悪化の一途を辿っている日韓関係の情勢が、スポーツ界にまで波及している。「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」の日本代表選手団が、日の丸を外したシャツで韓国入りし、識者を含めて反発の声が上がっている。

 8月30日に韓国で開幕する大会に向けて、日本高校野球連盟(高野連)・竹中雅事務局長は27日、無地シャツでの韓国入りを発表。代表用のシャツには本来、日の丸や「JAPAN」のロゴが入っているが、竹中事務局長は「韓国の国民感情に配慮して、日本を前面に出すのはやめようと思っている」と説明した。

 高野連の対応について、定例会見で所見を求められた菅義偉官房長官は「高野連の方針や個別の対応について、政府としてコメントは控えたい」と回答。その上で「日韓関係は現在非常に厳しい状況にありますが、政府としては両国関係が困難な状況にあっても両国関係の将来のために、相互理解の基盤となる民間交流やスポーツ交流などはこれからもしっかり続けていく」と語っている。

 一方、識者からは続々と高野連の対応に苦言が寄せられている。

 登山家の野口健氏はツイッターで「『日の丸を隠さないと日本代表選手を守れない』というのならばそんな危険なところに行くべきではない。日本代表が日の丸を隠してまで。日韓関係に配慮って意味わからん」と批判。続く投稿でも「日本を代表し戦う日本選手にコソコソさせるのは極めて失礼。大人達、情けない!」と怒りをあらわにした。

 また、医師の高須克弥氏は、「日の丸の国旗は日本人の誇りです。危害を加えられたら恥をかくのは開催国である韓国です。

堂々としてください高野連」とツイート。

 ネット上でも「代表選手を襲撃するような国なら今後は派遣拒否でいい。選手の安全を守る義務は主催国側にある」「才能溢れた高校日本代表の選手達にこんな卑屈な思いをさせていいのか」「選手を守るための配慮なら仕方ないけど、韓国の国民感情に配慮する必要があるのか」といった声が相次いだ。

 韓国は“政治とスポーツの混同”でたびたび批判を浴びている。たとえば2012年のロンドン五輪・サッカー3位決定戦では、試合後に朴鍾佑選手が「独島は我が領土」と書かれた紙を掲揚。翌年には「EAFF E-1サッカー選手権」の日本対韓国戦で、韓国人サポーターが「歴史を忘れた民族に未来はない」という内容の横断幕を掲げて問題となった。

 また16年には、韓国U-23代表のエースであるファン・ヒチャンが「韓日戦は絶対負けられない。勝つだけだ。最近は慰安婦のおばあさんの話もたくさん出てくるし、歴史的な部分もある。最後の試合は無条件で勝たなければならない」と発言し、韓国が日韓戦に異常なまでに闘志を燃やす背景に、歴史問題など政治的要素があることをうかがわせた。

 試合の行方も大事だが、まずは日本代表団が何事もなく帰国できることを祈りたい。

(文=編集部)

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