女子プロゴルファーの笠りつ子選手が10月31日、今後のツアー出場自粛を発表した。ツアー関係者に“暴言”を吐いたという報道を認めた上での報告に、ファンは動揺を隠せない様子だ。
今回の暴言問題は「日本プロゴルフ殿堂」メンバーの岡本綾子氏が、デイリースポーツのコラム「綾子の視線」で明かして表面化した。舞台となったのは10月24~27日に開催された「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」で、同大会からコース内の風呂場にタオルが置かれなくなったことがきっかけだった。以前はタオルを置いていたが、たびたび持ち去られることから、配備することをやめたという。岡本氏によると“ある選手”が「なんで置いていないのか」とスタッフに食ってかかり、理由を説明しても難癖をつけ始めて押し問答を展開。対応にあたったコースの副支配人に、「頭が固い。死ね」と捨て台詞を吐いたという。
笠選手は31日に発表した報告文で、「私の不適切な発言により、大会主催者、コース関係者の皆様が不快な思いをされた事は事実です」と認めて謝罪。LPGA(日本女子プロゴルフ協会)のコンプライアンス委員会が調査中であるため、処分が決定するまで公での謝罪・報告は差し控えるとした。また、今後のツアー出場自粛を表明し、「プロゴルファーとして、人として、自分を見つめ直し、真摯にゴルフに取り組み、感謝の気持ちを忘れずに、プロゴルファーを目指す子供たちのお手本となれるよう努力していきます」と綴っている。
笠選手は、ツアー通算5勝を誇る31歳。端正な顔立ちや丁寧なファン対応から私設応援団が生まれるなど、熱烈なファンも多い。そんな笠選手の暴言問題を受け、ネット上では
「女子ゴルフが盛り上がっている時に、ベテランが足を引っ張ってどうする」
「自粛して当然。
「直接関係者とファンに謝罪すべき。死ねと言われた人の痛みを感じなければならないと思う」
などと厳しい意見が続出。一方で
「プロとしての立ち振る舞いやファンサービスが素晴らしい人だから信じられない」
「プロだって人間だし、スマイルばかりではやってられないんじゃないかな。早く復帰して良いプレーを見せてほしい」
と、笠選手を擁護する声も見られた。
日本のゴルフ界といえば、近年は男子ゴルフの人気低迷が顕著化。2018年1月に石川遼選手が史上最年少で選手会長に就任するなど、低迷打破に向けて改革が進められている。対照的に女子ゴルフは活気を帯びており、今年8月には渋野日向子選手が「AIG全英女子オープン」で優勝を飾ったばかり。日本人選手として42年ぶりの海外メジャー優勝で、帰国した際には空港に約300人ものファンが押し寄せている。
今回、笠選手の暴言で注目を浴びるかたちになったマスターズGCレディースも、美人ゴルファーとして注目を浴びている柏原明日架選手が優勝するなど、女子ゴルフ界には追い風が吹いている。少数の選手だけに関心が集まるのではなく、今は多くの人気選手も出てきている。
そんな女子ゴルフの人気が高まるなかで起きた、笠選手の暴言問題。人気が高い選手だっただけに、ファン離れを懸念する声も出始めている。
(文=編集部)