--この連載企画『だから直接聞いてみた for ビジネス』では、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問(?)を、当事者である企業さんに直撃取材して解決します。今回は林賢一氏が、スーパーマーケット・成城石井の袋詰めに関する謎に迫ります。
【ご回答いただいた企業】
成城石井様
スーパーマーケットでの買い物時、エコバッグに商品を詰める作業は楽しい。その半面、レジ袋に自分で詰めていると味気なく感じてしまうのはなぜだろう。作業っぽいからだろうか。
考えてみると、自分で袋詰めをするのはスーパーだけだ。コンビニエンスストアでは店員さんがやってくれるし、ほかのお店でもほとんど袋詰めまでがサービスの一環だ。
だが、成城石井は違う。成城石井は、レジ打ちの店員さんとは別に、袋詰め専用の店員さんが待機してくれており、スーパーであるのにもかかわらず袋詰めサービスがある。とても楽である。プレミアム感もある。めちゃくちゃ早いのも特徴的だ。最初にやってもらった時は驚いた。自分が不器用ということもあるのだが、セルフ時の2~3倍以上のスピードでこなしている気がする。
●袋詰めのテクニック
そこで、成城石井様に直接聞いてみた。
「レジで店員さんが商品を手際よく袋詰めしてくれますが、マニュアルがあるのですか?」
担当者 ございます。そんなにしっかりとしたものではないのですが、私たちは全員レジに入る前に研修があり、そこで基本的にどういうやり方をするのかというのは共有しております。ただ私たちが一番大切にしているのはお客様のご要望ですので、もしお申し付けがあった場合には、できるだけご要望に沿うようにしております。
--そのレジの研修は、どれくらいの期間行うのですか。
担当者 レジ研修と名のつくものに関しましては午後いっぱいです。ただそれだけですべてができるようになるわけではないので、お店では必ずトレーナーがついて、できるようになるまで指導を行います。飲み込みの早い人もいれば、いろいろな人がいるので実際に独り立ちするまでの期間はバラバラです。
--具体的には、どのような袋詰めの方法がありますか。
担当者 言葉では説明しづらい部分もありますが、たとえばパック牛乳は上のところが三角になっていますね。パック牛乳は一番下に入れるので、上にほかの商品を乗せたときに潰れたり傷がついて漏れ出さないように、上から見て三角形が見えるようにして入れます。
--なるほど。ほかにもありますか。
担当者 惣菜で汁の出そうなものや豆腐などは、大きなグレーの袋に入れる前に薄いビニール袋に入れます。また、しその葉や果物などは、ただビニール袋に入れるだけでは上にものが乗ると潰れたり傷がついたりするので、空気も一緒に入れるようにして口を閉めます。そうすることで、持ち歩いたり自転車などで揺れたときにも潰れにくくなります。
--そんな工夫をしているんですか。
担当者 ほかには、ネギは長いので、いろいろな商品の最後に袋に入れても斜めになってしまいますので、持ち手に通して入れます。そうすると立った状態になるので、持ち運びやすくなります。
--ありがとうございました。
今回は、ただただレジの袋詰めテクニックを聞き入ってしまうだけの直撃取材になってしまった。すごいぞ、成城石井。
いつの日か、成城石井テクニックを自分で駆使してエコバッグに詰めたいものである。
(文=酒平民 林 賢一/ライター)