人気ロックバンド・X JAPANのYOSHIKIに3年半にわたり密着取材したドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀 YOSHIKIスペシャル』が20日、放送されるが、先週発売の「週刊新潮」(新潮社)が、「『X JAPAN』YOSHIKIとToshl“不仲”でNHK困惑の舞台裏」と題する記事を掲載。NHKが『プロフェッショナル』内でX JAPANの映像使用の許可をToshl側に申請したが、拒否されたといい、2人の関係悪化が公に。
19日、YOSHIKIが大みそか放送の『第73回NHK紅白歌合戦』に出場することが発表された。だが、X JAPANとしてではなく、YOSHIKIが11月にL’Arc~en~CielのHYDE、LUNA SEAとX JAPANのSUGIZO、ギタリストのMIYAVIと結成したTHE LAST ROCKSTARSとしての出場。結成40周年というメモリアルイヤーを迎え久方ぶりの再始動に期待が高まっていたX JAPANのファンたちは、複雑な心境を抱いているかもしれない。そのYOSHIKIに密着取材した『プロフェッショナル』が放送されるが、番組内でどこまでX JAPANのヒストリーに触れられるのかが注目されている。
X JAPANの歴史は波乱に満ちている。1982年に幼稚園時代からの幼馴染だったYOSHIKIとToshlを中心に結成されたX JAPANは、89年にリリースしたシングルCD「紅」のヒットを機に瞬く間に人気バンドとなり、92年には日本人アーティストとして初となる東京ドーム3日間連続公演を実現。97年にはToshlの脱退の意向を受けてバンドは解散となった。
「いわゆるビジュアル系バンドの走りだったX JAPAN は当初、世間に受け入れられるまで時間がかかった。82年の結成からメジャーデビューまで7年を要しており、その間、小さなライブハウスを回る傍ら、自分たちの存在を世間に認知させるためにバラエティ番組の体を張る企画に出演したりと、相当な苦労人でもある」(音楽業界に詳しいスポーツ紙記者)
バンド解散後から徐々に世間を騒がせ始めたのが、Toshlの洗脳騒動だった。Toshlは元妻に誘われて参加した、自称ヒーリングアーティストの男性が主宰するセミナーにのめり込み、セミナーの広告塔に利用され、自身の収入から総額15億円以上ものお金をむしり取られた。
「のちにToshlは自著やテレビ番組で自身が洗脳されていた体験を赤裸々に語っており、その理由として、金儲けのために自分を利用した家族からの裏切りや、ボーカルとしてYOSHIKIから要求される高いレベルに応えられない苦しさがあったことを明かしている。
Toshlを救ったのもまたYOSHIKIだった。YOSHIKIがToshlに話を持ち掛けたことがきっかけで、2007年にX JAPANは再結成。Toshlはセミナーを離れ、X JAPANは国内のみならずワールドツアーなども行い海外進出を加速させ積極的な活動を展開していたが、18年9月に行われたライブ以降、バンドとしての活動は事実上の休止状態となっている。
「XJAPAN は障害だらけ」そんななか、YOSHIKIは先月にTHE LAST ROCKSTARSの結成を発表。今月13日にはTwitterに「XJAPAN は障害だらけ」と投稿したのだが、その日はX JAPANメンバーで1998年に急逝したギタリスト・hideさんの誕生日であったため、さまざまな憶測が飛び交う事態に。そこへ「週刊新潮」のYOSHIKIとToshlの関係悪化報道が加わり、2人の不仲説が広まっている。16年には音楽フェス出演後に2人で仲睦まじくインタビューに応じる姿をみせ、Toshlの誕生日である今年10月10日には、YOSHIKIが過去に撮影したツーショット写真とお祝いコメントをInstagramに投稿していたが、前出のスポーツ紙記者はいう。
「ToshlのほうがYOSHIKIとの接触を避けているという噂が少し前から聞こえていた。原因は不明だが、過去のToshlのX JAPAN脱退や洗脳の原因の一つにYOSHIKIとの関係があったことは確かなので、X JAPANとしてバンド活動を再開してから10年以上の時間を重ねるなかで、Toshlにはいろいろと積もり積もった感情があるのかもしれない」
気になるのは20日に放送される『プロフェッショナル』内で、どこまでYOSHIKIとToshlの関係に触れられるかだが――。
「『新潮』の取材に対しToshlの弁護士は、映像使用の許可申請を断ったことを認めており、そもそも同じバンド内にもかかわらず弁護士を介して映像の使用許可を求めていること自体が異常といえ、2人の関係断絶は決定的。YOSHIKIへの密着ドキュメンタリーなので、番組内でToshlについて一切触れずに、さらにX JAPANの映像を流さないのも不自然だし、かといってバンドメンバーの映像でToshlの姿だけをカットするというのも視聴者に違和感を与え、かえって物議を醸しかねない。
もし仮にToshlの意向を聞いたYOSHIKIがX JAPANの映像使用に難色を示したとしても、YOSHIKIサイドが事前に放送内容をチェックするわけではなく、最終的な編集権はNHKにあるので、ドキュメンタリーという性格上、NHKがX JAPAN とToshlの映像を流す可能性もある。
「もしX JAPANの映像が使われれば、YOSHIKIとToshlの関係悪化は決定的となり、再び解散という流れになることも考えられる」(前出・スポーツ記者)とのことだが、X JAPANの動向が気になるところである。
(文=Business Journal編集部)