“吉本の美容番長”とも呼ばれるお笑いタレントのシルク。“シルク姉さん”の愛称でも親しまれる彼女が、11月1日に住民投票が行われ、その是非が問われる「大阪都構想」について持論を述べ、話題を集めている。

 10月26日、シルクは自身の公式ブログを2度にわたって更新。

 まず、同日0時半付近になされた『告白いたします。。。』という投稿では、2015年に行われた1回目の住民投票で、自身は賛成票を投じたことを明かした。この際、母にいさめられたものの、聞く耳を持たなかったと当時を振り返り、「大阪市民のみなさん、吉村人気に流されず、私のような間違いを犯さないで!」と大阪市民に呼びかけている。また同じ投稿のなかでは都構想の問題点を多数指摘。特に、経済学者で実業家の竹中平蔵氏を名指しし、都構想のなかで新たな利権を得ようとしているのではないかと批判した。

 続いて同日20時半頃には、「恐ろしいことを書きます。。。」というタイトルの記事を投稿。前エントリーと同様、都構想の問題点を指摘し、改めて反対意見を表明することとなった。

さらに、日本維新の会副代表で、現大阪府知事である吉村洋文氏についても批判。

「付き合う前は、おいしいレストラン連れて行ってくれて、、お花もくれたのに。。自分にものになるや、一銭もださないで、お金ないから貸してていうやつね、、そんな人いたわ! 騙されて100万とられて、苦労したわ、おもいだした。。吉村さんに、似てるわ、元ダメ彼」(原文ママ)と、吉村知事を以前付き合ったと思しき男性になぞらえるという独特の表現でこき下ろしてみせた。

大阪維新の会とズブズブの吉本興業からシルク姉さんが干されないか、心配の声多数

 同じ日に2度も、しかもかつては自身が賛同していた大阪都構想についての批判を展開したシルク。そんな彼女の所属する吉本興業は、2017年9月に行われた堺市長選挙の際、大阪維新の会公認候補である永藤英機氏の応援演説を池乃めだかが行うなど、同党とは何かと蜜月関係にあることが指摘されている。

 加えて同年11月には、大阪市と吉本興業の間で「包括連携協定」を締結。大阪市24区にそれぞれ芸人を在住させる「大阪市24区住みます芸人」などのプロジェクトが現在も進行中であり、大阪府議会、大阪市議会で共に与党である維新とは、まさにガッツリとタッグを組んでいる状況なのだ。

 そんななか、“会社の方針”とは真逆の主張を行ったシルクに対してネット上では、「詳細に問題を説明してくれてありがたい」「すごい勉強している」など、大阪都構想反対派からは賞賛の声が多く上がっている。

 一方で、「吉本にいながら都構想に反対するということは、干されるのも覚悟しているということか」「維新とズブズブの吉本でこういう声を上げて大丈夫なのか」など、シルク姉さんの今後を心配する声も少なくない情勢だ。

「大阪都構想」反対派の知識人が、シルク姉さんのブログを絶賛

 さらに、知識人からもシルクに賛同の声が上がった。

 2018年に亡くなった批評家の西部邁氏と関係の深かったことでも知られ、独自の保守思想で言論活動を続ける藤井聡・京都大学大学院教授はTwitter上で、「都構想に大反対のよしもとのシルク姉さん、下記ブログで5年前は賛成票を投じたと告白!」などとシルクの今回のブログを紹介。

都構想に大反対のよしもとのシルク姉さん、下記ブログで5年前は賛成票を投じたと告白!理由は橋下さんを支持してたからで、真実を知った今は大いに反省…ついては

「大阪市民のみなさん、吉村人気に流されず私のような間違いを犯さないで」

と訴えています…是非、ご一読を!https://t.co/nzfBY1eCsX

— 藤井聡 (@SF_SatoshiFujii) October 25, 2020

 2011年の大阪市長選で橋下徹氏に破れたことで知られる元大阪市長の平松邦夫氏も同じくTwitter上で、「今日のシルクさんのブログ、私と柳本(顕・元大阪市議)さんの名前が何回か。ブログで謝ってくださるという経験は初めてです」などと、シルクのブログについて言及した。

今日のシルクさんのブログ、私と柳本さんの名前が何回か。ブログで謝ってくださるという経験は初めてです。市政研究今年の夏号藤井聡教授の見出しは「大阪都構想」は、大阪市民を対象にした巨大な詐欺である」です。シルク『恐ろしいことを書きます。。。』
⇒ https://t.co/0tCCDiPsJ6 #アメブロ

— 平松邦夫 (@hiramatsu_osaka) October 27, 2020

 読売新聞は10月26日、同23日から25日にわたって同紙が行った都構想に対する世論調査の結果を発表。それによれば賛成が44%、反対が41%と拮抗状態にあるものの、それぞれ48%、34%であった9月の調査に比べて、反対が増加傾向にあることを報じている。

 政令指定都市である「大阪市」を廃止し4つの特別区に再編するという「大阪都構想」。11月1日の住民投票を前にして、シルク姉さんの今回の“言論活動”は、大阪市民の投票行動に大きな影響を与えそうだ。

(文=編集部)

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