。同製品はサンドイッチ状の惣菜パンで、ツナマヨネーズなど、冷蔵保存が常とされるような商品でも常温で販売され、しかも賞味期限が長いことで、合成保存料がたくさん使われている証左として挙げている。
特に、菓子パンには添加物が多いことがわかる。製品の原材料を確認すると、ソルビン酸K、リン酸塩、pH調整剤、メタリン酸Na、合成保存料などが表記されている。
東日本大震災の際にも、積極的に被災地支援を打ち出すなど、同社は評価される点も多い。今回のパン配給の一件も世間から高く評価され、株価は上昇中だ。業界でもリーダーカンパニーとしての地位を確立しているだけに、食の安全においても高い評価を受ける商品を世に送り出してほしいと願う。
(文=マサミヤ)