10月26日に日本損害保険協会は「全国交通事故多発交差点マップ(2021年版)」を公表した。同マップは、全国の地方新聞社の協力をもとに人身事故の多かった交差点順にランキング化したデータであり、交通事故の防止・軽減を狙いとしている。

なお、この2021年の調査から、警察庁が新たに開発した解析ツールによって、事故発生地点の緯度経度の情報をもとに、より詳細な事故の状況を突き詰めることが可能となったそうだ。小さな生活道路も集計の対象となることとなり、よりリアルなランキングに仕上がったという。

 今回のランキングでは、大都市の大きな交差点が上位に入ったほか、名前のない小さな交差点が新たにランクインしているのが特徴。新解析ツールによって、これまであまり存在が知られていなかった事故多発エリアが可視化されたようだ。

 そこで今回は、神奈川県のランキングで初めてランクインし、神奈川県ワースト1位に選ばれた「横浜市青葉区田奈町にある生活道路の交差点」。そして事故数が全国ワースト2位となった東京都の「豊島区の池袋六ツ又交差点」、全国ワースト1となった東京都の「杉並区の大原交差点」の危険性を詳しく知るために、実際に現地を訪ねてみた。

12月の平日日中、ひとつの交差点につき1時間滞在し、車通りやどのような混み具合をしているのか観察してきたのでレポートしていく。

【神奈川県ワースト1位】「横浜市青葉区田奈町83番地付近交差点」

 まずは、2021年中の人身事故件数は11件で、神奈川県のワースト1位となった「横浜市青葉区田奈町83番地付近交差点」。横浜市青葉区は、住宅地と商業施設が点在する東京都市圏のベッドタウンとして知られる地域。千代田区から静岡県沼津市に至る国道246号や、町田市と川崎市に至る県道140号が敷かれており、青葉区はその経由地点となっている。

 こちらの交差点は、東急電鉄田奈駅を最寄りとしており、国道246号の側道と県道140号が交差する四差路となっている。なお県道140号沿いには恩田川が流れており、下流の緑区にかけて平地の農業用地が広がっている。

 ここからは実際の現場の様子をレポートしていこう。

 国道246号の側道と神奈川県道140号が交差する四叉路の交差点。国道の下に県道が位置し、トンネルになっている。信号はない。

 こちらの写真は、側道から県道140号に進入するために、右折をしようとする様子。橋脚が運転者の視認を妨げており、白線をはみ出している。

この交差点では右折する場合、橋脚側の視認に気を取られ、左側から来る車と接触する事故が多発しているという。また、進行先の県道140号は交通量が多く、側道からの進出に時間を要するそうだ。

 神奈川ワースト1位の事故多発地域のわりに、注意看板はたった1つしかないことに驚く。また小さくて端から見ても目立っておらず、走行中ならほとんど見えないサイズだった。

 県道140号は片道1車線の狭い幅。筆者が向かったときは昼間であったが、交通量はほとんど途切れていない。

乗用車を中心にトラックが多く、1時間に18台(片道)も通った。県道140号は川崎町田線といわれ、物流拠点間としてトラックが多く経由していると思われる。実際、青葉区には大きな物流拠点は見られないものの、この交差点を通って向かうことのできる都筑区や瀬谷区には物流センターが見受けられた。

 県道140号から交差点にかけて、トンネル手前20mほどから大きく屈曲。そして、街路樹が視界を妨げている。その先には国道246号への側道(入口)があり、前方への注意が必須なのだが、いかんせん視界が悪くて視認しにくいのだ。

 歩道側は安全な道と危険な道に分かれた。県道140号に沿って歩道トンネルが10 mほど続き、四叉路に出る。トンネルを出ると歩行者通路が狭まり、ほぼ1人分の幅員しかなく、すれ違うときや2人以上で歩くときは車道にはみ出す歩行者の姿もあった。現場でじっくり観察をするとわかるものの、一見すると事故多発エリアとは思えないような交差点のため、油断してしまうのかもしれない。

【全国ワースト2位】東京都「豊島区 池袋六ツ又交差点」

 お次は2021年の人身事故件数が21件で、全国のワースト2位となった「豊島区 池袋六ツ又交差点」。新宿、渋谷と並び、三大副都心として大型商業施設や飲食店が集積している池袋。

