引っ越しや買い替えで、家具、家電などが不要になったとき、厄介なのが処分にかかる手数料だ。それほど大きくなければ2週間に一度程度の行政による不燃ごみに出せばよいが、一定以上のサイズのものは、今や全国どの自治体でもリサイクル料金を払って行政の粗大ごみサービスを利用しなければならない。
電話1本で来てくれる民間の業者もあるが、行政の回収サービスよりは当然高額になりがちだ。リサイクルないし適切な処分のためにコストが必要だということは理解できる。それでも、自分にとっては不要な、これから捨てようという物にお金を払うというのは、どうにもバカバカしく感じてしまう人も多いだろう。
そんな悩みを解決してくれるのが、東京・五反田にある株式会社ジモティーの提供する地元掲示板サービス「ジモティー」だ。ジモティーでは、日本全国の各地域、つまり“地元”で、不用品の売買が行える。特に粗大ごみの処分に困った人が「お金がかかるよりは……」と家具や家電を格安で出品していることが多く、大型家具などを手数料なしで処分したい人と、格安で手に入れたい人の、需要と供給が噛み合った便利なサービスだ。
そんなジモティー最大の魅力は、売買だけでなく、「品物の譲渡」も行っているという点。相手が指定する取引場所まで出向く必要はあるが、取りに行きさえすれば商品をタダで譲り受けられるケースも多いのだ。これも、“地元”という特定の地域に特化したサービスであるがゆえだろう。
しかし、相手と実際に会って取引をするジモティーでは、いくつかのトラブルも報告されている。なかには「実際に取引相手に会ったら、変なビジネスに勧誘された」という被害も。そこで今回は、うまく使いこなせればどんなサイトよりもオトクに買い物ができるジモティーの、安全かつ賢い“利用の心得”を紹介する。
フリマアプリなど、個人間での商品のやり取りを行う際には、相手がどんな人物なのかを知るため、プロフィールや過去の取引の評価を見るのが鉄則だ。なかでも、対面での商品のやり取りが推奨されているジモティーでは、他のサイト以上に慎重にチェックすることをオススメする。
特に気をつけて見ておくべきポイントは2つ。自分が取引を希望する相手が、過去の取引でどんな評価をつけられているか。「良い」「普通」「悪い」の3段階評価のうち、もっとも低い「悪い」の評価が数個でもついている相手は要注意。連絡が遅かったり、取引の待ち合わせにも平気で遅刻してきたりするという人が多いようだ。安心して、気持ちの良い取引がしたいのなら、「良い」の評価が多く、コメントでも好評価を獲得している相手を探すのがいいだろう。
また、評価がひとつもついていない新規ユーザーや、なぜ「悪い」の評価になっているかがわからないユーザーに関しては、取引中の「チャット」で信頼に足る人物かどうかを見極めよう。「悪い」の評価がついていても、自分がやり取りをしている間に「この人は信用できる」と思えば、取引をしてみるのもいいかもしれない。
直接会うからこそのメリットも豊富ジモティーで取引をする相手は、とにかく用心深く選ぶことが重要なのだが、これには己の身を守るという意味合い以外に、もうひとつの理由がある。それは、優良な取引相手だと、「おまけ」をしてくれる場合が多いからだ。
自分が使わなくなったアイテムを、相手がわざわざ引き取りに来てくれる。
これが郵送でのやり取りなら、顔も知らない相手から急に食べ物を送られても口にする勇気はない人が大半だと思われるが、手渡しであれば危機感も薄まるというもの。さらにはジモティーがきっかけで、頻繁にお裾分けをし合う仲になったという人もいるそうだ。少し意地汚いかもしれないが、思わぬ頂き物が期待できるのは、ジモティーならではといえる。
オススメのデバイスは、スマホよりパソコンかジモティーは、ブラウザでもアプリでも、スマホからでもパソコンからでもさまざまなデバイスからの閲覧が可能だ。スマホやスマホアプリなどのモバイル機器からアクセスができるのは手軽でうれしいが、筆者の感覚としては、スマホからのアクセスは少し見づらいように感じた。
好みにもよるとは思うが、個人的にはパソコンの大きな画面のほうが、商品の一覧が見やすいように感じる。さらに、取引の指定地域の変更、カテゴリーの変更も、パソコンであればワンクリックでOK。スマートフォンからの操作ではそうはいかず、2アクション、3アクションは必要となってしまう。
もうひとつ、パソコンからの閲覧がオススメな理由は、PR広告の出方だ。
ジモティーは、ユーザー同士の取り引きに際して手数料を取られることがなく、そういう点ではユーザーに優しいサービスではあるのだが、その分運営側が儲かりにくいシステムであるため、こうした広告の多さは仕方のないことなのだろう。ゆえにそこは諦めつつ、少しでもストレスが軽減できる、自分に合った閲覧方法を探してみてほしい。
相手の人となりの見極めをご近所付き合いが希薄になっている昨今、こうした形で地元の人々と交流ができるというのは、なかなかおもしろいサービスだ。だが残念なことに、“手軽に直接取引相手と会える」というのがメリットである分、なかには悪事を働こうと目論む輩もいる。男女にかかわらず、ジモティーを使う際には、メッセージの文面から相手の人となりをチェックする、実際に会うときも油断はせずに人通りの多いところで会う、女性の場合は必ず誰かについてきてもらって手渡しをするなど、自衛を心がけてほしい。それさえできれば、お値打ち価格の家具・家電を、タダでゲットしまくることも夢ではないだろう。
(文=清談社)