スーツ業界では、主に「SS」(spring/summer)と呼ばれる春夏物と、「AW」(autumn/winter)と呼ばれる秋冬物、そしてオールシーズンタイプの3つのラインナップが基本となっている。

 コストパフォーマンスを考えると「オールシーズンのスーツだけ持っていればいいのでは?」と思いがちだが、デメリットもある。

オールシーズンタイプは冬用スーツよりも寒く夏用スーツよりも暑いという、いわば中途半端な性能ともいえるわけだ。

 また、近年のスーツは耐久性に優れているとはいえ、オールシーズンタイプを1年中着用していればヨレてくることは必至だ。つまり、春夏、秋冬とシーズンごとにスーツを替え、清潔感とトレンドを漂わせるのがデキるビジネスパーソンであり、結果的にコスパも良い。

 そこで今回は、秋から冬にかけて過ごしやすく快適なスーツを「ツープライスショップ」と呼ばれるチェーン店から3つ選んでみた。ツープライススーツショップとは、基本的に1万9000円と2万8000円の2つの価格帯でスーツを選べる販売店のこと。近年、その価格帯は多様になってきているが、便宜的に「ツープライス」と呼ばれ続けている。どちらかといえば、若者向けのタイトでスタイリッシュなラインナップが特徴だが、昨今はタイトめなシルエットが流行しているため、あらゆる年代にフィットするスーツが揃っている。

 今回紹介するのは、AOKIがスタートさせた「ORIHICA(オリヒカ)」。2000年に「スーツダイレクト」として始まり、04年にオリヒカに刷新されたブランドだ。オリヒカでは、「Mulberry(マルベリー)」や「MACKINTOSH(マッキントッシュ)」でクリエイティブディレクターを務めたサリーム・ダロンヴィル氏を迎えることで、国内外の異業種デザイナーとコラボレーション商品を展開するなど、トレンドを追ったラインナップが特徴だ。そんなオリヒカでオススメのスーツ3つを紹介する(価格はウェブ税別価格、以下同)。

パンツが洗える 防シワ ストレッチ 黒 シャドーストライプ スーツ 10month 1万8000円

 まずは、オリヒカにおける最低価格1万8000円のスーツをご紹介する。

低価格ながら腕まわりが動きやすい前肩縫製になっていて、横伸度10~12%と高い伸縮性を保ち、ドレス感がありながら快適な着用感を実現している。

 さらに、家庭の洗濯機やシャワーで水洗いが可能なウォッシャブルパンツ仕様になっているため、汗がこもりやすい秋冬でもありがたい。また、ポリエステル100%素材のため、高い防シワ性を発揮し、洗った後や長時間の出張の際にもシワの心配は無用だ。

 オリヒカでは、夏以外の10カ月着用可能な「10month」スーツも人気。クールビズがメインになる盛夏以外を快適に過ごすことを目的とした程よく厚みのあるスーツは、外回りが多い営業職などに重宝されるだろう。「安かろう悪かろう」ではないスーツを一度お試しあれ。

Limited Slim ベスト表裏着用可 3P ブライトウール 紺 チェック スーツ 10month 3万8000円

「Limited Slim」とは、その名の通り、通常のラインよりも細身のシルエットスーツのことだ。すっきりとしたスタイリッシュなシルエットに合わせたナローラペル(細い襟)のデザインが、スタイリッシュさに拍車をかける。よりスタイリッシュに見せたい人は、ナロータイ(細いネクタイ)とのコーディネートがオススメだ。

 また、生地には光沢加工が施されていて、重い印象になりがちな秋冬スーツに光沢感と高級感を与えてくれる1品だ。その華やかな高級感のため、ビジネスからブライダルまで着回しが可能でコスパも高い。

 3ピーススーツなのでベストもついており、裏表両面で使えるリバーシブル仕様。

TPOに合わせた着回しが可能だ。スタイリッシュなビジネスパーソンにとって、今年の秋冬のマストバイといえる。

インポート生地(REDA ATTO) ストレッチ 段返3B ブルー 織柄無地 スーツ 冬 4万5000円

 こちらは、生地へのこだわりが光るスーツだ。イタリアのビエラ地区を拠点とし、世界の有名アパレルにも生地を提供している老舗生地ブランドREDA(レダ)社の生地を使用している。独特のきれいな発色とツヤ感、やわらかな肌触りを有しており、横伸度10%ほどの伸縮する生地なので、着ぶくれしがちな秋冬でも堅苦しくない着心地を味わえる。

 オーダーメイドでは定番の袖本切羽や本台場、ラペルAMFステッチなどの本格仕立てで、しっかりとした高級感のある1着となっている。ボタンも本水牛ボタンを使用しており、細かいこだわりが光るスーツだ。さらに、こちらはセットアップ以外のジャケットやパンツとの組み合わせ、いわゆる「ジャケパン」使いもオススメ。ビジネスでもカジュアルでも着回せるアイテムで、組み合わせ次第でセンスの良さをアピールできる。生地から仕立てまでこだわり、組み合わせも可能な高コスパスーツを、ぜひ手にとってみてはいかがだろうか。

(文=清談社)

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