この連載企画『だから直接聞いてみた for ビジネス』では、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問(?)を、当事者である企業さんに直撃取材して解決します。今回は放送作家の鮫肌文殊氏が、密かにブームとなりつつある「ぽっちゃり」女性にまつわる疑問について迫ります。


【今回ご回答いただいた企業】
 ぶんか社「ラ・ファーファ」編集部 様

 デブ専の友人がいる。

 かなり本格的で「女性は3ケタないとダメ」と豪語するタイプ。もちろん3ケタとは体重(kg)のことである。とにかく、ふくよかな女性に抱かれて眠りたいらしいのだ。

 5年ほど前に婚活連続殺人事件が世間を賑わせたが、あの時も容疑者の女性を見て「うわっ! むっちゃタイプや」と思ったらしい。世の中にはいろんな人がいるものである。

 筆者の友人ほど極端ではなくとも、世の中に「ぽっちゃり」好きという男性は、結構いる感じがする。街中で、イケメンの男性とお笑い芸人の渡辺直美みたいな女性のカップルが仲良く歩いているのを見かけたりしませんか? だから、世の「ぽっちゃり」女性はもっと自信を持っていいと思う。男性がみんなアイドルグループのE-girlsのような超モデル体型の女性が好きかといえば、それは絶対に違う。

 実は今、そんな「ぽっちゃり」女性を応援する専門誌が発刊され、売れているらしい。「ラ・ファーファ」(ぶんか社)という雑誌なのだが、中を見てみると、なかなかインパクトがある。

 これまで女性誌が対象としていなかったLサイズ以上のぽっちゃり女性が、読者モデルとして押すな押すなの土俵入り……もとい、揃い踏み。

『ぽちゃデレラの夢をかなえる』
『モテぽちゃ子になる』
『花咲け! ぽちゃ子、噂の七変化』

など、見出しも刺激的。

 最新号に至っては、『ぽちゃ子が一番、輝く夏!』である。普通、「ぽっちゃり」って、夏が一番うっとうしがられるのではないかと思うが、特集も『“力士みたい”なんて言わせない! 2014涼やか可愛い浴衣あります!』だ。

 付録もすごい。一般の女性誌のように、ブランドとコラボしたバッグなど、もう時代遅れといわんばかり。なんと「日本初! またずれ防止&軽減 魔法のグッズ! モモズレンヌ」である。まさに至れり尽くせり。毎号、渡辺直美が象徴的に表紙を飾っているのもダテじゃない。

 これ、テレビのバラエティ番組と同じだ。ヒット企画の鉱脈を見つけたら、一気にその路線で畳みかけるように極める。そうすることで、さらなるメガヒットへとつながっていくワケだ。今の「ラ・ファーファ」編集部、いい意味で調子に乗っていて勢いを感じます。

 だから直接、ぶんか社「ラ・ファーファ」編集部に聞いてみた。

「『ラ・ファーファ』にとって“ぽっちゃり”と“デブ”の明確なラインは、どこにありますか?」

担当者 編集部としては、体型に関する具体的な数値などではなく、自分の中で今の体型を受け入れて、前向きにファッションを楽しんでいる子を「ぽっちゃり」と呼んでいます。それに対して、「どうせ私なんか」という感じに自己否定的、消極的、後ろ向きな思考をする人を「おデブ」と線引きしています。

--見た目が明らかな「デブ」でも、前向きな性格だったら「ぽっちゃり」と呼ぶのでしょうか?

担当者 それを編集部におけるラインとさせていただいております。

--毎号、表紙に登場している渡辺直美さんも、そういう判断の基に起用されているのですね。

担当者 そうですね。自分なりのファッションを楽しんでいらっしゃる方なので、コンセプトに合っていると考えています。

--なるほど。具体的な3サイズとかではないのですね。

担当者 身長にもよりますし、下半身や上半身、腕周りだけ肉がついているなど、人の体型は一括りにできませんので、数値では定義づけしづらいのです。

 なんという明確な基準だろうか。とにかく「ラ・ファーファ」は、「ぽちゃテブ」(「ラ・ファーファ」用語でポジティブの意)な女性のことを応援しているのです。

本当に頑張ってほしいです、この雑誌には。

 ここまで読んで、賢明な読者はすでにお気づきであろう。そう、筆者も女性は「ぽっちゃり」が断然タイプなのである。細いキャバクラ嬢みたいな女性より柳原可奈子のような可愛いデブのほうが好きなのだ。

 もう一度言う。世の中には「ぽっちゃり」好きの男性は意外に多い。

 世の「ぽっちゃり」女性は、胸張って生きていきましょう。

【近況】
ここのところ、特番が重なってバタバタしてますが、オンエア日が決まらなくて告知できません。最近、直前まで裏のライバル局の動向を見ながら決定ということが多くて困るなあ。
毎月第2金曜夜21時より、渋谷オルガンバーでストレンジなレコードコンサート「輝け!日本のレコード大将」もやっています。来てね。

●鮫肌文殊(さめはだ もんぢゅ)
1965年、神戸にて誕生。

放送作家。『世界の果てまでイッテQ!』(日テレ系)、『さんまのスーパーからくりTV』(TBS系)などを手がける。

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