またも有名人の不倫が発覚した。解散したアイドルグループ「℃-ute」の元メンバーでタレントの岡井千聖と、競輪選手の三谷竜生である。
三谷といえば、2018年の「KEIRINグランプリ」を制し、JKA最優秀選手賞にも選ばれた競輪界のスーパースターだ。昨年の獲得賞金は2億5000万円(年間賞金額として史上最高)にも上り、16~18年の3年間で4億円以上を手にしている。競輪ファンの筆者も、昨年のグランプリでは儲けさせていただいた。
一方の岡井は、グループ解散後はソロとして活動。元アイドルながらハチャメチャトークが売りで、バラエティ番組で「渋谷で飲んでダーツしてる」「男友達は多い」「年収2000万円以上の男性が理想」などとぶっちゃけていたが、今年4月に芸能活動の休止を発表していた。
三谷には、下積み時代から支えてきた妻と4人の子どもがいる。しかし、「週刊文春デジタル」によると、2017年末に岡井と出会い、18年春頃から交際を始めたという。そして、妻に不倫がバレた三谷は6月中旬に離婚が成立。賞金王の家庭を崩壊させた岡井の行為は“略奪不倫”などと報じられている。
妻が不妊治療中に不倫相手の妊娠が判明三谷の元妻は岡井に対して慰謝料を請求しているというが、妻子持ちの男性と交際して離婚に至らせるという行為は、かなり重い。一方、三谷は糟糠の妻と4人の子どもを捨てたわけで、これも相当な覚悟といえる。
筆者も過去に不倫の末に大きな過ちを犯したことがあるが、もし三谷と同じ立場になっても、家族を捨てることはしないだろう。
まず、筆者は不倫自体を否定してはいない。男は本能的に妻や恋人以外の女性を欲しがる生き物であり、仮に妻との“夜の営み”がなくなったのであれば、別の女性と上手に遊べばいい。身勝手な言い方かもしれないが、不倫から学ぶことも少なくない。しかし、不倫は決して許されるものではない。当然ながら、「やり方を間違ってはいけない」ものであり、「見つかってはいけない」のだ。
結婚して20年になる筆者は、何度か不倫を経験してきた。一度だけの遊びもあったが、多くは3~5年ほど付き合い、やがて自然と消滅していった。食事などをごちそうすることはあっても、お金を介した関係性はなく、相手の気持ちや感情を尊重して関係を続けてきたと思っている。
しかし、妻のことは決して裏切らなかった。肉体的には何度も裏切ったが、精神的には常に妻が一番である。一緒にいて居心地がよく、私にとって最高の女性だからだ。
それでも不倫をしてしまうのは、私の旺盛すぎる性欲と妻の淡白な性欲がかみ合わないからだ。妻は年に数回しか“発情”しない。そのため、絶対にバレないよう、こっそりと別の女性との逢瀬を楽しんできた。
しかし、筆者は不倫相手の女性を妊娠させてしまったことがある。その日は排卵日ではなかったはずなのだが……。子どもを授かった以上、けじめとして彼女と一緒になるべきだったのかもしれない。独身の彼女と新たな生活を始めるべきか、やはり妻のもとに帰るべきか。筆者が悩んだ末に出した答えは「妻」だった。
当時、妻は子どもを欲しがっていたがなかなか授からず、不妊治療をしていた。そんな妻に対して「ほかに子どもができた」と言って捨てることなど、どうしてもできなかったのだ。筆者を心底愛してくれていることも、離れられない理由だった。
一方、不倫相手の女性も以前から子どもを欲しがっており、筆者のことをとても好いてくれていたこともあって、初めての妊娠にとてもうれしそうだった。しかし、当時(今もだが)の筆者には認知する甲斐性などはなく、彼女に土下座して堕胎手術を受けてもらうことにした。彼女も同意してくれたが、いざ手術台に立つと、2人ともあふれる涙をこらえきれなかった。
情けなくなった筆者は自殺まで考えた。そして、ひとりの女性を傷つけてしまったことは一生の悔いとして胸に刻み、「二度と過ちを犯さない」「妻を絶対に(精神的に)裏切らない」と誓った。
その後、彼女とは3年ほど付き合ったが、ある男性からプロポーズされたと聞いて素直に祝福し、これまでのお礼の気持ちを込めたご祝儀を渡して、筆者は身を引いた。
家庭を崩壊させる不倫は最悪男と女の間で何があったかというのは、第三者には決してわからない。また、自分のケースと他者のケースを一概に比べることもできない。しかし、自分のことを棚に上げて言わせてもらうと、今回の不倫騒動は男側の責任が大きいのではないだろうか。
三谷は「下積み時代から自分に尽くしてくれていた妻」と「4人の子ども」を捨ててしまったことになるが、これは筆者も「やってはダメな行為」だと感じる。妻子のショックは計り知れないし、特に4人の子どもを捨てるという選択は世間に受け入れられるものではない。身内を不幸にするぐらいなら、岡井とはせめてお金による愛人関係にとどめておくのがベターだったと思う。
一般的に、仕事ができる=パワフルな男性は性欲も旺盛とされる。競輪界の賞金王ともなれば、そのエネルギーも並外れたものだろう。それだけに、三谷は理性を持って岡井と接するべきだったのではないだろうか。
筆者の経験からいえば、不倫はあくまで“大人の秘め事”であるべきで、家庭を崩壊させるというのは最悪の結果である。今回の騒動では、妻子持ちの男性を離婚させた岡井に非難が集まるのは当然として、不倫の末に家族を捨てるという選択をした三谷もまた、いただけない。
ちなみに、今年の三谷は成績が落ち込んでいる。選手同士の連携がレースを左右する競輪界は、仲間意識の強い世界だ。そう考えると、今の三谷には“仲間意識”が薄れているのかもしれないが、心機一転、今年もKEIRINグランプリに出場することを心から願っている。
(文=稲垣翼/ライター)