8日午後10時(日本時間)からレバノンで行われた日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告の記者会見。ゴーン被告の日本司法への痛烈な批判が展開された一方、日本のマスコミがほぼシャットアウトされたことが注目されている。
当サイトの調べで、会見に参加した朝日新聞の記者でわかっているのは忠鉢信一記者、石原孝記者、高野遼記者の3人。忠鉢記者は社会部、欧州総局、編集委員、スポーツ部次長などを歴任したベテランだ。サッカー業界などに造詣が深いが、地検特捜部などいわゆる社会部専門記者ではない。石原記者はヨハネスブルク支局長で、アフリカ地域の担当。
今回のメディア選別に関して、朝日新聞の社会部記者は次のように話す。
「ゴーン被告は特捜の取材にどっぷり浸かっているような社は排除したということでしょう。テレビ東京も、ポストもいわゆる番記者を配置してゴリゴリ取材をするスタイルではありません。つまり『特捜の味方』のような記者は会見場に入れなかったということです。
警察取材、特捜取材に力を入れて取り組んでいる読売や産経の記者らは怒り心頭だったみたいです。ただ、うちも森友学園問題などでは特捜に食い込んでやっていたので、まったくノータッチというわけではありません。正直、なぜ選ばれたのかよくわかりません」
日本メディアは「フェイクニュース」会見から排除された共同通信は8日、『ゴーン被告、日本記者の大半排除 メディア選別「PRの場」』と題して記事を配信。記事では共同通信を含む多くの日本メディアが招待されず参加できなかったと説明。「記者会見はゴーン被告が雇ったフランスのPR会社が取り仕切った。
結局、会見でも最も注目度が高かった「どうやって逃げたのか」「日産幹部のクーデターはあったのか」「協力者はいたのか」「特捜部による逮捕が日本政府の意向だったとゴーン被告が主張する根拠は何か」といった疑問については、何も語られなかった。記者側からも、「箱(出国を偽装する時に使った)の中で何を考えていましたか」といった、質の低い質問が多くみられた。ゴーン被告側が主張するように、これは記者会見ではなく「懇親会」だったのだろう。
(文=編集部)