安倍晋三首相の主催による「桜を見る会」に関するニュースが連日、報じられてきた。今年の同会前日、地元有権者らを招いた夕食会が開かれたが、開催場所となったホテルニューオータニのグレードや宿泊費などを鑑みると「会費5000円」で到底賄える額ではなく、安倍首相の事務所や後援会がその差額を負担したのでは、という疑惑が浮上しているためだ。
公職選挙法違反や政治資金規正法違反に該当する可能性を追及され、安倍首相は18日の会見で疑惑を否定。「桜を見る会の前日の夕食パーティーについて、事務所も後援会にも一切入金はありません」としたものの、「(事務所は)領収書を発行していないし受け取りもない」と開き直り、同会の経費が書かれた明細書もないという。この杜撰な説明で、騒動が収束するわけがないだろう。
さて、この「桜を見る会」問題で国会が揺れる中、女優の沢尻エリカが合成麻薬MDMAを所持していたとして麻薬取締法違反の疑いで逮捕されたことを受け、タレントのラサール石井がTwitterでこうつぶやき、拡散された。
<まただよ。政府が問題を起こし、マスコミがネタにし始めると芸能人が逮捕される。これもう冗談じゃなく、次期逮捕予定者リストがあって、誰かがゴーサイン出してるでしょ>
つまり、自民党に不利益なことが事件が起きると、世間の関心を逸らすために有名人を逮捕する“工作”が行われている……という指摘だ。Twitterではそれに同調する声も多かった。
たとえば2016年1月、甘利明元経済再生担当相が千葉県の建設業者から口利きの見返りとして現金を受け取るも、政治資金収支報告書に記載していなかった疑惑が浮上した際、元プロ野球選手の清原和博が覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕された。また今年2月、自民党の悲願である米軍普天間飛行場の辺野古移設を問う県民投票が開かれ反対が約7割に達したが、3月にピエール瀧が麻薬取締法違反で逮捕された。こうしたことから、自民党に悪い風が吹くと著名人が逮捕されるという“陰謀論”を唱える声がある。
現在の安倍一強長期政権において、マスコミや官僚の忖度が目に余ることは確かだ。
なによりラサール石井のツイートは沢尻が逮捕されたニュースと同じように“芸能ニュース”として消費されており、ラサール石井自身が桜を見る会問題の論点をズラすことに貢献してしまっているのではないか。これは皮肉な話だ。ラサール石井や追随する人々へのバッシングと嘲笑も激しい。
一方で前述したようにマスコミから政権への忖度があることは見逃せない。テレビや新聞をはじめとしたマスメディアは、沢尻エリカ容疑者について報じる以上に、「桜を見る会」の疑惑追及を止めてはいけないはずだ。
(文=WEZZY編集部)