プロ野球セントラル・リーグの広島東洋カープは7月24日、野間峻祥選手に暴力をふるったとして緒方孝市監督の処分を発表した。緒方監督へ批判が寄せられると同時に、球団の対応をめぐっても、疑問の声が噴出している。
事の発端は、6月30日に横浜スタジアムで行われた横浜DeNAベイスターズ戦。2対2のまま延長に突入した11回、ワンアウト・ランナーなしの状況で野間がピッチャーフライを打ち上げた。頭上の打球を見送ってからゆっくり走り始めると、ピッチャーのエドウィン・エスコバーがまさかの落球。野間は慌てて全力疾走したが、結局アウトになってしまう。
報道された内容によると、試合後に緒方監督は野間を監督室に呼び出し、怠慢走塁について叱責するとともに、複数回平手で叩いたという。その後、内部報告があったことから球団側が2人に聞き取りを行った結果、事実と判明したため、7月15日付で緒方監督を厳重注意。24日に処分が発表され、緒方監督は同日の試合後に「深く反省しています」「プレーに集中しにくい環境をつくってしまったのは申し訳ない」と、報道陣に語った。
7月25日現在の勝敗表で広島はセ・リーグ3位。リーグ4連覇を目指すなかで緒方監督が起こした不祥事に、ファンからは「時代錯誤もいいところ。何があっても暴力行為は許されない」「勢いに水を差す行為。チームを束ねる立場の監督が選手の士気を下げてはダメ」といった批判が続出。また「選手に手を上げておきながら“厳重注意”だけでは処分が甘すぎると思う」「“鉄拳制裁”があったのは6月30日なのに、半月もたってから処分。
平手打ちを受けた野間にケガはなく、緒方監督の気持ちも理解しているという。しかし、当初は被害届の提出を検討していたとの情報もあり、チームに与えた衝撃は大きいようだ。25日には「日刊ゲンダイDIGITAL」が一連の流れを報じるとともに、「放送局関係者」の話として、緒方監督について「他球団に比べても若い選手が多い広島で、時代遅れのパワハラ采配をしているため、求心力はガタ落ち」と掲載している。
野間は5月以降、打撃成績が下降し続けており、特にこの暴力事件が起きた後の打率は1割を切るほど極度のスランプに陥っている。大きく精神的ダメージを負っている可能性がある。
緒方監督は今期で就任5シーズン目。今回の不祥事が今後、どのような影響を及ぼすのか、ファンは気がかりだろう。
(文=編集部)