家具量販チェーンの「IKEA」を運営する、イケア・ジャパンの業績が伸び悩んでいる。2018年8月期の決算では、売上高こそ840億9100万円で前年同期比13.5%増を記録したが、一方では9億6200万円もの営業損失を計上してしまっているのだ。

 そもそもIKEAはスウェーデン発祥の店舗で、北欧らしさを感じさせる、洗練されたデザインの商品に定評がある。価格も安いし、千葉の船橋に日本1号店を出店してから順調にファンをつかんできたかのように思えたが、どうやらEC事業への出遅れなどが響いているようだ。

 もっとも、インターネット上の商品レビューに目を向ければ、商品自体のクオリティに疑問を呈している人も少なくない。デザイン性を重んじるばかりに機能性が置き去りにされてしまっては本末転倒だが、その実状はどうなっているのだろうか。

 そこで今回「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」では、IKEAの商品を実際にいくつか購入してみて、「この秋、買ってはいけない日用品5選」を独断でセレクトした。せっかくの買い物で後悔してしまわないよう、IKEAに出かける前にはぜひご一読いただきたい。

STABIL(油はね防止用ふた)/299円(税込、以下同)

 食欲の秋が到来し、夏に比べると料理へのモチベーションが上昇する人も多いのではないだろうか。IKEAの「STABIL(スタビール)」という油はね防止用ふたは、フライパンを使った炒め物や焼き物を料理する際に重宝するのだが、欠点も見受けられる。

 まず指摘したいのは、直径32cmというサイズ感だ。32cmもあればほとんどのフライパンで使えそうだが、「逆に大きすぎる」「ほかにもサイズを展開してほしい」という希望が多くあがっているのも事実。

 また、収納時にかさばらないようにとの配慮から取っ手がたためるようになっているのだが、この取っ手がステンレス製なため、調理中には熱を帯びる。それにより鍋つかみを使うことが必須となるので、ストレスが溜まりかねない。

HEAT(鍋敷き)/299円

 涼しくなるに連れ、あたたかい食べ物が少しずつ恋しくなってくることだろう。IKEAの「HEAT(ヒート)」というコルクの鍋敷きは3ピース299円で売られており、コストパフォーマンスは優秀に思えるのだが、“安かろう悪かろう”の疑いがある。

 軽さの割に厚くてしっかりした鍋敷きではあるものの、熱い鍋を置くとくっついたり、コルクがボロボロになったり、“値段相応”といったところ。鍋敷きとしてではなく、花瓶や植木鉢の敷物として使ったほうが賢明かもしれない。

BRUSANDE(プレート)/899円

 続いては、「BRUSANDE(ブルサンデ)」という食器シリーズ。茶碗(399円)や丸い小皿(299円)と並び、白地で長方形のプレートがあるのだが、もしこのプレートを買おうとしていたなら考え直してほしい。

「電子レンジ対応」と謳われているが、その言葉を信じて電子レンジで食品を温めた購入者からは、なんとプレートが「真っ二つに割れてしまった」という声が上がっている。これだけでも致命的だが、テーブルに置いたときの安定性もイマイチなので、実用性はあまり期待できないといっていいだろう。プレートの下4分の1に青い模様があり、和食にも洋食にも対応できる洗練されたデザインなだけに、非常に惜しい商品だ。

KOPPLA(電源タップ)/999円

 秋の夜長に限ったことではないが、スマートフォンを充電したり、本を読むためにライトを置いたりと、枕元では電気製品の出番が多いだろう。IKEAの「KOPPLA」は、6個口の電源タップが2つセットで999円というお手頃な商品なので、配線をスッキリまとめるのに役立ちそうだ。

 しかし差込口の間隔が狭いので、コンセントの大きさ次第では飛び飛びに差し込まなければならず、6個口をフルで使用できるかどうかは怪しい。

電源のオン・オフを切り替えられるスイッチもついているが、ひとつのスイッチで全体をまとめて管理することしかできないため、それぞれに個別のスイッチが欲しいという人には不向きである。

GESTALTA(デッサン人形)/649円

 最後に挙げる“買ってはいけない”商品は、「GESTALTA(イェスタルタ)」というデッサン人形。芸術の秋ということで何かイラストを描きたくなったり、学生であれば美術の課題が出たりすることもあるかもしれないが、このデッサン人形を参考材料にするのは厳しいだろう。

 なぜなら、関節の数が少ないうえに可動域が狭いため、取れるポージングには限界があるからだ。とはいえ、木製であたたかみを感じさせる人形なので、部屋にインテリアとして飾ったり、子どものおもちゃにしたりする分にはお買い得かもしれない。

 以上、IKEAの「この秋、買ってはいけない日用品5選」を紹介してきた。いくら安くてデザインがよくても、用途が限られているようでは損した気分になってしまうだろう。それに、IKEAの売り場面積は巨大で、店内をただ一周するだけでも結構な時間がかかる。その分、ハズレ商品を引いてしまったときの落胆は大きいだろうし、この記事を参考にしながら、買うべき・買ってはいけない商品を見定めてほしい。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)

※表示価格はすべて2019年10月の消費税増税後の価格です

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