先日、アイドルグループ「欅坂46」のメンバー・原田まゆが男性と一緒に写っている写真が流出したことが話題になった。男性は、原田の中学校時代の教師「M氏」とされており、写真の中で原田の胸に触れたりキスをしたりしている。



「週刊文春」(文藝春秋)の取材に対し、原田の父親は、原田とM氏の交際について「認めました」と語っているが、原田は現在17歳であることから、「M氏の行為は青少年(18歳未満の未婚の男女)に対する淫行に当たるのではないか」ともいわれている。

 欅坂46は、AKB48グループとして8月に結成されたが、原田は写真流出後の11月11日に今後の活動を辞退することを発表している。グループの前途を潰しかねないM氏の行為は、青少年への淫行に該当するのだろうか。弁護士法人AVANCE LEGAL GROUP LPCの榎本啓祐弁護士は、以下のように解説する。

「児童福祉法34条1項6号は、『児童に淫行をさせる行為』を禁止しています。『淫行』という文言については、『青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいう』とした判例があります。

 また、各都道府県の青少年保護条例においては、『何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない』(東京都青少年の健全な育成に関する条例18条の6)などの規定もありますが、こういった『みだらな性交又は性交類似行為』との文言についても『淫行』と同じように解釈することになると考えられます」

 今回、問題となった写真については、それが「性交類似行為」に該当するかどうかが問題となるようだ。では、「性交類似行為」とはどのようなことを指すのだろうか。

「参議院第145回国会質問において、『性交類似行為』とは、『実質的に見て性交と同視し得る態様における性的な行為』であり、『例えば、異性間の性交とその態様を同じくする状況下における、あるいは性交を模して行われる手淫、口淫行為、同性愛行為など』とされています。

 ここから、例えば指や口を用いた性器の愛撫などがあった場合には、当該行為は『性交類似行為』と判断され得るものですが、キスをする行為などは、それのみでは『性交類似行為』とは判断されないものと考えられます。

 今回の写真では、M氏が原田さんの胸部をつかんでいるように見え、性的な意図も感じられます。しかし、互いに普段着を身に着けた状態であり、M氏は衣服の上から胸部に触れています。
それらを考慮すると、この写真のみで『性交類似行為』が認められる可能性は低いと考えられます。キスの写真も同様に、『性交類似行為』と判断される可能性は低いでしょう」(榎本弁護士)

●「淫行」なら、10年以下の懲役や300万円以下の罰金の可能性も

 ただし、この写真以外に原田とM氏が「性交」や「性交類似行為」を行っていた場合は、別の問題が生じると榎本弁護士は指摘する。

「その場合、それが『心身の未成熟に乗じた不当な手段』によるものか、『単に自己の性的欲望を満足させるため』のものかが問題になります。性交または性交類似行為をした者全員を処罰の対象にするのではなく、このような制限がされているのは、婚約関係にある場合など、真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為等を処罰の対象から外すためです。

 この点については、あらゆる事情を基に判断されることになりますが、例えば、出会い系サイトで知り合った青少年と初対面で性行為を行うような場合は、『単に自己の性的欲望を満足させるため』と判断される可能性が高いです。今回の件でいえば、原田さんの父親がM氏との交際を認めていることは、真摯な交際関係にあったことを示すものとして、M氏に有利な事情のひとつになり得ると考えられます」(同)

 真摯な交際の上で行われる性行為であれば問題ないが、仮にM氏が「淫行」を行っていると判断された場合はどうなるのだろうか。

「児童福祉法により10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、また東京都青少年の健全な育成に関する条例により、2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります」(同)

 原田とM氏および欅坂46の今後が気になるところだ。
(文=編集部、協力=弁護士法人AVANCE LEGAL GROUP LPC・榎本啓祐弁護士)

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