新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために、全国のほとんどの学校で卒業式が中止になった。そんな小学生、中学生、高校生に向けて、3月24日、NHKは『みんなの卒業式』を放送した。

 MCは田村淳(ロンドンブーツ1号2号)。田村は3月15日、式を失った卒業生たちに向けてYouTubeで「リモート卒業式」を行っている。それが今回の放送の発想の元になっているようだ。田村とともにMCを務めたのは、赤木野々花アナウンサー。ゲストは、つるの剛士、ゆうたろう、そして自身も高校の卒業式を迎えるはずだった、香音。

 教室風のスタジオで、「パプリカ」を踊りながら歌い上げたのはFoorin。メインボーカルの、もえのは小学校の卒業式を迎えるはずだった。卒業式で今最も歌われる曲の一つが、RADWINPSの「正解」。それを歌うはずだった卒業生たちのそれぞれが歌うたくさんの動画をバックに、RADWINPSは演奏した。いきものがかり、アンジェラ・アキ、本木雅弘、辻井伸行、鈴木福、ゆきぽよ、りゅうちぇる、門脇麦、小澤征爾、フィッシャーズ、レミオロメン、森山直太朗、ゆず、川嶋あい、と各界から卒業生へのメッセージがあった。

  京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長は語った。

「私たち一人ひとりが社会の一員であり、社会が困っている時は貢献すべきだし、貢献できるんだということを学ぶ絶好の機会です。

みなさんが今回の機会によって大きく成長されることを期待しています」

 自身も高校の卒業式を迎えるはずだった、森七菜は語った。

「令和の時代、これから私たちの時代を一緒に作っていけたら、いきましょう、楽しみましょう」

 146年の歴史を持つ、栃木県佐野市の三好小学校は閉校になった。予定していた閉校式は中止。閉校式で行われるはずだった児童の呼びかけをそれぞれに撮影。「楽しい時も悲しい時もいつでもどんなときでも私たちを温かく見守ってくれた三好小学校」「ジャガイモやサツマイモの掘りかたを教えてくれてありがとう」などの声がつなぎ合わされて、予定通りの呼びかけが完成した。

  最後に登場したのは、すでに卒業生向けのライブ配信を行っている、Little Glee Monster。卒業式で「旅立ちの日に」を歌うはずだった八丈島の中学生の声とともに、歌い上げられた。

 同番組の放送を受けて、インターネット上では次のように感動の声が溢れているようだ。

「図書館の司書さん、いつも話しかけてくれてありがとう」

「まるで一時停止ボタンを押されたようで辛いです」

「逆に特別な卒業式になった」

「2020年の卒業生はどこでも誰でも友達になれる気がする」

「感動しました…今回の“旅立ちの日に”はみんなに向けて歌ってる感じがさらに強くて良かった」

「今更だけどすっごく良かった!卒業生じゃないのに泣きそうになった!」

「リトグリが旅立ちの日に歌ってるの素敵すぎるな」

「昨夜のNHK #みんなの卒業式 RADWIMPS 『正解』 リトグリ『旅立ちの日に』 素敵な歌で胸が いっぱいになりました」

「みんなの卒業式感動しましたね」

「NHK特番 #みんなの卒業式 スタッフの方々、出演者の方々、出席された方々、ありがとうございます」                                         

 同番組の感想について、テレビ局関係者が語る。

「民放でこういう番組を企画すると、どうしても豪華で派手なつくりになってしまいがちですが、今回の『みんなの卒業式』はスタジオもこじんまりとした教室をイメージしたもので、全体的に仰々しさが抑えられた演出だったのが、非常に良かった。どこにでもある地元の学校の卒業式というイメージが醸し出されていて、“手づくり感”に満ちていました。それがかえって視聴者の心を揺さぶり、さすがNHKというか、“神特番”といっていいと思いますね」

 残念ながら卒業式を迎えることができなかった全国の卒業生に、この番組の感動が届いたようだ。

(文=編集部)

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