池袋駅は東口・西口ともに開発され、巨大ターミナルとなっており、駅周辺は百貨店や超高層ビルが立ち並び、一日中人通りで溢れている。

 池袋六ツ又交差点は、そんな池袋駅の東口から徒歩8分ほどの場所に位置する。東京都道305号芝新宿王子線、国道254線、東京都道435号音羽池袋線が複雑に入り乱れる六ツ又の交差点だ。また繁華街の延長に位置し、車と街の騒音が大きいことが特徴でもある。真上には首都高速5号池袋線も通っており、複雑な交差点とも相まって窮屈な印象を受ける。

 ここからは実際の現場の様子をレポートしていこう。305号線、254号線、435号線が交差する六叉路の交差点。高架下に位置しており暗くなっているので、対向車がとても視認しにくい。また交差点が大きく屈曲しており、対向車線が支柱によって遮られているので、視界も良いとはいえない。信号機も多く、かつ複雑な交差点となっているので、出会い頭の事故が多く発生しているそうだ。

 観察していてわかったが、歩行者や自転車が多いのも特徴。車からすれば支柱の影から突然現れる感覚なので、スピードを出して運転していると歩行者や自転車と接触してしまう可能性があり、かなり危険だろう。

 一見気づきにくい池袋駅へ通じる道路が、435号線こと「東口改正通り」。254号線への進入は支柱が妨げとなっており、やはり非常に入りにくい。

 昼間でも交通量が多く、比較的スムーズに流れているため、スピードを出して運転する車の割合は低くなかった。信号をフライングする車や通行人はいなかったものの、フードデリバリーの自転車がよく見られ、衝突しそうで内心気が気ではなかった。

 信号機の多さも相まって、混乱しても仕方がないと思うぐらい複雑な交差点であり、それでいて車も歩行者も自転車も多いということが、全国ワースト2位となってしまった原因なのだろう。

【全国ワースト1位】東京都「杉並区 大原交差点」

 最後にレポートするのは、2021年の人身事故件数は29件にものぼり、全国のワースト1位となった「杉並区 大原交差点」。東京都道318号環状七号線と国道20号線が通り、また上には首都高速4号新宿線も通っているので、一帯は交通の要所であることがうかがえる。また地域内は住宅地や中小店舗群があり、地元民から観光客まで人通りが非常に多い。付近には京王線も通っており、交差点の南には踏切もあることから、人混みが予想される。

 人口密度が高く、込み入った道路であることが、「全国交通事故多発交差点マップ」で全国ワースト1位という不名誉な結果になった要因だろう。

 ここからは実際の現場の様子をレポートしていこう。318号線と国道20号線が交わる四叉路の交差点。片道2車線と広い車線で視界は良好だが、交通量が多く、スピードを出す車も少なくない。特に国道20号線から318号線に進入する車が多く、右左折する車の割合が高かった。

 信号が変わる前に通らなければ立ち往生してしまいそうな混み具合。信号が赤になったにもかかわらず、交差点に進入してしまった勢いで右折する車も見受けられたので、対抗車線で直進する車や歩行者と追突する事故が発生する危険があると思われる。

 交差点を抜けて調布・高井戸方面へ直進する直進する車は少ないためか、路駐車が多い。

 138号線への侵入は国道20号線に比べるとスムーズ。1時間見渡した限り、国道20号線に進入せずにそのまま318号線を直進する車がほとんどだった。

 また懸念すべきポイントだと感じたのが、国道20号線から進入する右折車との衝突。この交差点の信号機は時差式のため、衝突を防げそうにも思えるが、接触のリスクはあるので対向車の視認は必須である。ひとつでもミスが起これば、事故につながりかねないような交差点のため、運転手も歩行者も辺りを注意深く見渡すべきだろう。確かに危険なシチュエーションが頻繁に起こりうる交差点である。現場を訪れたことで全国ワースト1位となってしまっている理由を、よりいっそう実感した。

 今回、観察してみた感想だが、どの交差点でも脇見運転をするような不注意な車は少なかった。しかし、たとえ各々が安全な運転をしているつもりでも、高架下の支柱や道の屈曲、交通量の多さなどの理由によって、ちょっとした不注意が大きな事故に繋がりかねない危険性があることがわかる。今回レポートした交差点と似た道路では、細心の注意を払って安全第一で通行していただければ幸いである。

(取材・文=おがわるり/A4studio)